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特集:JA新時代を我らの手で JA全国青年大会

2020.02.12 
今野邦仁 農業に高まる国民の関心 Time to Go ~さあ行こう!~一覧へ

インタビュー 今野邦仁JA全青協会長

 第66回JA全国青年大会は「Time to go~さあ行こう!~」をスローガンに掲げて開かれる。新たな貿易協定の発効による国際化の一層の進展と、自然災害の多発をもたらしている地球規模の気候変動など、農業はより困難な状況に直面している。一方、消費者の間にも持続的な食料生産への不安から農業への期待も高まっている。今野会長はこうした困難な時代のなかでも国民からの期待を青年農業者が受け止めて行動することが大事だと強調する。

今野邦仁JA全青協会長◆消費者との距離を詰める

--JA全青協として当面重視する活動をどうお考えですか。

 まずは、昨年3月の第28回JA全国大会で決議されたことを青年組織が先頭を切って実践していくことだと考えています。JA全国女性協とも話し合っていますが、青年組織と女性組織が車の両輪になっていくことが大切です。大会決議は親組織のJAグループが決めたことだというのではなく、われわれ担い手の代表である青年組織と、女性組織がしっかりタッグを組み実践していこうということです。

 具体的にはSDGs(エスディージーズ)(国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標」)の取り組みがあります。JA全国女性協が率先してこれに取り組んでいますが、われわれもいろいろなヒントをもらっています。ただ、SDGsの17の目標は実は当たり前のことで、われわれ協同組合組織ではすでに取り組んでいることも多いと思います。もちろん、だからもうやらなくていいということではなくて、SDGsとは何なのか、ということを改めて考える必要があります。

 それは、一般の消費者、国民が、農業者やJAに対して当たり前のことを求めるというニーズなんだと思います。たとえば食品ロスやプラスティックごみ問題に対する関心の高まりです。ということは、食料自給率37%の問題も、数字の高い低いではなく、私は生産者と消費者の距離の問題だろうと思います。つまり、食と農への理解がないからの結果であって、逆に伸びしろがあるということだと思います。消費者は、その伸びしろにJAグループが安全かつ安定的に食料供給することを求めているのではないでしょうか。

 だから、37%という数字も決して後ろ向きに考えるのではなく、時代の潮流がSDGsの実現になっているということであれば、それはつまり私たちが普段やっている当たり前のことですから、食べるとはどういうことか、安全とはどういうことかといったことを消費者、国民に問いかけていく、あるいは子どもたちにきちんとした食を選んでもらえるように教育することが大事ではないかなどと訴えていくことが大事だと思います。


◆関心の高まりをバネに

 --JA全国青年大会の意義についてはどう考えますか。


 青年組織は非常に多様な活動をしていますが、全国大会では各県域やブロックを勝ち抜いた優良事例が発表されます。これは生産者、担い手として自ら生産現場で起きている課題を捉え、どう現状を打破しようかの実践発表です。大会はこうした事例に学び自分の地元に持ち帰ることも意義の1つだと思います。

 一方、青年組織の課題は盟友数の減少です。ただ、これを少子高齢化で農業後継者が少なくなっているからとだけ考えるのではなく、多くの人に農業、農業の価値についての関心の高まりが少しずつ見えてきていますから、われわれとしては新規参入、親元就農などのハードルをいかに低くし、すそ野を広げて入り口を大きくしていけるかを課題にしなければならないと思います。これはJAグループや女性組織と一緒になって青年組織が取り組む課題でもあると思います。こういうすそ野を広げる活動によって将来、JA青年組織の盟友が増えていくことになるし、それはJAの組織基盤を強固なものにすることにもなると思います。


◆自分の「農協原論」を持とう

 --1月のJA青年組織新任役員研修ではドイツのライファイゼン博物館を訪ねました。今回の研修の成果についてはいかがでしたか。


 時代のニーズや取り巻く環境は刻々と変わってきており、そのなかで私たちは前を向き、さあ行こうと互いに呼びかけていますが、こういうときにこそ協同組合の原理・原点を学ぼうと考えました。ただし、学ぶということを難しく考えるよりも、私は100人いれば100通りのJA青年組織像、JA像があっていいと思っていますから、JA青年組織としていちばんしっかりしなければならないのは、自分のなかにそういう「農協原論」を持てるかどうかだと思います。そこで一度、協同組合組織の源流、原点を学びにいこうということで、今回の研修を企画しました。

 研修先にライファイゼンを選んだのは、今も続く信用事業の始まりをつくった彼は、実は農業者ではなかったということです。農業者ではないライファイゼンが、信用事業の原点を19世紀の半ばのドイツの貧しい農村から作り上げたわけですが、今回の研修で力を入れたのがライファイゼンの立場に立って、自分たちの地域の農業の課題などを考えてみようということでした。研修は農協運動のリーダー育成という目的でもありますから、ライファイゼンに学び、そのうえで自分たちから新しい答えを見出す可能性があるのではないかと考えたわけです。

 ヨーロッパを選んだもう1つの理由は、日本よりも小さな国が集合体としてEUを形成し、それぞれの国に言葉や人種、できる農産物にも違いがあるのにそれをカバーして共同体として成功してきた歴史があり、そこには協同組合に通じるものがあると考えたためです

 ヨーロッパの農業政策について、COPA・COGECAにおいて説明を受けましたが、なぜ農業保護政策が可能なのかということについては、ヨーロッパでは国民からの農業に対する支援が絶大にあるからだということでした。これはもう食と農の価値の表れだと思いました。だから食料自給率37%の日本は食と農の理解促進をもっと図らなければならないと思いました。


 --盟友へのメッセージをお願いします。


 われわれは、JAグループと共に自己改革に取り組んでいますが、これは自分たちで意識を変えて行動していくことだと思います。つまり、自分たちが変わらないと改革できないということです。

 一方、これだけ農協改革ということが国民の関心を集めたことはありません。これは、国民に農協に対する関心がないわけがないということの表れでもあると思います。食料自給率37%について不安に思い、農業者は大丈夫か、農村は大丈夫か...と思っているかもしれませんが、逆にいえばそれは期待が高いということだと思います。

 その期待に応えるためにも、われわれはポリシーブックを作り、行動指針とし組織の活性化に活かし、政策提言などを行ってきました。今後は、ポリシーブックをただ「作成」するのではなく、「活用」していくことが課題になっています。盟友のみなさんに向けては、何よりもシンプルに、さあ行こう!さあ動こう!と呼びかけたいです。

【JA新時代を我らの手で JA全国青年大会】

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