「ミライ共創プロジェクト」発進 将来のJA経営層育成へ JA全中2023年7月10日
JA全中は令和5年度の教育事業として「ミライ共創プロジェクト」を立ちあげた。JAや生協など協同組合で将来、経営層の一翼を担うと期待される人材育成を目的とする。Web研修と全国規模でのフィールドワークを組み合わせ、地域課題の解決プロセスを通じて創造的思考に必要な洞察力や企画力を養う。7月6日、キックオフとなるワーキングを行い、JCA基礎研究部部長の小林元氏が、JAの職員は地域づくりにどのように関わるかについて話した。
小林元氏
プロジェクトには北海道から鹿児島県まで、12JAの中堅職員が参加し、プロジェクトの狙いや、これからの進め方などを確認した。JA全中教育部の田村政司次長は、「価値創造、イノベーションの根源は現場にある。現場で実際に体験することで、問題解決の仕組み、組織づくりの方法を見つけてほしい」と、フィールドワークを基本にしたプロジェクトへの期待を述べた。
JCAの小林部長は講演で、地域再生に必要な課題として、①関係人口、②器(うつわ)づくり、③人づくりの3つを挙げた。直接地域に関係ない人でも、地域と現在の居住地を行き来する人、地域内にルーツのある人など、多様な人材・関係人口が地域づくりに参画する状況が生まれている。
一方、多様な人材を含め、従来の集落とは異なるRMO(地域自治組織)が農地の保全や生活支援などに取り組む動きがみられる。小林部長は「多様な人、RMOのような多様な器を組み合わせることで価値創造の連鎖が生まれる」と期待を述べた。
一方で、現在の日本の地域やムラは大きく変化している。そもそも、①世代によって地域・ムラに対する考え方が大きく異なってきた、②生活が便利になり、地域やムラの助け合いが見えにくくなってきた、③コロナウイルス感染症とITが人と人のつながりを疎遠にしているという。
そこで小林部長は、これまでの地域社会の歴史をみて、「暮らし発の課題が地域づくりへ発展した」と分析する。1950年代の農村における台所や冠婚葬祭などの生活改善運動、70年代の農産物自給運動、80年代の農産物加工(一村一品運動)、そして90年代の助け合い組織と、JAの活動の変化にその軌跡をみることができる。
小林部長は、ここに暮らしを中心としたJAの女性組織の力を評価する。地域づくりのプロセスとして、地域の人の生活上のニーズ(課題)を見つけ、それを井戸端会議などで共有し、解決する。それに基づいて事業化・組織化する。女性部員中心に発展した初期の農産物の直売所などにそれをみることができる。
その上で同部長は、地域づくりの出発点として「点検からビジョンへのプロセスづくり」の重要性を挙げる。それには地域の外にいる人の目線、特に若者や関係人口の発想が大きな意味を持つ。「無いものねだりではなく、地域にあるものを探し、活かすことが大事だ」と指摘する。それは「外」の人が発見しやすい。
最後に地域づくりは「地域の仲間を広げて、自分の夢や願いをかなえること。そのためには自分の言葉で夢と願いを語ろう」と呼びかけ、ミライ共創プロジェクトの成果に期待を込めた。
重要な記事
最新の記事
-
米の価格 18週ぶりに下落 5kg4214円2025年5月13日
-
37年ぶりの国主催の国際園芸博 国民全員が「農」を考える契機に(2)つなぐ「国民皆農」運動に 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年5月13日
-
農業犠牲の交渉 「到底受け入れられない」 全中が緊急要請決める2025年5月13日
-
【JA人事】JA北はるか(北海道)小林治雄組合長を再任(4月15日)2025年5月13日
-
【JA人事】JA魚沼(新潟)新会長に久賀満氏(4月26日)2025年5月13日
-
【JA人事】JAほこた(茨城)新組合長に菅谷正氏(4月26日)2025年5月13日
-
【JA人事】JAそらち南(北海道)山本博行組合長を再任(4月4日)2025年5月13日
-
備蓄米仕入に共同購買事業を開始する小売組合【熊野孝文・米マーケット情報】2025年5月13日
-
大阪・関西万博に出展 日本の林業の今と未来を感じる体験型展示 林野庁2025年5月13日
-
Wismettacフーズ 農水省「令和6年度サプライチェーン連結強化緊急対策」補助事業者に採択2025年5月13日
-
高校生が育てた「とちぎ和牛」17日から限定販売 JA全農とちぎ2025年5月13日
-
【農業協同組合研究会】5月31日に研究大会 「令和の米騒動」「トランプ関税」で新基本計画の課題を問い直す2025年5月13日
-
熊本・JA菊池の春ニンジンが出荷本番 甘みたっぷり、日量30トン出荷へ2025年5月13日
-
ローソン「新潟美味しいもの巡り」新潟の味を楽しめる10品を発売2025年5月13日
-
やさと菜苑・JAやさとと農福連携の取り組み開始 東都生協2025年5月13日
-
ダイズの生産向上へ 岡山大と中森農産が共同研究 新たな栽培法や品種を育成2025年5月13日
-
コルテバと協業 窒素固定菌「ユートリシャN」を全国展開 片倉コープアグリ2025年5月13日
-
「inPROTEINすっきりマンゴーオレ風味」13日に新発売 森永乳業2025年5月13日
-
高信頼性放熱ベース板「アルシンク」生産設備増強を決定 デンカ2025年5月13日
-
「若手畜産家と青森県産牛を味わう会」開催 あおもりインターナショナルファーマーズブランド推進協議会2025年5月13日