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JAの活動:未来視座 JAトップインタビュー

JA版 「三方よし」を力に JAグリーン近江(滋賀)大林 茂松組合長【未来視座 JAトップインタビュー】2023年10月3日

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滋賀県のJAグリーン近江は140余りの集落営農法人を基盤に地域農業振興を図ってきたことで知られるが、今年から取り組んでいる「地域農業戦略」では「農的関係人口の拡充」を掲げている。地域の人々と農との関わりを増やし、未来へつなぐ。「向かい風で風車を回す!」と説く大林茂松組合長にその心を聞いた。聞き手は文芸アナリストの大金義昭氏。

農的関係人口拡充 地域に活力注入へ

JAグリーン近江 大林茂松組合長JAグリーン近江 大林茂松組合長

大金 大林さんは、歴史ある地元神社の神主もされていますが、社家の生まれですか。

大林 違います。私の集落では昔から氏子の中から交代で神職を出し、私は65歳で資格を取って神主になりました。子どもの頃は村の「よりどころ」の神社でよく遊びました。

大金 鎮守の森の「よりどころ」といい「五穀豊穣」といい、JAに通じるところがあります。

大林 1953年の農家生まれで草津高校から近畿大学農学部に入り、農業機械の会社に5年いました。地元に帰って1981年、農協に就職しました。獣医になりたかったんですが、学校が東京にしかなく、行かせてもらえなかった。農協に入ったら、会社で働いているのとえらい違う。仕事と生活にオンとオフとの区別がなく、カルチャーショックでした。そういうもんかとわかりましたが。

農家の庭先が私の「原点」に

大林 組合員400人ほどの農協で、最初は購買に配属され、組合員さんの家に肥料などを配達するうちに家も顔も覚えました。今にして思えば、これが私を育ててくれた「原点」です。
2年ほどで営農指導に回り、稲作シーズンには「病気が出た、虫が出た」と毎日多くの相談があり、対応が間に合わない。「先手必勝」と考え、役場から耕地地図をもらって、耕作者の名前や作物を書き入れていきました。今でいうデータベースです。地図を手に田んぼを見て回り、ハガキ大のカードにいもち病の危険や肥料の具合などを記し、「営農情報」として提供。先回りすることで時間の余裕ができました。

大金 いわゆる「地回り・小回り・先回り」ですね。

大林 転作に黒大豆(黒豆)をとり入れたらどうか、と考えたのもこの頃です。産地の兵庫・丹波篠山にある穀物問屋に相談しました。お正月のおせち料理に欠かせない食材で、年末早い時期に出荷すると黒大豆は値が高い。ところが「丹波黒」は生育が遅く、なかなか正月までに出せない。「早生(わせ)黒」系の品種があり、滋賀は琵琶湖があるので育つのが兵庫より早かった。それが大当たりで、今では5億円くらいの産地になりました。

大金 営農指導に携わった組合長さんは、農家の庭先がわかっています。

大林 合併まではほとんど営農指導です。税金の相談も受けるのですが、わからないので勉強し、農協監査士の資格も取りました。1994年に9JAが合併して企画管理課に回され、中期計画立案や様々な内部調整に関わりました。

大金 常務理事から組合長になるまでの13年は?

大林 うちも2004年から経営管理委員会制度に移行しました。運営は経営管理委員会、執行は理事会ということですが、経営管理委員会は「おらが地域の代表」として長く務める方が多かった。管理担当常務としての私の最後の仕事が、経営管理委員会制度を新しい形の理事会制度に変えることでした。世代交代のネックにもなっていた。いろいろ大変でしたが変えました。今は常勤理事会を定期的に開き、大事なことは合議で決めています。経営管理委員会と理事会との「いいとこ取り」ですね。グッと変わってきました。

大金 2022年に組合長になりますが、折に触れて「組合員の声」を唱えておられる。

大林 2014年にJA改革の話が出てきたときに、その年の12月~翌年1月にかけて支店のふれあい委員会で議論を始めました。国が言うことにはいろいろありましたが、JAとしてどう変わっていったらいいのか。私の信念は「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)なんです。

大金 「近江商人」発祥の地ですものね。JAでは組合員の声を「営農・経済事業の強化」「暮らしに役立つ情報提供」「JA独自の取り組み」「組合員との関係強化」「地域とのつながり」の五つに集約しています。

大林 1番から4番までの組合員の声は、なるほどJAとしてもっと頑張らなければと思いましたが、5番目の「地域とのつながり」は、やってきたつもりなのに足りなかったのか、とショックでしたので重点を置いています。
管内はほとんどが水田です。企業なら業績が悪くなったら工場をどこかに移せますが、土地利用型農業は移動できず、地域とは表裏一体です。だから地域を大事にしたい。「農業よし、組合員よし、地域よし」または「農業者よし、JAよし、地域よし」です。

農村RMOで共に課題解決

大林 去年4月、支店を一つ閉じ、組合員からお叱りを受けた。出向いて話を聞いていくと、山間地の悩みが浮き彫りになってきた。「どうするか、みんなで一緒に考えよう。JAも頑張って協力するから」と呼びかけ、農村RMO(農村型地域運営組織)をとり入れ、立ち上げました。住民主体による課題解決の試みです。

集落営農を前面に 新たな改革を創造

文芸アナリスト 大金義昭氏文芸アナリスト 大金義昭氏

大金 140にのぼる集落営農法人はJAの大きな柱ですが、立ち上げた人たちも高齢化しています。

大林 私も自分の集落で集落営農を立ち上げて30年。なかなか後継者がいない。米は労働時間が長いので賃金(従事分量配当等)を支払うと赤字になってしまう。どこも同じで、立て直さなければいけない。
今年から第8次「地域農業戦略」がスタートしました。これまで生産と販売に重きを置いてきましたが、モデル地区活動を強化したり、ファーマーズマーケット「きてか~な」を拡張したりして、今回は新たに「農的関係人口の拡充」を加えました。「組合員とともに」を掲げ、「みんながみんなともっとコミュニケーション」をうたっています。
農家であるかないかにかかわらず、地域農業に関わってもらいたい。女性の参画ももっと得たいし、アルバイトで来てくれる人も歓迎しています。
2024年度からタマネギやジャガイモ、キャベツなど高収益作物を新たに210ha作る壮大な計画を東近江市とともに立てています。引き受けられるのは集落営農しかなく、力を貸してもらえるのは地域のみなさんです。「もうかる農業」にしないと存続できません。
JAは農業関連事業が4年連続黒字で、2022年度は2億円の黒字でした。自己改革の実践とともに、信用事業依存はまずいと考えて力を入れてきた結果です。それと時代の変化に伴い、共済の「一斉推進」も3年前にやめました。推進はLA職員のみとし、一般職員の役割は情報提供制度に変えました。

大金 先駆的ですね。滋賀県は環境問題に早くから熱心で、JAもいち早くこれに対応してこられた。

水がめとして環境問題注力

大林 京都・大阪の「水がめ」である琵琶湖があり、環境保全に注力してきた結果、「耕畜連携」等で取り組んできた農業は「みどりの食料システム戦略」の近いところまで到達しています。ひとっ飛びに「JAS有機」まではいけないので「肥料は有機、農薬は除草剤だけ」というステップを設け、『きらみずき』という近江米の新品種でチャレンジしようとしています。「オーガニック研究会」も立ち上げました。水や空気、土壌などの環境を粗末にすると、直接私たち農業者の生産に跳ね返ってきますから。「生産者よし、未来よし、地球よし」ですかね。

大金 飼料高が酪農・畜産を直撃しています。

大林 とにかく餌が高い。『近江牛』はこれまで自前の飼料工場を持ち、配合は企業秘密でした。コスト増に対処するために、系統ですがアウトソーシングしました。コスト高のため、JAの「リスク積立金」を取り崩して支援しましたが全然追いつかない。国の支援は不可欠です。先日も農水省の職員に来てもらって、販売価格が生産費を下回った場合に差額を補填(ほてん)する牛マルキン(肉用牛肥育経営安定交付金)の勉強会をし、この苦しい時にこそ適用をお願いしました。

大金 JAには役職員の行動規範となる「グリーンウェイ」があると聞きましたが。

大林 「グリーンウェイ」手帳を役職員はみな持っています。「グリーンウェイ」は経営理念を実現するために役職員のとるべき行動や考え方を示したもので「三方よし」の理念を生かすために、基本となる指針をまとめています。
何も背伸びをしなくても、この近江には古くから受け継がれてきた立派な考えや思想がある。そのことを役職員が日常の仕事の中で行動指針として実践すればよいと考えています。協同組合学校や女性活躍プロジェクト、さらには「ウェイ・ウェイ・グリーン」と銘打った役職員の会合も定期的に開催しています。

大金 京セラの故・稲盛和夫さんがJAL再建でされたような?

大林 缶ビールと乾き物のつまみではありませんけど(笑)、お茶とケーキで。JAの人手不足に対応したDX化で業務改善し、職員が組合員さんと対面で話せる時間を捻出したい。つまり、「処理はデジタル、対応はアナログ」です。ここでJAが頑張らなければ、何のため誰のためのJAか、と思っています。

大金 立派な体躯ですが、スポーツは?

大林 25歳までサッカーに熱中していました。ポジションはゴールキーパーです。全体を見渡す役でしたので、組合長と似ているかもしれませんね。(笑)

【インタビューを終えて】
「私は話下手」と謙遜されるが、どうしてどうして。優れた実践家として「三方よし」を貫いてこられた穏やかで控えめな語り口から、「近江の人」の農業や地域に寄せる不退転の決意が伝わり、熱く引き込まれた。聖徳太子の「人柄」に引かれるという大林さんの「聞く力」や深い度量を包み込む古武士然とした風格に、思わず手を合わせたくなった。この人となら生涯つき合えると思わせる信頼感が稀有(けう)の魅力だ。

(大金)

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