降雨や湿度が頭痛発生と関与 可能性を報告 JA新潟県厚生連糸魚川総合病院2023年3月7日
JA新潟県厚生連糸魚川総合病院、ベルシステム24、獨協医科大学、埼玉精神神経センター、国立病院機構七尾病院の共同研究チームは、気圧予報に基づく体調管理アプリ「頭痛ーる」のビッグデータを人工知能で解析し、気圧の変化や降雨や湿度など天気が頭痛発生に関与する可能性を報告した。同研究はアメリカ頭痛学会の公式医学誌『Headache』に2月28日に掲載された。

「頭痛ーる」は、気象を起因とする疾患を持つ人に向けてベルシステム24が提供している気圧予報に基づく体調管理アプリ。気象庁から提供された気圧予報とアプリで毎月120万件収集しているユーザーの体調に関する情報を組み合わせ、導き出された精度の高い気象病予報は多くのユーザーに愛用されている。
共同研究は、「頭痛ーる」アプリによって集められた匿名のビッグデータと人工知能を用いて行なわれた。2020年12月から2021年11月までの頭痛記録データのうち、東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府・愛知県・石川県で記録された片頭痛が強く疑われるユーザーのデータを抽出。さらに、気温や湿度などの1時間毎の天気データと、アプリでの1時間毎の頭痛登録数を、人工知能の一種である時系列クラスタリングとPrediction One(ソニーネットワークコミュニケーションズ)を用いて解析した。
4375人の抽出されたユーザーはおよそ9割が女性で、平均年齢は34歳。その頭痛データを解析した結果、頭痛発生と強く関連する天気の要素として、「低気圧」「高湿度」「降雨」「6時間前と比較して大きな気圧低下」「朝6時の高気圧」「翌日朝6時の低気圧」「1週間かけて気圧が低いままであること」「1週間かけて気圧が大きく低下していること」が頭痛発生と関与することがわかった。総合すると、気圧の変化と、降雨や湿度が頭痛発生に関与することが示唆された。
これまでの天気と頭痛発生に関する研究は小規模なものが多く、一貫性のある結果は得られていなかったが、今回ビッグデータを用いることで、気圧の変化、降雨や湿度が重要であるというこれまでの研究結果を支持する結果が得られた。
今回の研究は、スマホアプリによるビッグデータを人工知能により解析した先進的な事例。頭痛に限らず、気象病や天気痛など天気によって不調を感じる人は少なくないことから、天気と健康について、さらなる理解・解明につながることが期待される。
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