JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは78【今さら聞けない営農情報】第197回2023年4月22日
肥料原料の価格の高騰に対応し、政府の肥料価格高騰対策事業の支援を受けるための化学肥料低減取組が進められています。この取り組みをより進め、日本農業を発展、維持させるためには、国内の肥料資源を活用する必要があり、それには堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材の活用が重要になります。本コラムでは、こういった有機質資材を有効活用するために必要な知識を順次ご紹介しています。
今回は、土壌の化学性改善における、ばん土性の改善と緩衝能についてご紹介します。
日本には火山が多く、耕地も火山灰土が多いことが知られていますが、この火山灰土には、酸化アルミニウムを成分とする"ばん土"が多く含まれています。ばん土は、酸化アルミニウムが遊離して活性化しやすい性質があり、そのことをばん土性といい、活性化の程度が大きい土壌を「ばん土性が強い」といいます。
ばん土性が強いと、活性化したアルニミウムが多く存在することになり、土壌中に含まれる作物の3大栄養素の一つであるリン酸を吸収不可能な形に変えてしまいリン酸不足を引き起こすという厄介なことが起こります。加えて、土壌の酸性化も進みますので、ばん土性は土づくりの上で重要な改善項目になります。ばん土性の改善のためには、まずは石灰資材を使用して土壌pHを適正域に改良し、その上で有効態リン酸を含むリン酸質肥料を適正量施肥します。もちろん、それとともに腐植を多く含む堆肥などの有機質資材を投入することが肝要です。
次に緩衝能です。土壌は、pHの急激な変化や病原菌などのストレスから作物を守っています。
酸性雨が降るなど土壌pHに大きな影響を及ぼすことが起こっても、土壌の持つ様々なイオンを吸着する性質によって、化学的な緩衝作用を発揮し、土壌pHの急激な変化を防いでくれます。
このように、作物の根圏で起こる化学的な急激な変化を和らげる能力のことを化学的な緩衝能といいます。この他、土壌の団粒構造によって、土壌中の空気と水分のバランスを適正に保つ物理的な緩衝能も有しています。この能力によって、作物を大雨や干ばつなどから作物を守っています。これらの緩衝能は、腐植を多く含む有機質資材が施用することで向上させることができます。
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