中山間地のドローン請負防除をZ-GISでスマート化 事業承継対策やJAとの情報共有も2023年2月13日
JAしまね雲南地区本部管内で鍋山農作業センターを経営する石原公夫さんは、近隣集落に向けた作業受託に取り組んでいる。ご子息の就農を機にZ-GISを導入し、「ドローンの作業受委託のスマート化」「JAとの情報の共有」「事業承継を考慮したデータ化」をJAしまね(以下JA)と共に進めている。
鍋山農作業センターの代表石原公夫さん(右)、ご子息の睦大さん(中)、奥様の和美さん(左)。
家族総出でT20 1台を使い請負防除を行っている。
鍋山農作業センターのある島根県雲南市は、多くの圃場が中山間地特有の河岸段丘に作られ高低差があるため、無人ヘリの導入が難しく、ドローンでなければ空中散布ができない地域である。石原さんが作業受託をする近隣集落のドローン防除の範囲は、JAの委託分も含め、100ha730筆である。今までは、作業場所を示した地図での依頼や現場の直接指示で作業をしていたが、効率化が必要と感じていた。ご子息の就農を機にスマート化することを決め、JAの担当者とZ-GISの導入を決めた。
石原さんは、730筆のデータの自己作成は時間もかかり非効率との考えから、JAを通してJA西日本営農技術センターに相談し、全農グリーンリソース(ZGR)の入力代行と導入支援サービスを利用することにした。生産者とJAが協力し、情報の共有と事業拡大、事業承継を実現するため、JAが県の集落営農体制強化推進事業を活用した。
朝日が昇った直後の風のない早朝に作業を行う。中山間地特有の段になった田んぼを前に作業手順の確認を行う。
Z-GISデータの作成に際し、ZGRが石原さんへ聞き取りを行い、作業圃場の明確化と、ご子息や奥様、JAの間でのデータ共有を実現したいとの意見を得た。また、作業賃金の集計や精算の簡素化の希望もあった。これらの意見や、過去の請負防除地図を基に、Z-GISデータが完成した。また、ZGRは、石原さんとJAの担当者に向け、操作研修会や、実際の作業を想定したデータ管理、タブレットでの確認と入力方法、JAからの作業委託の仕方、作業回数や作業面積を基にした賃金算出の方法など、複数回の研修を行った。この結果、石原さんからは「スマート化と同時に自分の意見を反映したデータ活用が手軽に出来た。事業承継にも期待できる。」との評価を得た。
Z-GISを活用し作成した作業地図と作業日を管理する手書きの帳面は作業後Z-GISに反映する。
今回は、JAと生産者が協力し、JA西日本営農技術センターへの相談で、スマート化と事業振興(ドローンの作業受委託の効率化・事業承継を見据えた改革)を繋げた。全農は、JAや生産者のニーズを受け、新しい提案・サービスの提供ができるよう進めていく。
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