乾燥と過湿に同時耐性を持つササゲ遺伝資源を発見 国際農研2025年6月16日
国際農研と国際熱帯農業研究所(IITA)の研究グループは、西アフリカ乾燥サバンナ地域の主要作物であるササゲ(マメ科)について、乾燥と過湿という相反する2つの環境ストレスへの耐性を同時に備える遺伝資源を発見した。
図1:ササゲ遺伝資源99系統における過湿及び乾燥ストレス耐性
近年、気候変動の影響で西アフリカ乾燥サバンナ地域では、極端な干ばつや豪雨の頻度が増加傾向にあり、今後は干ばつだけでなく、豪雨による土壌過湿もササゲ生産にとって深刻な問題となることが予測されている。
ササゲは現地農村の重要なタンパク質供給源で、これまでは主に干ばつに強い品種の育成が重視されてきたが、土壌水分条件の幅広い変動に適応可能な品種開発の必要性が高まっている。
同研究では、IITAが保有する99系統(栽培種・祖先野生種)のササゲ遺伝資源を対象に、乾燥および過湿ストレスへの耐性評価を実施。その結果、祖先野生種9系統と栽培種1系統、計10系統が両ストレスに耐性を示すことを発見した。
特に、祖先野生種の1つは過湿条件下で根に通気組織を発達させて酸素供給能力を高め、乾燥条件下では水分輸送効率を高める構造を持つなど、土壌の水分状態に応じて柔軟に根の形態を変化させていることが分かった。さらに、複数の生理・形態指標を組み合わせて評価することで、ササゲ遺伝資源の多様な土壌水分応答を包括的に可視化できることも示された。
今回発見された祖先野生種は栽培種との交雑も可能で、今後は一般的な交雑育種法や遺伝解析を活用し、耐性能力を栽培種に導入可能なことが示唆された。この発見は、将来的な気候変動による極端気象下でも安定生産できるササゲの新たな品種育成に向けた重要な知見となり、気候変動下における食料安全保障の強化に貢献することが期待される。
同研究成果は6月12日、国際科学専門誌『Frontiers in Plant Science』オンライン版に掲載された。
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