JA出資法人で交流会2016年12月15日
JA全中は12月12、13日、JA出資型農業法人の全国交流会を東京都内で開いた。農業者の高齢化、荒廃農地の増加は全国的に、すでに個別の経営や集落営農等では食い止められない状況になっており、JAが積極的に関与し、「直営農場」として地域農業の担い手の一翼を担うと共に、地域農業の担い手を育成する役割が期待されている。交流会では4つのJA出資型法人(子会社)がその取り組みを報告し、意見交換した。約150人が参加した。
交流会では、大阪府JAいずみのの(株)JAファームいずみの、滋賀県JAおうみ富士の(株)アグリサポートおうみ富士、北海道JAしべちゃの(株)TACSしべちゃ、それに愛媛県JAおちいまばりの(株)ファーム咲創の4JAのJA出資型法人が報告した。
JAいずみのは組合員約4万人のうち、准組合員が3万人を超える都市型JA。農産物の販売金額は10億円弱に過ぎなかったが、農産物直売所がオープンした23年度から、野菜を栽培する農家が増え、その直売による売上げが急増。現在約14億円となり、年々拡大している。
これを支えたのが平成25年に立ち上げたJA出資型法人のJAファームいずみので、同社の特徴は育苗事業にある。「種子では、なかなか播いてくれないが、苗を売ると、放っておけないので植え付けてくれる」(同ファーム・谷口敏信社長)という戦略だった。地域特産の水ナス5万5000本を中心に、直売所出荷者用野菜などを供給する。これに併せて、栽培技術のマニュアル化を進め、普及に努めた。
さらに、就農希望の担い手を社員として雇い、3年間の農業経験を得て就農させる。このほか府立農業大学や近畿大学農学部の学生をインターンシップとして受け入れている。遊休農地化を抑えるため体験型貸農園も検討している。
JAおうみ富士の(株)アグリサポートおうみ富士も、耕作放棄地拡大の防止や高齢化している農業者の負託に応えるために、平成28年に設立した農業法人で、水稲プラス大豆を基本に約113㌶を経営。同JAは子会社を、持続的な地域農業の振興と併せ、地域水田農業の「最終的担い手」と位置づける。水稲、小麦、大豆など120㌶を超える直営のほか、刈り取り、ヘリ防除など5000㌶あまりの作業請負もこなす。
こうした作業受託を実施するため、同社の堤喜由社長は「作業受託しても、水管理や畦草刈りなどの協力が必要。現場における委託者とのコミュニケーションがあって、ここまでやれた」と、受託者との信頼関係を強めることの必要性を強調した。
また同会社とセットで重要な役割を果たしている農産物直売所の「おうみんち」がある。同JAは「ゲストをキャストにする」(同JA食育園芸部・川端均部長)と考えている。つまり農業体験してみたい、旬の野菜を食べたいという人を対象とする「青空フィットネスクラブ」、畑で直接買う「畑の直売所」など、ユニークな活動、イベントはこの考えから生まれた。
JAしべちゃのTACSしべちゃは、酪農の担い手を育てることを目的にJAと標茶町、雪印種苗会社が提携して創設した会社で、新しい技術の導入、研修先の紹介、就農後のケアなど、それぞれの強みを生かした指導で成果を挙げている。またJAおちいまばりのファーム咲創も、新規就農者の育成、労働力支援、それに自らの農業経営を行っている。
農業法人には、ほぼ全額資本出資して法人を主導する直営型と、一部を出資する出資型があるが、基調報告した東京農大の谷口信和教授は「大局的には直営型から出資型への移行が見られる。地域によっては併存があり得るが、地域の課題に応えるには、一般論として出資型がいいのではないか」と、問題提起した。その上で「JAによる農業経営はまだまだ伸びしろの大きな企業形態であり、日本農業再生の有力な切り札」と、期待を示した。
(写真)JA出資型農業法人の可能性を探った全国交流会
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