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シリーズ:今村奈良臣のいまJAに望むこと

【今村奈良臣・東京大学名誉教授】

2018.07.14 
【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第61回 「真のJA自己改革にむけたJA経営の今後のあり方を探る」 ―「JA人づくり研究会」第29回研究会の報告・討議の紹介― ―JAみっかび代表理事組合長・後藤善一氏の報告のつづき―一覧へ

6. 4P戦略の重要性
 ブランド戦略とは、その組織全体の戦略です。ブランドが接着剤の役目をしているということで、マーケティングの4P、すなわち、Product、Price、Place、Promotion、この4つをうまく結びつけていく、くっつけていくことが必要です。
 JAみっかびは、サントリーとハイボールの事業を行ってきました。サントリーは「三ヶ日ミカン」というブランドが欲しかったのです。ブランドとは、哲学、想い、組織の生命線でもあると思っています。そして、その人、また組織の持っている価値観、こだわり、生き様だと思っています。私は職員に「ブランドになれ」と言っています。その人にしかできない、また、そのレベルのものを持っているかけがえのない人財になれということです。生産者としてやっていた頃、指導機関や行政は、ミカンがとれだす時期になると、「今年は何十万トンあるからミカンは安い」と言っておりました。それを聞いて私は、腹が立ちました。「他の産地のミカンと一緒にするな!」と思ったものです。「特別なミカンだから、いくら全体数が多くても売れる」と思っていました。
 マーケティングは優位に売れていく仕組みづくりです。差別化し、ブランドにしなければ商品は売れません。ミカンであれば何でもいいのではなくて「三ヶ日みかん」が欲しいと思って買ってもらえなければ、駄目なのです。今年は、大田市場、名古屋市場にも出荷しましたが、秀のMで1箱1万円になりました。1万円でも買ってくれるということです。

 

7.単独JAとして存続するためにはどうすべきか
先日、役員の研修会でお話いただいた方に「JAの強みは何か」ということをお聞きしたところ「地域に密着しているところ」との回答がありました。そのうえで、「これから成長産業になっていくと言われている農業に関わっているということだ」と言われました。私は、そこに自分たちのこれから行く道があるのではないかと考えています。

 

8.「ブルーオーシャン戦略」の構想
いま、私が取り組もうとしていることが、ミカンの機能性を活かした「ブルーオーシャン戦略」です。ミカンは嗜好品のカテゴリーの中で競合していると思っていますが、おいしいだけでは食品を売るのには限界があります。そこで、健康食品という領域に入れて、これまで戦ってきました。ただおいしいだけでなく、きれいなだけでなく、食べれば健康になるということを目指してきました。ブルーオーシャン戦略の反対の言葉で「レッドオーシャン戦略」があります。同じ体力、同じ武器で戦えば、血みどろの戦いをするしかないということです。
「ブルーオーシャン戦略」は相手の土俵で相撲をとるのではなくて、こちらの土俵に誘い込み、戦うということです。
得意技でもって圧倒的な差を持って戦っていくのです。それこそが私は大切だと思い、これまで全力で取り組んできました。

 

9.新たな食の路線を見出す
食品は戦前は生命維持のための栄養食品でしたが、戦後は、食を楽しむ時代になり、そしてこれからは、食で健康を改善・維持する時代になると言われています。普通の食品メーカーが、栄養・健康・ウェルネス企業に変わってきています。その先には約15兆円の市場があります。

 

10.トップ・セールスの重要性
私は、トップセールスが大事だと思ってきました。トップがいろいろなところへ出向き、このような考えで、こういった取り組みを展開していますよ、と言うと、その組織が進んでいる方向が示され、伝わります。いいイメージができれば、農協のイメージも上がっていくと考え、積極的に取り組んできました。
それがすべてミカンの単価に影響しているとは言えませんが、大きな影響を与えていると思っています。
最初に紹介しましたが、組合員アンケートでも9割の方が支持してくれています。この事実から、自分がこれまでやってきた路線は間違いではなかったと考えています。

 

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