小泉進次郎氏「営農指導員は国際認証取得の指導を」2017年3月21日
JA全中は3月17日、東京都内で2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピック競技大会へ向けた食材調達基準の学習会を開いた。41都道府県の県中央会や単協およそ150人が参加した。GGAP、JGAP、鹿児島県のK-GAPについて講演が行われ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会だけでなく、その先の輸出へ向けた取り組みとしても重視した。
来賓としてあいさつした自民党の小泉進次郎農林部会長は、今回出席していない都道府県を挙げ「残念ながら出席されていない県があるが、ぜひともこの会で勉強した後、単協でも勉強会をしてほしい」と前向きな取り組みを呼びかけた。「改革の議論のとき、反対集会では1500人を集めたJAグループが、今回の研修では150人。反対するときには集まるが、前向きな取り組みでは10分の1しか集まれないと私は思った。(JA全中の)大西常務からは、『今回がスタート。積み重ねて1500人を超える』と力強い言葉があった。言葉だけでなく実際に形になることを期待している」と述べた。
また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を前に、"高品質・安全・安心・おいしい"と謳ってきた日本の農畜産物が1%も国産をだせない現状を指摘。「この機会に国際認証取得を加速してほしい。いままで日本の農業を担ってきた現場の農家ができないはずはない」と激励した。
国際認証取得のためのコンサルや審査を「コスト」だと分析。JAグループの営農指導員がそれだけの能力を持てばコンサル費用がなくなり、負担が減るとし「JAグループに1万人以上いる営農指導員に国際認証の指導ができるよう研修を」と提案した。また「団体認証で国際認証をとるとコストも下がる。農家ひとりだけではできないことを協同組合の精神で集団の力を発揮できるのがJAグループ。その力を最大限に生かしてほしい」と呼びかけた。
◆競技大会だけでなく輸出も視野に
JA全中の大西茂志常務はGAP(農業生産工程管理)の取り組み状況などを報告。GAPの導入産地数は2737。そのうち種類別では都道府県GAPが23%、JAグループGAPが21%、GGAP、JGAPは2%に留まる(平成28年度全JA調査から)とした。今後は「輸出や人口減少で野菜などの加工業務用が増えている。認証が大きなテーマとなってくるだろう」と指摘。またこれまでの取り組みをベースに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会だけでなく、これからの需要の変化、一方で部会や大規模法人などの雇用が増えており、改めて認証でPDCAを回すことも重要で、認証が大きな役割を果たしてくると分析した。
農水省生産局の河内幸男農業環境対策課長はGAPの認証を「第3者の目でみて、外に示せることが大事」と指摘。また(公財)東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会が定める同競技会での食料調達について話した。ロンドン大会から「持続可能性に配慮した調達コード」を策定・運用しており、農産物では(1)食材の安全確保、(2)周辺環境や生態系と調和のとれた農業生産活動を確保、(3)作業者の労働安全を確保することが調達要件として掲げられていると説明。これらを満たすものとしてJGAP Advance(アドバンス)、GGAPなどをあげた。どの程度の量が必要となるかは今年の夏ごろまでにまとめる予定となっている。
このほか、(一財)日本GAP協会の萩野宏事務局長、(一社)GAP普及推進機構横田敏恭理事長、鹿児島県農政部食の安全推進課の中山久幸技術補佐がGAPの第三者認証と確認のしくみについて話した。
(写真)挨拶を述べる小泉農林部会長、JA全中の大西常務の報告
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