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JAの活動:【JA全農の挑戦】

【JA全農の挑戦】対談:和牛の輸出戦略 JA飛騨ミート・谷口壽夫会長×JA全農川崎 浩之参事(2)成長する世界市場に挑戦2022年1月25日

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和牛の輸出に期待が高まっている。特に日本トップクラスのブランドを誇る「飛騨牛」は、輸出が生産量の1割以上を占め、生産者の増頭意欲につながっている。飛騨ミート農業協同組合連合会(JA飛騨ミート) 会長の谷口壽夫氏とJA全農参事・「海外戦略」担当の川崎浩之氏が対談し、今後の和牛の輸出戦略、および産地づくりの課題を探った。
(聞き手はJA全農参事・「海外戦略」担当の川崎浩之氏)
※川崎浩之の「崎」の字は正式には異体字です

オーストラリアの初輸出出発式

オールジャパンで道筋整備

川崎 安定した輸出が生産基盤の崩壊を防ぎ、持続可能な農業に寄与していることがわかります。一方、日本の消費者にとってはどうでしょう。「高くなった」という声もありますが。

谷口 地元飛騨、岐阜県内でも「お祝い事でもないと食べられんわなあ」という話はよく聞きます。一生懸命取り組んできた飛騨牛が世界に認められ、それだけの価値があるようになったということです。また、1頭丸々輸出することはほとんどなく、部位によっては国内でもお値打ちに流通していると思います。

川崎 飛騨牛が一定の価格レンジを維持しているのは産地のみなさんの努力の結果であり、「飛騨牛の実力」ですね。この先の海外における戦略はどのように考えていますか。

谷口 サシ(赤身の間にある脂肪)の入った肉質がいつまで高く評価され続けるか。海外のニーズも変わってくるでしょう。岐阜県畜産研究所で研究していますが、和牛を改良していくには5~10年かかります。消費者のし好など将来を見据え、赤身の多い品種づくりやコスト抑制にも取り組んでいます。

川崎 市場の動きを生産基盤に反映するのに時間がかかるからこそ、ニーズ、トレンドを迅速に捉える必要が全農の海外拠点にも求められます。

谷口 炙ったにぎりにせよしゃぶしゃぶにせよ、「食べ方提案」がもっと大事です。またサシがなくても、「和牛香」といって和牛そのものの独特の香りが売りになると思います。

川崎 ウイスキーやワインの香りのように、欧米の方は和牛香を楽しむようになるでしょう。一説には、鼻が高いので、香りに敏感で香りを楽しむ機能に優れているとか。(笑)

将来を担う後継者対策についてうかがいます。私は2018年7月、豪州への飛騨牛輸出の出発式に参加した際、岐阜県立飛騨高山高校の生徒のスピーチに感動しました。地元の高校生が飛騨牛を誇りに思っている。全農主催の「和牛甲子園」でも、第1回、2回と同校が優勝しました。

後継者もしっかり

谷口 ご紹介いただいた飛騨高山高校には、毎年メスの子牛を寄贈し、学校で育ててもらっています。その効果もあってか、肉牛に携わる卒業生も出てきています。4年前にはJAひだが中心となって「ひだキャトルステーション」という繁殖センターを設立。研修機能を設け、高卒者を受け入れ担い手を育成しています。

規模の小さい繁殖農家、肉牛農家は高齢化とともに減ってきています。他方、JAひだ管内には50数戸の肉牛農家がありますが、大型化された農家には後継者がしっかりいます。ここには輸出の効果が関係しています。

川崎 和牛の産地ブランド間競争とオールジャパンとしての和牛輸出をどのように両立させていけばいいでしょう。

谷口 和牛といってもブランドは多く、品質も違えば味も違います。十把ひとからげにはできません。地域の気候風土も違い、産地ごと、ブランドごとに長い物語があります。産地ごと切磋琢磨(せっさたくま)しそれぞれの物語を発信しながら、国や全農さんにはオールジャパンで輸出の道筋を整えてほしい。

川崎 オールジャパンでまず取り組むべきは輸出の道筋を作ること、たとえば検疫条件や物流の整備などですね。産地間でつぶし合うのではなく、切磋琢磨しそれぞれの良さをアピールしていくことで多様なニーズのマーケットインに取り組むことでトータルのメリットも出てくるという考えは、飛騨牛の例を見ると説得力があると思います。この先、中国の検疫条件が緩和される等新たな市場にむかって大きなボリュームが輸出され、日本全体でも生産が足りなくなるかもしれません。

谷口 生産基盤の拡大が必要ですね。高価格で取引される飛騨牛でも100~200頭規模ではなかなか経営的に合いません。さらに規模拡大するとなると、億円単位の投資が必要です。資金面や環境面の対応は1農家、1JAでは無理なので、国をあげ、系統をあげて取り組んでいただきたい。

川崎 「まさに協同の力」が必要になってきますね。SDGs、環境問題、アニマルウェルフェアといった国際的動向への対応はいかがでしょう。

世界動向常に注視

谷口 アニマルウェルフェアを重視する国では「過酷な飼育環境で育てられた牛は食べたくない」と言っているようですが理にかなっています。JA飛騨ミートではすでに「EU対応」にしていますので、そうした流れは飛騨牛にとってもよいことです。HACCPもかなり前から導入し、農場での事故も病気も少なくなってきたと思います。フードチェーン全体でするべきことをしっかりやった結果が「賞味期限100日」です。

川崎 つまりグローバル(国際的)なニーズに対応できる生産、加工、流通、マーケティングに、一体的に取り組むことが、結果的に販売チャンスにつながり、生産基盤の拡充と所得向上、そして持続可能な農業につながるということですね。政府、あるいは全農への要望があれば。

谷口 輸出拡大には生産基盤拡充が不可欠です。対米輸出基準やEUが求めるモニタリングへの対応を一緒になって取り組み後押しいただければ、もっと前に進めます。全農には米国、しかも東部の新たな市場への輸出にご支援いただきたい。私たちは、小さな飛騨の山の中から、世界を相手に「飛騨の匠(たくみ)の技」をふるいます。

川崎 いい言葉ですね。今日は、世界の成長を取りこむため果敢に挑戦し続ける取り組みをうかがえました。ありがとうございました。

対談:和牛の輸出戦略 JA飛騨ミート・谷口壽夫会長×JA全農川崎 浩之参事(1)「飛騨の匠の技」で先陣 成長する世界市場に挑戦

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