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資材安定供給へ全力 生産基盤死守へ現場支援強化 野口栄JA全農理事長に聞く2022年5月9日

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記録的な生産資材価格の高騰の中で、2022年度からのJA全農新3カ年計画が動き出した。野口栄理事長は資材安定確保と供給に全力を挙げると共に、「事業展開の一丁目一番地は生産基盤強化」として、農業法人への出資をはじめ全農自ら生産現場での役割を強調。自給飼料推進も加速するとした。(聞き手 農政ジャーナリスト・伊本克宜)

まずは肥料確保万全に

――国際情勢が揺れ動く中で、20年ぶりの記録的な円安も加わり、輸入原料価格の高騰など生産現場の悪影響へ懸念が広がっています。

肥料、飼料など輸入原材料価格高騰に拍車がかかっている。全農の第一の役割は、持続的な農業生産と、それを通じた国民への食料安定供給だ。その実現こそが「なくてはならない全農」の存在感につながる。まずは海外ネットワークを駆使して、原料確保先の多角化も含め、国内農業者に肥料をはじめ生産資材の安定供給に全力を挙げる。

耕畜連携と子実トウモロコシ振興

――輸入飼料価格の高騰、水田農業活用で飼料自給率向上を目指し、栄養価の高い子実用トウモロコシ振興にも力を入れますね。

耕畜連携で自給飼料を増やしていくことは重要だ。西日本の大畜産地帯である熊本・JA菊池管内では耕畜連携で有機肥料の地域内循環、地元農産物の販売力強化に結びつけている。転作で子実用トウモロコシの生産支援と畜産物排せつ物の地域循環が進めば、環境調和型農業の推進になる。
輸入原料高騰で自給飼料に注目が集まっている。こうした中で、22年度から大規模実証試験に乗り出し、3カ年計画の最終の24年度には事業化したい。皮切りに宮城・JA古川で委託試験を行う。系統飼料工場などグループの一貫体制で対応していく。子実用トウモロコシで九州をはじめ各地から全農に問い合わせが来ており、自給飼料確保へ生産現場の声に応じていきたい。

ウクライナ情勢対応など臨機応変に

――創立50年も兼ねた3月末の全農臨時総代会後の会見は、これまでと様変わりしたと感じました。規制改革論議での株式会社化の質問が鳴りを静め、本来の全農の役割発揮が求められました。

JA全農理事長 野口栄氏JA全農理事長
野口栄氏

創立50周年も踏まえた総代会後の会見では、当面の国際情勢の激変を踏まえた全農の役割、対応に質疑の多くが割かれた。総代会では事業計画と共に「主な事業課題と本会の対応」という資料を示す。地区別総代会で質問や要望の多い項目に絞り、全農がより具体的に説明するものだ。今回は米需給問題と農水省「みどりの食料システム戦略」本格始動を踏まえた環境調和型農業対応の二つ。それに加え、喫緊の改題対応として「ウクライナ・ロシア情勢による本会事業への影響と対応」を別紙で提供した。
会見で、ウクライナ問題に絡め農業生産に欠かせない肥料、飼料、エネルギー関連の安定供給と全農の役割について具体的数字を挙げて強調した。規制改革当時の農協改革、全農改革論議から時間を経て、本来の全農の生産資材などでの国際的な対応などに注目が集まったと受け止めている。全農のグローバル対応、役割発揮で、今後とも臨機応変に会員の期待に応えていく。

「見える化」さらに加速

――事業計画では、全農自己改革の着実な進展が分かります。農業者、組合員をはじめ、食と農をめぐる関係者へ全農事業の「見える化」が重要です。

「行動計画」として事業別に具体的な目標数字を年次ごとに示し、進捗具合を「見える化」している。例えば生産振興の分野で、農作業受委託や農福連携に取り組む県域は21年度の27県域から、3カ年計画最終年度の24年度には全県域に広げる。新たな取り組みには「新規」と明記し、事業の展開方向も示している。担い手の育成には、実証施設「ゆめファーム」などを活用。地域JAとの調整を踏まえ23年度にはJA出資型法人への出資も行う。

「食料有事」に信頼構築の強み

――ウクライナ問題も引き金に「食料有事」の事態です。中国は自国への囲い込みで食料安保を強めています。海外依存の生産資材の確保が大きな課題となっています。

総代会後の会見でも質疑が集中した課題だ。特に肥料のリン安、塩化カリ、尿素などの確保が大事だ。塩化カリはロシアの割合も高い。肥料が安定供給できなければ、国内の農業生産にも大きな影響が出かねない。供給先の多角化などで対応するが、原料価格高騰、輸送代がかさむことは避けられない。飼料原料、燃油も同様だ。
供給確保を進めているが、実感するのは30年以上続く全農と取引関係国、会社との信頼関係の太いパイプの存在だ。国際需給は逼迫しているが、全農のオーダーに理解を示し優先的に応じるケースも目立つ。相場変動でスポット的に取引してきた企業とは明らかに対応が異なる。
確かに中国は対米摩擦、ウクライナ問題で自国経済最優先の食料安保を強めてきた。米国の全農グレインなどにも穀物確保の動きが出ていると聞いている。生産資材をはじめ取扱量が巨大な中国の動向に注視したい。

積極的にJA出資型法人支援

――今回の3カ年計画で、初めてJA出資型法人への支援強化、全農自ら出資まで踏み込んだ表現となりました。耕種など土地利用型農業へのテコ入れですが、農村での高齢化の加速、担い手不足の危機感の表われですか。

生産振興は全農事業の一丁目一番地だ。産地がなければ営農経済事業は成り立たない。今回のJA出資型法人への出資は、こうした全農の危機感と使命感を形にしたものだ。これまでも戸数減が著しい畜産酪農分野では、30カ所強の全農直営をはじめ出資を通じた支援をしている。畜酪のこれ以上の地盤沈下は配合飼料事業とも連動する。
今回は、これとは別に稲作など耕種部門の土地利用型、園芸などにも支援の輪を広げるものだ。農地の維持、耕作放棄地防止なども含めJA出資型法人は集落営農なども多い。従来の営農コンサルタントなど相談機能中心から一歩踏み出し、生産現場への全農自らの関わり強化の積極姿勢を示した。出向く営農経済事業を実践するTACなどの協力も得たい。地域実態に応じ県域や地元JAとの理解を大前提に、今年度から具体的な協議を進める。全農自ら現場に足を運ぶことが重要だ。同時に地域特産物支援や新商品開発など付加価値を高めた生産振興につなげたい。

冷食、総菜拡充で「久喜プロジェクト」

――3月のアジア最大級の食料・食品見本市フーデックス2022を取材し、代用肉などフードテック革命に驚きました。特に新型コロナウイルス禍で冷凍食品の急増は顕著です。全農も戦略部門に冷食、総菜拡大を挙げ、いわゆる「久喜プロジェクト」を進めますね。

確かに冷凍食品はコロナ禍で需要が急増した。フードテックで製造、物流など冷食技術の向上も大きい。かつての輸入物中心でスーパーの安売り対象だった状況とは様変わりしている。特に家庭用需要の伸びが著しい。中食需要も拡大し、冷食、総菜は今後の販売戦略部門に位置づけている。3月には全国規模で総菜の各社新商品が一堂に会すエフピコフェアに、全農から国産食材にこだわった新商品をいくつか展示し注目を集めた。
全農に問われているのは、冷食、総菜の伸びを国産農畜産物の需要に結びつけ、1次加工、2次加工まで付加価値を高めどう産地振興を図っていくかだ。
品質を維持しながら輸送する低温物流拠点も地区別で着実に整備を進めていく。例えばブロッコリーなど低温物量拠点をつなぐ産地リレー出荷なども可能となる。
食を巡る環境変化の中で、単なる供給網のサプライチェーンからさらに一歩進めた食農バリューチェーンをいかに形にしていくかが重要だ。24年度稼働予定の工場はその一環で、首都圏物流を視野に埼玉県北部・久喜市を中心に周辺施設も含めた、いわゆる「久喜プロジェクト」を進めている。冷食ばかりでなく、さまざまな付加価値商品を想定している。歩留まり、大きさなど業務需要に応じた専用の園芸産地育成を同時並行で進めていく計画だ。

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