JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは32【今さら聞けない営農情報】第151回2022年5月28日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材の概略をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を、別表2に掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
20.天敵等生物農薬(その3)
天敵等生物農薬とは、害虫の天敵であったり、細菌がつくる害虫毒素であったり、病原菌の生育を妨げる菌であったりと、病害虫の活動を妨げる働きをする生物のことをいうと紹介しました。前々回(No.149)は天敵、前回(No.150)は、「バチルス菌の産生する結晶毒素(BT剤)によるチョウ目害虫防除」を紹介しましたので、今回は「バチルス菌による養分・生育場所競合による病害防除」を紹介します。
バチルス菌は腐生性の菌といって、主に作物表面の老化物や土中の作物残渣などの有機物を栄養源として生きており、有機物を分解し自然に戻す働きをしています。あくまで作物上や土壌中の老廃物や作物残渣などの有機物を栄養にしていますので病原菌のように作物に侵入して病気を起こすようなことはありません。
それでは、どうしてバチルス菌を作物に散布すると病害防除効果を発揮するのでしょうか? 実は、病原菌もバチルス菌のように作物表面にまずは生息場所を定め、そこで作物由来の有機物などを栄養源にして繁殖していき、適宜作物に侵入して病害を引き起こします。病原菌が最初に作物に取りつこうとする時、作物体上では微生物間の養分と生息場所の競合が起こっています。そこで、病原菌がやって来るよりも前にバチルス菌を作物表面にはびこらせておけば、病原菌の最初の取りつく場所と養分をバチルス菌が奪い、病原菌が繁殖できなくなって結果として病害が出なくなります。バチルス菌はいたるところで繁殖できる性質を持っていますので、このような用途に役立つ菌なのです。
ですから、バチルス菌で病害を防除する場合は、病害が発生する前に予防的に散布し、作物をバチルス菌の鎧で覆ってあげるようにしなければなりません。バチルス菌は定着しやすい菌ですが、それでも安定した効果を得るまでには数日かかりますので、必ず製品のラベルをよく読んで、きちんと効果の出る使い方を心がけて下さい。使用者側が正しい使用方法を実施できるかどうかが効果を引き出すカギであることを忘れないで下さい。
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