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JAの活動:農協時論

【農協時論】生活困窮者への支援 『今こそ協同助け合いのとき』を緊急発動 宮永均 JAはだの代表理事組合長2021年7月21日

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生活困窮者への支援の取り組みとして
ソーシャルサポートネットワークの視点から

宮永均 JAはだの代表理事組合長宮永均
JAはだの代表理事組合長

新型コロナウイルス感染症の影響により生活困窮者が増大し、地域の基盤が揺らいでいるという強い危機を感じている。JAはだの管内でも、残念ながら仕事を失うなど家庭環境が一変してしまったご家庭もある。当JAではこのような認識のもと、食料を生産する組織である立場から社会的責任を果たすことを目的に、生活困窮者への対応として"今こそ協同助け合いのとき"と題した食糧支援策を緊急発動することとした。

これは生活困窮者、特に学校給食がない夏休み期間中の子どもたちに対する支援が必要と考え、秦野市社会福祉協議会と連携して主食である米を提供するために、稲作農家に支援を呼びかけ、地域で困っている人を支え、地域の子どもは地域全体で育てるという視点に立ち、地域で助け合いの輪を広げようというものである。取り組み初日、考えに賛同した稲作農家からは、約200㎏の善意が提供され支援活動が始まった。

また一方で、この支援策は協同組合間連携の中でも賛同を得ることになり、友好・災害時連携協定を締結する、米どころ福島県の「JA東西しらかわ」より米600㎏の支援をいただいた。

生活困窮者はさまざまな地域で例外なく増大しているが、外から見えにくい特徴を持つことで、自治体をはじめ社会組織の問題認識や対応が不十分な状況にあると考える。誰もが差別されず、排除されず、身近な地域でその人らしく自立した生活を送ることの実現を目指す地域福祉の推進が本格的に求められている。生活困窮に陥っている人の要因は構造的なものであるが、これらの課題に対応できる新たな総合的な取り組みが「ソーシャルサポートネットワーク」の構築であり、今回の支援策はその一端をJAが積極的に実践するものだ。

そもそも、これまでのソーシャルワークは、行政がサービス利用を決定する措置制度が長く続いてきたこともあり、制度やサービスに適応するか否かという手続き的な判断をすることが大きな要素を占めてきたと言える。しかし、生活問題の複雑・多様化に伴う個別的な問題に十分に対応できず、問題が深刻化してしまう場合も考えられる。

「ソーシャルサポートネットワーク」では、従来の社会福祉制度に基づく専門関係機関等による専門的サポート(フォーマルケア)に加え、住民参加による個別性を尊重した地域福祉活動(インフォーマルケア)を有機的に結びつけ、地域に根差した支援網を構築することで自立した生活を支援する。

JAはだのはコミュニティソーシャルワークの観点から、利用者と家族の関係性、地域の生活環境との関係という全体的な視点に立ってアセスメントを行う。当JA管内の地域住民がどのような問題を抱え、それがどのような原因と背景を持ち、解決のためにはどのような支援が必要とされるのかといったニーズ志向の視点に立ち、潜在的なニーズを掘り起こし、顕在化していく具体的な作業が重要なのである。また、地域の特性を生かした予防的なアプローチも必要になるが、地域住民らが自ら地域福祉問題を認識し、主体的に、また協力し合って、それらの問題解決を図る意識の醸成と行動を起こすことができるような地域コミュニティの構築が、ますます重要な実践目標になる。

問題解決を専門職に依存するだけではなく、インフォーマルな支えを活用しながら援助を必要としている人間像を、家族、友人、近隣住民、地域などの関わりの中で捉え、課題を克服していく力をつけることが地域助け合い活動であろう。"今こそ協同助け合いのとき"の実践行動が、こうした「ソーシャルサポートネットワーク」を安定して展開していく一つのきっかけになればと考えている。

【農協時論 企画にあたって】

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