JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集・JA対話運動】第6回<JAあいら(鹿児島県)>戦略的に「結集力強化」へ 目的明確にして全戸訪問2019年4月15日
鹿児島県JAあいらでは、組合員全戸訪問活動を2011(平成23)年から継続実施している。また、2017(平成29)年には、「結集力強化戦略」により、一層の組合員との関係強化に取り組んでいる。この戦略の中では、正組合員、准組合員の位置付けを明確に示し、特に農業者、准組合員、地域住民に対してそれぞれ目的意識をもって接し、関係性を強め、JA活動への参加・参画を促している。
◆戦略的にターゲット別アプローチ
准組合員や地域の住民との関係を深める支店まつり
JAあいらは、十数年前から支店再編を進めてきたが、その結果、活動拠点としての性格が弱まった。また准組合員の増加、地銀等との競争が激しくなり、あらためて組合員との関係を強める必要が高まった。JAグループの全組合員調査と相まって、結集力強化戦略を実施している。
この戦略では、まず組合員の位置付けを明確化。正組合員は「地域農業の主役」であり、准組合員は「農業と地域を支えるパートナー」とした。この位置付けの上で農業者、准組合員、組織活動参加者、地域住民の4者をピックアップし、それぞれの関係性強化の方策を打ち出した。とくに利用者の准組合員への加入やイベント参加への呼びかけ、事業案内などが、統一的・継続的に実施されていなかったことの反省から、昨年、試験的に1つの支店で,食&農サポーターに登録してもらい、登録者には地元の農産物をプレゼントするなどの取り組みを行った。准組合員にJAを意識付ける上で効果があった」と、同JAの竹下幸治総務部長は評価する。
また、別の支店で行ったアンケートで、地域農業を応援するかどうかの意思を聞いたところ、約8割が、JAまつり等への参加を通じて応援したいとの回答があったという。「地域農業の応援の意思があるといった一定の要件を備えた准組合員に対するイベントの提供など、ターゲットを絞って意思反映・活動への参加を促す方策が必要」と同部長は指摘する。なお同JAの組合員は2万2236人で、うち准組合員は9076人。
准組合員宅を訪問する中篠秀二組合長
◆全戸訪問活動も実践
全戸訪問は高齢者の「見守り」も
また、当JAは、全戸訪問活動にも以前から力を入れている。2011(平成23)年から実施しており、全職員が参加し、正・准組合員のほか、員外世帯の一部も対象とする。訪問日は毎月第2土曜日の午前中で、2人1組で80戸ほどの世帯を訪問する。同JAは集落担当制を敷いており、職員は自分の担当集落を回る。
訪問は、毎月全世帯を対象とするのではなく、正組合員、准組合員、そして利用者・地域住民を区分けし、准組合員では新規の加入者、取引先を重点的に訪問するなど、目的を明確にしているところに特徴がある。また正・准組合員だけでなく、利用者、地域住民も対象としており、地域全体を網羅しようという考えだ。
訪問活動の目的は、組合員とのコミュニケーションの強化にあり、顔を覚えてもらうため、年度当初に訪問する職員の顔写真、連絡先を記した自己紹介カードを配布するなど細かい配慮がみられる。また訪問にあたっては、JA全体で設定される各月の訪問テーマとともに、支店ごとにも独自のテーマを設定。具体的には大口取引先や年金友の会の行事案内、支店イベントのお知らせ、農作業応援・農業体験などがある。2019(平成29)年の訪問実績はJA全体で延べ2万2062件、うち面談件数は1万2934件で、面談率は57.2%だった。
組合員から得た意見や要望は実施報告書を作成し、それを支店長が報告書にまとめる。本店の経営企画局が整理のうえ、企画会議等を経て担当部署へつないで対処する。
また、当JAの取り組みとして、組合員からだあされた意見・要望に対するJAの対応を、「ご要望にお応えしました」「現在取り組み中です!」「今後検討してまいります!」「ご理解ご協力をお願いいたします」等に大別し、広報誌等で組合員に分かりやすく伝えている。こうしたフィードバックのあり方についても、特徴的なものとなっている。
◆職場活性化にも取り組み
組合員の意見・要望の聞き取りには、職員の高いモチベーションが不可欠だ。同JAは、外部の会社による職場健康診断を実施し、その結果をうけて職場活性化委員会を設け、「新採用世話係制度」や「あいさつ運動」などの職場活性化に向けた取り組みも各種実施している。こうした職場活性化の取り組みが、職場の士気を高め、組合員との対話を促し、その対話が跳ね返って職員のモチベーションを高めている。
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・【緊急特集・JA対話運動】まとめ
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