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事業と政策 現場で検証を JA-IT研究会が50回記念研究会2018年10月29日

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農協の使命と可能性探る

 JAの新たな営農経済事業の創出と組合員参加型の協同活動づくりに向け、JA役職員が参加し討議する場として活動してきたJA-IT研究会は10月19日、20日の2日間にわたって東京都内で第50回記念公開研究会を開いた。今回のテーマは「農協の使命と可能性」。新たな農村の動きや農政の動向などをふまえJAの営農経済事業の方向を議論した。主要な報告と議論を紹介する。

◆地域創生にJA関与を

小田切徳美・明治大学教授 明治大学の小田切徳美教授は「農山村に吹いてきた風」と題して各地の地域づくりの現状分析をするとともに、JAに期待されることを課題提起した。
 最近の世論調査では若者や子育て世代の女性たちに「田園回帰」志向が強まっていることが明らかになっているが、移住者が増加する地域はむしろ過疎地域や離島が多いという傾向がみられるほか、若者が自分で「しごと」を作る動きも出ているという。
 自らの起業のほか、豆腐加工など古い仕事を新しく継ぐ継業、Webデザインなどの仕事を農村ぐらしに持ち込む移業、さらに農業と観光業など組み合わせて生業とする多業などだ。「こんなところに仕事はない」という地元住民の思い込みを打ち破るこうした動きに注目すべきだと小田切教授は指摘する。
 また、移住しないまでも、特産品の購入から始まって頻繁な訪問と長期滞在などで農村に関わりを持つ「関係人口」にも着目した地域づくりの重要性も指摘した。こうした動きには人口が少ない農村でも「面白い人や場面」があることに人が惹きつけられ、その惹きつけられた人が地域づくりを刺激し、サポートするという好循環がある。
 これを小田切教授は「にぎやかな過疎」と位置づけ、人口は減っているものの、年齢も個性もさまざまな人が「ごちゃまぜ」に地域づくりに取り組んでいる新たな農村の姿を見出す。そうした地域には共同売店や特産品開発などに取り組む地域運営組織があるが、JAがもっと関わり、新規就農希望者への支援や、若者の仕事づくりに総合JAのノウハウで支援する必要性も提起した。

(写真)小田切徳美・明治大学教授

 

JA-IT研究会が50回記念研究会 10月19日(土)

(写真左から)今村奈良臣JA-IT研究会代表委員、小田切徳美教授、
松岡公明JA-IT研究会企画委員、吉田俊幸JA-IT研究会副代表

  

◆組合員参加が生命力に

松岡公明氏 農林年金理事長でJA-IT研究会企画委員の松岡公明氏は協同組合としてのJAの事業、運動や自己改革のあり方などについて改めて課題整理をした。
 松岡氏はJA自己改革を進めるには協同組合の価値を共有する必要があると強調した。組織の原理は利他精神と相互扶助であり、それに基づき徹底した地域密着型の事業を展開する。いわゆる「夜逃げ」ができない協同組合として地域社会と共生する。
 行政や地域住民などとの徹底したコミュニケーションで協同組合としての農協の理解者を増やす重要性も指摘した。
 一方、自己改革の取り組みでは対話運動の実践が求められている。前提となるのは、組合員が営農、生活で困っていることを組合員のニーズとしてつかみ、一方でJAの事業改革への取り組みなどについて徹底して話し合う。JAと組合員との関係の結びなおしの運動でもあり、組合員がJAに参加・参画しようという意欲が「農協の生命力」を高めるなどの点を指摘した。
 また、このような対話運動では協同組合とは何かについて自分なりの解釈や自分の言葉で語れるようになるための学びあいの重要性や、組合員のクレームこそ「宝の山」との認識などをあげた。

(写真)松岡公明・JA-IT研究会企画委員

 

◆ムラなくして担い手なし

安藤光義・東京大学教授 東京大学の安藤光義教授は日本農業の構造変化を分析しJAや地域の課題を指摘した。
 担い手不足と品目横断対策に対応した受け皿として、集落営農組織づくりとその後の法人化が各地で進んだが、高齢化が進み、現在は後継者問題が浮上している。安藤教授は「法人化はゴールではない」と指摘した。
 また、大規模担い手への農地の集積もその進展は鈍い。2015年センサスで20ha以上への農地集積率は全国で37%。北海道では84%だが、都府県ではわずか17%だ。20~30ha規模の農業経営に8割の農地を集積させるという政府目標の達成は困難とみる。
 また、中山間地域では主業農家も集落営農もない集落が37%、山間地では5割を超えており、こうした地域では構造政策を進めるのが非現実的で担い手をいかに増やすかに焦点をあてるべきだいう。

(写真)安藤光義・東京大学教授

 

JA-IT研究会 50回記念研究会会場のようす 同時に、大規模担い手への集積が進んだ北海道でも、いかにして農家を残すかが課題になっている。安藤教授は「農地を集積して終わりではなく担い手を育て支援することが求められている」と強調し、30歳未満の農業経営者が2015年センサスでは純増したことや、常雇農業者のうち24歳以下は基幹的農業従事者を上回っているなど、職業として農業を選択する若者への支援や、家族経営を軸とした担い手づくりを課題とした。
 実際、農地集積のため農地中間管理機構が稼動したが、その実績は低調だ。5年目を迎えて機構の仕組み見直しも議論されるが、安藤教授は県組織としてではなく農地の貸し借りの際に顔が見える市町村段階に機構を設立すべきだったのではないか、農地集積円滑化事業の再評価も必要ではないかと指摘。その理由は大規模経営であっても水路管理などは集落組織の協力がなければ継続できないためで「ムラが担い手を支えているという実情」だからと言う。その視点から農業政策と地域政策を組み立て直すべきと提起した。

 

◆食品産業・地域との共生

奥村一則・サカタニ農産代表 そのほか元ニチレイ社長の浦野光人氏がJAと食品産業の連携について問題提起した。研究会で農業経営の課題は「法人化がゴールではない」ではないことが指摘されたが、6次産業化やバリューチェーンづくりなどで農業経営の高度化が求められている。食品産業はこれまでも地域の国産原材料の地域の外食産業などに供給する事業に乗り出しており、JAも「自分の地域の価値、強みは何かを見出して食品企業と連携していくことが重要」と指摘した。例として十勝では将来を見据えて新たに落花生産地づくりをめざした取り組みが進んでいることを挙げた。
 また、サカタニ農産の奥村一則代表から地域と融合しながら1000haの大規模経営をめざしている取り組みや日本生協連の新井ちとせ副会長から生協の取り組み報告もあった。
 なお、JA-IT研究会は「JA総合営農研究会」に名称を変更することが報告された。

(写真)奥村一則・サカタニ農産代表

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