【TPP】米生産額3400億円減-東大・鈴木教授が独自試算2016年10月28日
衆議院のTPP(環太平洋連携協定)特別委員会は10月27日に参考人質疑を行い、東京大学の鈴木宣弘教授がSBS(売買同時入札)輸入米の枠拡大で米の生産額が3400億円減少するとの独自試算を示した。
主食用として流通するSBS輸入米をめぐっては、輸入商社が卸売業者に調整金、販売促進費などの名目での金銭を渡していた事例が判明し、その金銭をもとに卸売業者から外食産業などへの販売価格も引き下げられていた可能性も発覚した。
鈴木教授はSBS輸入米が最大1kg60円安く流通していた可能性があることから、TPP交渉で合意した米国と豪州向けのSBS輸入米も、かりに最大1kg60円下がることを前提に影響試算をした。
TPP合意のSBS輸入枠は7.84万t。政府はSBS輸入米は国産米と同水準の価格なので、同量の国産米を買い入れて「隔離」すれば価格への影響はない、と説明してきた。しかし、SBS輸入米は国産米より安く売られているとすれば、政府の説明は成り立たない。
鈴木教授によると、現行のSBS輸入米の10万tとTPP枠で追加される7.84万t、さらにTPP合意に盛り込まれた一般米での米国向け枠6万tを合わせた約24万tは業務用米需要の1割に相当するという。
これまでの研究で10万t前後のSBS輸入米と国産業務用米の価格水準の間にも、SBS輸入米が1%下落すると国産業務用米が0.536%下落する関係があることが分かっている。
ここにさらにTPP合意で追加されるSBS輸入米は、国産業務用米よりも1kg60円、26.9%低い価格になると想定すると、国産業務用米価格は14.4%(26.9×0.536)下落する可能性があると試算した。
さらに業務用米の14.4%の下落は家庭用米の6.85%(14.4×0.476)の下落につながるという。
これらの下落率を家庭用米と業務用米の仕向け比率に基づいて試算すると、25年の米の生産額1兆7864億円では3400億円の減少につながるという。
また、かりに輸入米が国産米と価格水準が同じだとしても隔離された国産米は援助で海外に出て行くわけではなく、飼料米であっても国内市場に出てくる。需給に影響しないということにはそもそも無理がある。
鈴木教授は米の価格と在庫との関係も分析しており、SBS輸入米分の7.84万tの在庫増は60kgあたり354円の価格下落圧力となり、その影響による生産額減少率は6.7%、1197億円と試算している。
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