【JA全農の若手研究者】新規殺菌剤プロブラッド液剤を開発2026年3月25日
JA全農は全国4研究拠点で現場課題を起点としたテーマを設定し、革新的な技術の創出に挑戦している。3月19日、東京・大手町のJAビルで、その中から若手研究者4人が研究発表を行った。主催は農協記者クラブ。一人目は、JA全農営農・技術センター(神奈川県平塚市)農薬研究室の竹下礼夏氏が「新規殺菌剤プロブラッド液剤の開発」を発表した。
JA全農営農・技術センター(神奈川県平塚市)農薬研究室の竹下礼夏氏
農薬研究室では「みどりの食料システム戦略」に伴い、適期散布や低リスク農薬開発、品種開発を進めています。新規殺菌剤「プロブラッド液剤」は2022年から研究に取り組み、3月17日にクミアイ化学が販売を開始しました。
プロブラッド液剤の特徴
有効成分はポルトガル企業が発見した「発芽スイートルーピン抽出タンパク質」。対象は園芸作物の「うどんこ病」「灰色かび病」防除です。有効成分は食用にも用いられ、環境負荷が少なく、残留基準値の設定がないため散布回数に制限がありません。また、作用点を複数持つことで耐性菌発生のリスクが低いユニークな作用機構を持ちます。米国やEU、韓国などグローバルでも登録、使用され、日本同様に残留基準値の設定が不要になっています。
農薬研究室で行った、トマトうどんこ病に対する予防効果と感染後の治療効果のポット試験では、化学農薬には及ばないものの、実用的効果を示しました。キュウリうどんこ病のほ場試験でも実用的な効果が認められました。また、発病葉率よりも、発病面積率がより低く抑えられ、健全葉への「二次感染」抑制が期待できることが分かりました。
トマトうどんこ病を対象にした化学農薬との体系処理試験も実施し、化学農薬を一部プロブラッド液剤に置き換えても、防除価は高い値を示しました。特に、散布体系の中盤以降に組み込むことで、より高い効果が確認されています。
これらの結果、うどんこ病に対する実用性が確認できました。しかし、病害の発生が多い甚発生時の治療的効果は限定的であるため、他の防除法と組み合わせることで、発病を一定程度に抑制できます。散布回数が多くなりがちなハウス栽培では、予防剤をプロブラッド液剤に置き換えることで、効果の高い化学農薬などを栽培後半まで温存でき、耐性菌の発達を抑制できます。
プロブラッド液剤の活用についての提案
こうしたローテーション防除を提案するとともに、今後は灰色かび病など他の病害への効果確認や、天敵製剤と組み合わせた環境負荷の低い防除法の検討を進めます。施設園芸研究室の協力による、実ほ場での試験も良好な結果を得ているので、普及に向けた検討を加速させていきたいと考えています。
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