【全国JAコンプラ実践セミナー講演より】「職員のマインドが要」 みのり監査法人・大森一幸理事長2024年12月16日
JA全中は11月28日、東京都内で令和6年度全国JAコンプライアンス実践トップセミナーを開いた。内部統制、コンプライアンス、不祥事やハラスメントの防止について報告と講演を受け、JAの信頼を守り職員のやりがいを生み出す役員のリーダーシップを学んだ。
みのり監査法人・大森一幸理事長の講演要旨についてまとめた。
【講演1】不祥事防止の観点から、内部統制高度化をどう進めていくか
みのり監査法人 大森一幸理事長(公認会計士)

1年を振り返ると、不祥事には①実行者の若年化②凶悪化③デジタル利用――という特徴がある。
S銀行の行員(30代男性)は、担当していた高齢のお客様宅で現金を盗み、通帳・キャッシュカードで現金を約3000万円着服した。
顧客宅には行員一人で行っていた。盗んだキャッシュカードで引き出す場面で不正の兆候に気づかなければならない。引き出しには、通常「使途」がある。不自然な額の預金引き出し等では、そこをお尋ねするといい。
ある地方銀行の例では、不動産会社社長らが土地・アパートローン名目で2億円以上をだまし取った。源泉徴収票を改ざんするほか、職業、収入、金融資産残高を偽っていた。本人に面談し、源泉徴収票は偽造が容易なので納税証明書を取るなど、複数のエビデンスを総合的に評価することが必要だ。
М信託銀行の社員(50代女性)は、顧客に虚偽の説明をして、お届けする現金の一部を抜き14人から6076万円を着服したが、(その後新たに1人、100万円が発覚)。重要なのは、当行の事後対応であり、銀行内部で徹底した悉皆(しっかい)調査を行い事案の全容解明と再発防止策を検討したことだ。不祥事発生後の内部調査のベンチマークになる事例であった。
内部統制高度化では、①標準化②集中化③共有化――がポイントだ。①標準化とは、内部統制手続き、会計処理や総代会資料等の様式の標準化のことである。コストの抑制、内部統制強化につながる。経理、人事、法務等は②集中化と③共有化ができないか。これら業務には高度な専門性が必要となる。JA間で異動すれば人材が系統外に行かず質も均質化できる。人手不足の中、身の丈にあった効果的な内部統制を構築してほしい。
抜き打ち監査は「悪い職員を見つける」ためではない。職員が犯罪に手を染めないため、職員を守るためにする。
最強の内部統制は職員のマインドだ。JAグループの一員としての誇りを忘れないよう、トップは発信をし続けてほしい。
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米の支援 見直しを 財政制度等審議会が建議2025年12月3日 -
緑茶の輸出額 前年比2.3倍 農林水産物・食品の10月輸出実績2025年12月3日 -
JA貯金残高 108兆731億円 10月末 農林中金2025年12月3日 -
米の安定供給どう支える? 直接支払めぐり論戦 共助の「基金」提案も2025年12月3日 -
平和的国防産業の寿命【小松泰信・地方の眼力】2025年12月3日 -
【農と杜の独り言】第6回 野菜・あなたのお生まれは? 食の歴史知る機会に 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年12月3日 -
童門氏の「恕」 混迷時こそ必要 "協同のリレー" JCA客員研究員・伊藤澄一氏2025年12月3日 -
【異業種から見た農業・地域の課題】担い手が将来展望を描けること 金融×人材×資源で強靭な地域に 一消費者の視点から 元大蔵省・藤塚明氏に聞く2025年12月3日 -
ご当地牛乳「リソルホテルズ」でウェルカムドリンクとして提供 JA全農2025年12月3日 -
毎年大人気!希少な岐阜の「堂上蜂屋柿」を販売開始 JAタウン2025年12月3日 -
稲作生産者の生産現場に密着 生産者ドキュメンタリー動画を公開 JA全農2025年12月3日 -
JAタウン「ホクレン」北海道醸造の日本酒10商品「送料負担なし」で販売中2025年12月3日 -
冬休みの牛乳消費拡大を応援「メイトー×ニッポンエール 冬のおいしいミルクコーヒー」発売 JA全農2025年12月3日 -
「佐賀県産うれしの茶フェア」5日から全農直営19店舗で開催 JA全農2025年12月3日 -
病院経営の改善に求められる課題は? 「医療の質と生産性向上」セミナー 日本文化厚生連2025年12月3日 -
安全性検査クリアの農業機械 1機種7型式を公表 農研機構2025年12月3日 -
【人事異動】日本製紙(2026年1月1日付)2025年12月3日 -
鶴岡共乾施設利用組合第1回総会開く JA鶴岡2025年12月3日 -
【役員人事】井関農機(12月1日付、12月31日付、1月1日付)2025年12月3日 -
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年12月3日


































