「食のリスク拡大恐れ」「酪農家が廃業する」 食料安保強化など予算確保へJAグループ基本農政確立全国大会2022年10月14日
政府の総合経済対策策定や本格的な予算編成を前に、JAグループの意思結集を図る「JAグループ基本農政確立全国大会」が10月14日、都内で開かれた。生産資材の高騰など農業を取り巻く環境がかつてなく厳しい中、参加者からは「食料の安定供給にかかるリスクが拡大する恐れがある」「酪農家は五里霧中の状況で、廃業してしまう」などと危機感を訴える発言が相次ぎ、食料安保強化や持続可能な農業・農村の実現に向けてJAグループが一体となって取り組む方針が確認された。
食料安保強化などへ意思結集を図ったJAグループ基本農政確立全国大会
大会でははじめにJA全中の中家徹会長が「生産資材高騰などによる農業生産基盤の弱体化など日本の食を取り巻く5つのリスクがまさに現実のものとなり拡大するおそれがある。全国の生産現場は大きな不安を抱えており、補正予算と来年度予算は全国の農業者の背中を後押しし、不安を払拭する力強いメッセージとなるようお願いしたい」と強調したうえで、「食料安保の観点からこれ以上日本農業を弱体化させてはならない。政府与党と力を合わせてこの難局を乗り切れるようJAグループの総力を挙げて取り組んでいく」と決意を述べた。
そのうえで食料安全保障の強化に向けた大胆な対策の拡充・強化や、輸入依存穀物等の増産・米粉等利活用の推進など、予算編成に向けたJAグループの重点要請事項について説明した。
これを踏まえて、与党を代表して自民党総合農林政策調査会の江藤拓会長は「酪農対策や肥料対策は予備費などで措置したが、年明けをどうするか早く道筋を示さなければ明るい年末にはならず、しっかり連携して対処したい」と発言。さらに「食というものは人間を形成する基本中の基本であり、国民が食に困ることがあれば国は最低限の責任を果たしていないとそしりをうけても仕方ない。今こそ食料安保を確立し、しっかり来年の予算も増額を獲得して有効に活用したい」と強調した。
JA釧路太田 徳田善一組合長
このあと生産現場を代表して2人が意見表明した。酪農現場を代表してJA釧路太田(北海道)の徳田善一組合長は「今の酪農現場を一言でいうと五里霧中で前が見えない状況。餌高に資材高騰は経営を圧迫し、牛の個体価格も大暴落しているうえ、さらに生産抑制があり、経営が成り立つレベルになく本当に酪農家は廃業してしまう」と窮状を訴えた。そのうえで釧路で開いた集会に1000人もの酪農家が集まったと述べたうえで、「食料安保強化が議論される中、酪農家が廃業しては食料安保などありえない。まず酪農家を支えることが食料安保の入口だと思う」と支援を求めた。
JA愛知中央会 長谷川浩敏会長
また、JA愛知中央会の長谷川浩敏会長は、野菜産地も農産物の販売価格の低迷で厳しい状況に直面していると強調したうえで、①野菜を含めた農産物の公共調達②野菜価格安定制度の堅持など③施設園芸の暖房対策の3点を要望。この中では、「資材価格高騰で特に施設園芸産地ではこれからハウスの暖房対策が必要となる。電気料金の高騰などは農家経営を圧迫しており、施設園芸原油高騰対策を継続するとともに今後の動向を踏まえて機動的な対応と十分な予算拡充をお願いしたい」と訴えた。
大会では、最後にJA全青協(全国農協青年組織協議会)の佐藤崇史会長が音頭を取って、参加者全員で「食料安全保障の強化と持続可能な農業農村の実現のためにみんなでガンバロー」とガンバロー三唱で締めくくった。
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