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JAの活動:農業復興元年・JAの新たな挑戦

【農業復興元年】「果実を身近に」モットーに 自然の摂理に抗わず経営 岡山フルーツ農園 高原弘雅社長2023年8月7日

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農家の生まれではなく、まったくのゼロからスタートし、岡山県でもトップクラスの果樹農業を営む(株)岡山フルーツ農園社長の高原弘雅さん(40)。その栽培哲学は「自然の摂理に抗(あがら)わない」農業にある。現在の経営規模は6~7haのブドウ園と観光用イチゴハウス50a、イチゴ育苗70a、これをもとに子どもたちの収穫・加工販売施設などを備えた「いちご王国」を目指す。高原さんには、従来の農業の固定概念にとらわれず、生産と消費の現実をリアルに見据えた柔軟な発想がある。

古民家カフェ「Hanare」(はなれ)の玄関と高原弘雅さん古民家カフェ「Hanare」(はなれ)の玄関と高原弘雅さん

果実を身近に 日常楽しんで

農園のある西大寺は岡山市の東に位置し、宅地化が進んではいるものの、吉井川の下流域で、周辺にはまとまった農地があり、イチゴ産地としても知られる。その中で高原さんのイチゴハウスを中心とする岡山フルーツ農園はとりわけ目立った存在で、収穫体験のハウスだけでなく、子どもたちの遊びや来園者の交流の場となるゾーンなどがある。直売所の「とれたて岡山産直マルシェ」では野菜、果実のほかベーカリー、ソフトクリームなど自前の果実を原料にした加工品の販売を行うとともに、古民家を改修した古民家カフェ「Hanare」もある。

岡山大学農学部で桃の栽培を専攻した高原さんは2006(平成18)年に卒業し、なんら研修を受けることなく、地域のブドウ農家が引退した圃場をそのまま引き継ぐ"居ぬき"で借り受けて就農した。

「物心づいたころから、植物を育てることが大好きで、家庭菜園で野菜づくりをしていた。小学6年の時、将来は農業をやると決めていた」という高原さんにとって、就農は、しごく当然の選択だった。

需要に合わせた価格で販売

一貫して経営のテーマにしているのが「果実を身近に、日常に」だ。果実は近年特に手間と経費をかけた高級品化が進んでいるが、付加価値をつけて高価格の商品だけでなく、できるだけ消費者に手ごろな値段で提供したいという考えだ。

たとえば高級ブドウのシャインマスカット。見た目を整えるために使う労力を省きおいしさを重視し、手ごろな値段で販売する。高原さんは目的用途に合わせた栽培方法を確立し、需要に合わせた価格で販売している。需要をピラミッドに例えると、ギフト用など高級品を求める少量の需要を頂点として、中・下層にあたる量販店や加工原料向けなどの大きな市場があると捉えている。

高原さんの試算によると、最高級品を作るコストに比べ、こうした需要向けは労働時間でいうと7分の1で済むという。逆にみると、普通のブドウをつくるのと同じ労働力で7倍の生産が可能になる。その分、ブドウを多くの人に味わってもらえる。

「単価を上げても、それで生産者の所得が増えるとは限らない」と考えている。単価の高いものをつくるには、それだけに労力や経費がかかる。高原さんはここに高品質・高価格路線だけでは消費の限界が来るとみている。

また、観光農園は、より多くの消費者においしい果実を食べてもらいファンを増やすという考えに基づいておこなっている。

中山間地域こそ土地利用型果樹経営を

ただ、需要に合わせた商品づくりには、そのための栽培技術が必要になる。高原さんは「既存の教科書(栽培指針)の向こう側が見えて初めて、新しい商品用の栽培方法が確立できる」という。ほ場管理から長梢(ちょうしょう)栽培、短梢(たんしょう)栽培など各品種の特性を生かした栽培技術が必要になる。小さいころから「植物の観察には誰にも負ける気がしなかった」という高原さんは、こうした技術をブドウを観察する中で身につけた。

独自の発想はブドウ園の造成でも発揮。大規模なブドウ園を造成するため、元々段々の水田に傾斜をつけ、隣地とつなげた。つまり元の地形に戻すわけだが、これによって緩傾斜地になり水はけがよくなって、ブドウの品質向上につながる。また、低コストのハウスを自力で建設するなど、従来の水田を中心とする農業の概念にこだわらない方法で、コスト低減に努めてきた。

地域に広い田畑がないという農業者は「水田の呪縛にとらわれているのではないか」という。棚田を緩傾斜地に戻し、果樹園にした経験から高原さんは中山間地域に土地利用型果樹経営を勧める。高級果実は農地拡大ができないところで成り立つ経営であり、「耕作放棄地が増えている中山間地域は、棚田を均せば果樹経営の規模拡大が可能になる」という。

生産者ごとに異なる契約内容

フルーツ園の拠点「農産物直売所」フルーツ園の拠点「農産物直売所」

農産物直売所「とれたて岡山産直マルシェ」の運営にも特徴がある。一つは出荷する生産者ごとに手数料などの契約内容が異なることだ。委託販売にするか買い取り販売にするかは交渉次第。これは同じ手数料率が前提のJAではできない。

必要な農産物があれば生産者の畑に直接集荷に行き買い取りすることもある。逆に、買い取りから委託販売への"降格"もあり、出荷者との緊張関係が維持できる。また直売所を通じて消費者の動向をいち早くつかみ、新しい商品づくりに活かしている。

高原さんは直売所運営の経験から、「消費者は農業をわかっていない」という言い方に疑問を持っている。逆に「農家は消費者の勉強が足りていない」という視点が必要と思っている。

特にそう感じたのは、コロナ禍で葉物野菜や低価格の果実はよく売れたのに対し、高価な野菜や果実は売れなかった。「日常(身近)の対義語が非日常(レジャーなど)だとすれば、消費者の購入基準はどれだけ普段から身近であるかによることがよくわかった」という。

シーズンにはイチゴ狩りでにぎわう農園シーズンにはイチゴ狩りでにぎわう農園

「いちご王国」実現には規模の拡大も必要で、高原さんはイチゴのメガ団地構想を温めている。アパート方式による施設の貸し出しで、借り手は、経験のない新規就農者でも、栽培指導や資材は高原さんが引き受ける。20aを1区画して5haのイチゴ団地をつくる計画だ。

農地こそ礎 持続が肝心

高原さんはJA岡山県青壮年部協議会会長を6年間務めた。中でもJA全青協副会長時の2年間「ポリシーブック」の責任者としてその作成に関わった。その意義と併せて、「食料・農業・農村基本法」「みどりの農業システム戦略」について聞いた。高原さんは疲弊した農業・農村の現状を見据えた施策の実現を訴える。

ポリシーブックは、自分の中で一番熱を入れて取り組んだ。それまで「青年部の行動指針や事業計画は「何となく」で決まることが多かったが、ポリシーブックによって青年部の取り組むべき目的を明確にした。特に自ら取り組むべき「自助」と、JAグループとして取り組むべき「共助」、行政への提言である「公助」をはっきりさせた意義は大きい。どのように使うかはこれから問われる。

新たな「食料・農業・農村基本法」では、「食料安全保障に関しての記述が明確化されるようであるが、生産された作物の価格がいまだ市場原理に委ねられており、本当の長期的な食料安全保障となるのか、甚だ不安が残る」と話す。

「みどり戦略」については、「生産に関わる自然環境の持続性を強調するが、そもそも農業経営体の経営自体がガタガタで持続できない状況になっている。環境面の持続可能を目指す前に、経営体の持続可能性をまず考えてほしい。また、有機農業を進めるのはよいが、有機農業は栽培方針としての一つの手法であり、手法を目的化することが持続可能性とどのように整合性があるのか地域ごとにしっかりとした説明が必要」と考えている。

(日野原信雄)

◇経営概況
▽経営規模 ブドウ6~7ha、イチゴ0.5ha(生果)、0.7ha(苗場)、直売所運営、古民家カフェ運営
▽従業員 正社員7人、パートアルバイト35人、施設外就労作業委託約20人(A型事業所から)

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