内部統制で信頼強化 役員はリーダーシップ発揮を JA全中がコンプラでトップセミナー2023年10月18日
JA全中は10月11日、都内で全国JAコンプライアンス実践トップセミナーを開いた。コンプラ態勢、内部管理体制の構築、および不祥事未然防止のために取り組むべき課題について研修した。実参加の研修は4年ぶりで全国のJAからコンプライアンス担当の役員約60人が実参加した。
内部統制の重要さを認識したコンプライアンス実践トップセミナー
下げ止まりの不祥事
セミナーで主催者のJA全中の山野徹会長は、JAにおける最近の不祥事が下げ止まり傾向にあることに触れ、「JAグループ全体の信用にかかわる重大な不祥事も発生している。JAの全役職員は緊張感をもってコンプライアンス意識を高め、高いレベルの内部統制を構築してほしい」と危機感をあらわにした。
JA全中の山田秀顕常務は情勢報告で、最近のJAにおける不祥事の発生状況を示した。それによると平成27年までは減少傾向にあったが、それ以後は横ばいで、直近の令和4年度はやや増加に転じている。
事業別にみると、令和4年度で共済事業が37.8%と最も多く、次いで経済事業の26.1%、信用事業の12.6%となっている。不祥事の内容は、信用事業の「横領」(75.0%)、共済事業の「不正契約等(71.1%)、経済事業の「横領」(65.6%)などが多い。 山田常務は、不祥事を防ぐには「人づくり・職場づくり」の必要性を指摘。「組合員・利用者の信頼と期待に応えるため自ら努力する職員たれ」と訴えた。
内部通報を活用
それには役員のリーダーシップが重要で、日比谷パーク法律事務所の小川尚史弁護士は役員の法的責任について述べ、不祥事をなくすための内部通報制度の実効性を強調した。この制度は「違法・不正な行為を早急に発見し、自浄作用により対象・是正し問題の解決及び拡大防を図る」ための制度。小川弁護士は「重大な不祥事であっても、より早期に発見して自ら対処・是正することができれば、外部への内部告発、マスコミ報道、行政機関からの指摘として不祥事が発覚する場合に比べ組織に対するダメージを軽減できる」と内部通報制度の実効性を指摘する。通報者が給与・人事面で不利益を被ってはならないことも、公益通報者保護法で定められている。
また、JAの監査を担う、みのり監査法人の取り組みを報告した大森一幸理事長は内部統制について「監査のための内部統制という意識から、組織や組織の構成員を守るためのものと理解することがなによりも重要」と指摘した。その上で、「JAグループは社会的影響力大きい。その誇りを忘れないでほしい。それが最大・最強の内部統制だ」と期待を込めた。
社会の変化に適用を
農協におけるコンプライアンスについて講演した農水省協同組織課の姫野崇範課長も「単にルールさえ守ればよいという姿勢ではなく、時代とともに変化する社会の変化に摘要することであり、そうした組織文化を定着させていただきたい」と内部統制の意義を述べた。
なお、上司としての注意・指導とパワーハラスメントメントの違いについて中山・男澤法律事務所の高仲幸雄弁護士が、パワハラ、セクハラのハラスメントについて具体例を挙げて説明した。特に働き方改革で時間外労働の上限規制があり、「うちの業界は特殊で職員は分かってくれている」というのは役員にとって禁句で、「成果達成のゲームチェンジが必要」と指摘した
パワハラは法律・指針よりも、まずは適正な注意指導の範囲かを考えてみることだという。またマタニティハラスメントは「夫婦共働きを前提にした意識改革と職場の会話に注意が必要。」と指摘。職場の雰囲気をつかむため役員は自ら現場に足を運ぶべきだと強調した。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(141)-改正食料・農業・農村基本法(27)-2025年5月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(58)【防除学習帖】第297回2025年5月10日
-
農薬の正しい使い方(31)【今さら聞けない営農情報】第297回2025年5月10日
-
JA貯金残高 107兆2744億円 3月末 農林中金2025年5月9日
-
米、再生産可能な施策で後押し 石破茂総理2025年5月9日
-
【JA人事】JAぴっぷ町(北海道)大西組合長を再任(3月28日)2025年5月9日
-
備蓄米 全農出荷済み6万3266t 落札量の3割 出荷依頼には100%対応2025年5月9日
-
イネカメムシ被害を防げ 埼玉県と加須市、「防除」を支援 JAの要請実る2025年5月9日
-
備蓄米の円滑な流通 さらなる方策検討 買戻し条件見直しも 江藤農相2025年5月9日
-
米価 「高くなる」判断がやや増加 米穀機構2025年5月9日
-
(434)世界の配合飼料業界のダイナミズム【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月9日
-
全農杯全日本卓球選手権大会(ホープス・カブ・バンビの部)岐阜県予選会を県産品で応援 JA全農岐阜2025年5月9日
-
職員対象に「農業体験研修」を実施 JA全農あきた2025年5月9日
-
米を買うときに重視「国産米」77.8% お米についての緊急アンケート 日本生協連2025年5月9日
-
外食市場調査3月度 市場規模は3162億円 3か月ぶりに前年比でもマイナス2025年5月9日
-
BASFグループの第1四半期業績 特別項目控除前EBITDAはほぼ前年同期水準を確保2025年5月9日
-
鳥インフル 米サウスダコタ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年5月9日
-
生活協同組合ひろしまと連携協定「無印良品」商品を供給開始 良品計画2025年5月9日
-
ノークラッチで簡単操作「三菱トラクターGJE28・35」新発売 三菱マヒンドラ農機2025年5月9日
-
カインズ 神奈川県相模原市と「包括連携協定」締結2025年5月9日