経済事業改革でJAの経営基盤強化へ 全中・全農・農林中金が一体で支援強化2019年11月1日
JA全中・JA全農・農林中金は合同で10月31日、東京都内で「営農経済事業に関するJA実践支援の合同説明会」を開いた。
JAの営農・経済事業を中心とする経営改革を中央会、全農県本部・経済連、農林中央金庫・県信連がそれぞれの機能を生かし、支援体制をさらに強化しようというもので、これまでJA全農が3か年の取り組んできた「手取り最大化モデル55JA」などの成果を基に、今後3か年でこれをさらに強化・加速化する。こうした3団体の説明会は初めてで、全国からJA、県域・全国の連合会、農水省などから約260人が参加。JA支援に対する意識を共有した。
新中期3か年計画に取り組むJA全農は、今年度から、新たにJA経営基盤強化に向けた支援を本格化する。地域農業のあり方や、組合員ニーズが大きく変化する一方、今後JAの信用事業をめぐる環境が厳しくなって経営状態の悪化が予想されている。
これに備え、収支が赤字の営農・経済事業を改善することで経営基盤を強化しようというもので、JAの経営分析を行っている農林中金や中央会との連携を進める。地域の環境や組合員のニーズに沿った改善のため、JA独自のマスタープランを作成し、実行する。
説明会では、農水省経営局協同組織課の日向彰課長が、農水省の総合農協統計にもとづき、経済事業の赤字体質を脱却している全国の約2割の農協の特徴を紹介。そのなかで黒字農協と赤字農協の際立った特徴として、1農協当たりの経済事業の総利益はほぼ同水準だが、黒字農協の事業管理費11億円は赤字農協の28億円の半分以下になっていることを指摘。
「これは、やる気があればできることを示している。今後、農協の経営は厳しくなることは確実。そのことを踏まえて経済事業の改革・経営基盤の強化に取り組んでほしい。食料のニーズは将来ともある。民間企業と比べ、これは農協の強みだ。次の世代に農協をつなぐため、黒字農協の事例を面的に広げ、今後100年も続く組織であっていただきたい」と奮起を促した。
JA全中、農林中央金庫、JA全農がそれぞれのJA支援の取り組みについて説明した。
JA全農は今後の3か年計画で、JA課題への対応(事業別課題解決)、JA域を超える課題(広域・県域)への対応を進めるため、中央会系統・信用系統をと連携したJA事業の"見える化"を図り、JAに改善点を提案する。
実践報告では、JA新いわてと、JA全農広島県本部が実践報告した。
JA新いわてはJA全農岩手県本部と連携した経営の"見える化"プログラムの導入や今後の取り組みなどについて話した。報告した畑中新吉常務は、これまでの自己改革の経験から、危機とは「いま必要なことに取り組まないことによって失うものについての認識がないこと」と指摘。当事者意識を持って取り組むことの重要性を強調した。
またJA全農広島県本部は、全農広島県本部の豊田哲也副本部長が、JAの持つ課題を踏まえた事業戦略のさまざまな実践事例や、JA庄原における"見える化"プログラムを核としたJA支援の取り組みを紹介した。豊田副本部長は「"見える化"の取り組みを通じ、JAならびに本会役職員の意識改革の動機付けになり、意思統一が図られた。この成功事例を他のJAに拡大したい」と決意を述べた。
(写真)実践報告をする豊田JA全農広島県本部副本部長
JA支援へ全中・全農・農林中金ががっちり手を組んで
(左からJA全中・山田秀顕常務、JA全農・野口栄専務、農林中金・中島隆博常務執行役員)
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