米穀、燃料など取扱増で取扱高は計画比102% 当期剰余金は過去最高の189億円 23年度 全農決算2024年7月24日
JA全農は7月24日、2023年度の事業実績と経営概況を明らかにした。米と燃料の取扱数量と価格の上昇で取扱高は4兆8200億円の計画に対して実績は4兆9348億円と計画比102%、前年比100%となった。
取扱高を事業別にみると、米穀農産事業が集荷量の増加と米価の上昇で7077億円で計画比108%、前年比105%となったほか、燃料の取扱高が増加した生活関連事業は9287億円で計画比111%、前年比102%となった。
園芸事業は計画比100%の1兆1705億円で前年比104%、畜産酪農事業は1兆3229億円で前年比は96%となったが、計画比では105%となった。飼料価格の高止まりが影響した。
一方、耕種生産事業は肥料の値下げ改定で計画比90%、前年比92%の8050億円となった。
事業総利益は米の販売数量の増加などで計画930億円に対して実績973億円となった。事業利益は計画5億円に対して実績41億円となった。
経常利益は受取配当金の増加などで計画92億円に対して実績174億円となった。
当期剰余金は法人税等調整額の減少で189億円と過去最高額となった。
2023年度は新型コロナウイルス感染症が5月に5類となり、行動制限解除で事業活動は回復した。一方で地政学上のリスクの高まりと円安で生産資材価格の高止まりなどへの対応が求められた。
こうしたなか全農は中期事業計画の2年目となり、同計画で設定した6つの全体戦略の取り組みを進めた。
「生産振興」では生産性向上に向けて、デジタル技術を活用した営農支援システムの普及拡大をはかり、営農農管理システム「Z-GIS」は新規ID210、累計で2017IDとなったほか、栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」は新規ID2747、累計で3173IDとなったほか、農研機構と連携した米の業務用多収品種「ZR1」を育成した。
「食農バリューチェーンの構築」では物流問題に対応するため米専用貨物列車を7回運行し、定期運行による輸送力を確保した。また、JAタウンはテレビCМなどを活用した認知度向上などに力を入れた結果、前年比115%の37億円の実績となったほか、商品開発では「ニッポンエール」で新規に202商品を開発し、累計で463商品となった。
「海外事業展開」では、食料・資源の調達競争に対応するため、現地サプライヤーとの連携強化による肥料原料の安定調達と国の備蓄事業へ参画し10万tを備蓄した。
日本産農畜産物の輸出は和牛の輸出量が計画を上回る1000t超となるなど、前年比102%の229億円となるなど健闘している。
「地域共生・地域活性化」では、太陽光発電や蓄電池を活用した自家消費型太陽光発電(PPA)モデル導入に取り組み、新規で9件、累計で20件となった。
「環境問題など社会的課題への対応」では、環境調和型農業に対応する技術と資材を体系化した「グリーンメニュー」の導入に48JAが取り組み実証を行ったほか、温室効果ガス低減に向けた水田の「秋耕」の普及を推進し、23年度は6割程度のJAで栽培暦・栽培記録簿に記載された。25年産米までに全JAでの記載をめざしている。
「JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築」では、TAC活動など組合員を訪問するJA職員を支援する「担い手営農サポートシステム(NEサポシステム)の開発と試験導入、JAの資材関連業務の効率化の「受発注センターシステム」を新規に48JAに普及し累計で83JAが利用している。
JA全農は7月30日に東京都内で総代会を開き、23年度の事業実績と経営概況を承認する見込み。
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