JAの活動:農協時論
【農協時論】現代の農協―運動けん引する組合員の拡大を JA十和田おいらせ・小林光浩前専務2022年4月20日
「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならいのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップなどに、胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回はJA十和田おいらせ前専務の小林 光浩氏に寄稿してもらった。
JA十和田おいらせ・小林光浩前専務
農協人が忘れてならない社会的使命
現代の農協は、「農業を支援する広域協同組合」であるべきだ。過去に「農業の協同組合」か、「地域の協同組合」かを議論したが、時代は「協同組合による持続的な食料自給確保と、命と暮らしを守る取り組み」を農協に求めている。私たち農協人は、この社会的使命を常に忘れてはならない。
農協は「組合員の、組合員による、組合員のための組織」である。農協の事業は、組合員が参加できる環境づくりをすすめて、組合員の増加運動を実践していくことが「良い農協づくり」の姿であろう。この組合員組織こそが農協の強みである。
理解しやすいよう農協共済事業で例えれば、組合員が「自分の共済掛け金は自分のためになるばかりではなく、困っている人を助けるために役立っている」と考えることができる事業を推進する姿が相互扶助を基本とする農協共済事業のあり方だと思う。このことは、農協の全ての事業・活動に当てはまる。
農協では、「参加する組合員を増やす取り組み」が重要である。
現状把握・点検と具体的増加計画樹立
農協に参加する組合員を増やす取り組みを、全役職員が全事業・活動において取り組む。さらには組合員も参画して取り組むためには、組織目標が必要となる。その目標づくりの第一は、現状把握・点検であろう。現在どのような組合員組織があるのか、それらの組織数の過去10年分の推移はどうなっていたのか、実際の活動に参加している組合員数はどうなのか、組織の問題・課題は何かなどを把握しなければならない。
それは、品目別の生産者組織、直売部会、加工部会、集落営農組織等の農業生産者の組合員の組織点検である。また、青年部、女性部等の点検も必要。さらには、年金友の会、共済友の会等の事業推進のための組織点検も求められる。
そして、現在ある組合員組織だけではなく、自分の担当する事業を推進するための組織づくり等、「これからの農協事業・活動で求められる組合員組織とはどんな組織なのか」という課題の洗い直しを農協の全部署でやらなければならない。
そうして、未来のためのあるべき組合員の組織についても見える化する「組合員組織増強の5カ年計画」を樹立することである。
参加する組合員増加運動の実践
かつては農業者が農協組合員の多くを占めていた。今は、その農業者の組合員に替わって農協事業を利用する組合員が増加している。中には農業者の組合員が少数派になりつつある。従って、現代の農協においては、農協のあるべき方向、農協のあるべき姿、組合員の役割と参画の仕方、農協の運営方法等を新たに示さなければならない時期に来ている。
私の答えは、先に示した「農業を支援する広域協同組合」である。「協同組合による持続的な食料自給の確保と、命と暮らしを守る広域協同組合」を農協理念とする。農協職員や組合員の意識改革が求められ、農協運営方法等の制度変更も必要となる。
現状でも、農協組合員でない者が多くみられる。このことは現在の問題・課題である。組合員になっていない女性農業者、後継農業者、地産地消の農業者、ホビー農業者、農業希望者、農協事業利用者等に組合員になってもらうことから始めよう。
そして、仲間の食を支えようとする農業者の組合員を増やす、農業を支援する農協事業利用者の組合員を増やすことである。
こうした「農協に参加する組合員増加運動」を、全国の農協役職員が一丸となって取り組み、組合員自らも「仲間づくり運動」に参画して、新たな「農業を支援する広域協同組合」づくりをすすめる姿を夢見る。
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