JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは39【今さら聞けない営農情報】第158回2022年7月16日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材の概略をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を、別表2に掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
31.ミルベメクチン乳剤
土壌には様々な微生物が生息しており、その1つに放線菌と呼ばれる菌があります。この放線菌は、様々な抗生物質を産生することが知られており、天然に存在する菌がつくる天然物質を有効成分とし、培養菌から抽出してつくることから有機JASに適合しています。成分はミルベマイシンA3とミルベマイシンA4という2つの抗生物質から構成されており、これが害虫の神経系を攪乱して、害虫の行動を抑制して効果を発揮します。効果を示す害虫種は幅広く、ハダニ類やサビダニ類、ハモグリバエ類やコナジラミ類の幼虫、キンモンホソガなど一部チョウ目害虫効果を示します。この有効成分を有機JASで使用できる界面活性剤を使用して乳剤化してものがミルベメクチン乳剤で、製品名にはコロマイ乳剤やミルベノック乳剤があります。茶や野菜に使用されますが、製品ごとに登録作物が異なりますので、ラベルで適用作物をよく確認して使用して下さい。また、高温・乾燥の時の散布は薬害の恐れがありますので注意が必要です。
32.ミルベメクチン水和剤
有効成分のミルベメクチンを天然鉱物質にまぶして作られた粉状の製剤です。製品名ではコロマイト水和剤があり、主に果樹に使用されています。また、乳剤と同様高温・乾燥の時の散布は薬害の恐れがありますので注意が必要です。特に、ナシに使用する場合は、薬害が起こりやすくなりますので、和梨の場合は6月以前には使用しない、洋ナシに使用する場合は袋かけ後に使用するなど、品種で注意事項が異なる場合があります。いずれの場合にも農薬ラベルをよく読んで、適用内容を確認して正しく使用するようにして下さい。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日