「本当に豊かになる交渉か」 日・EU交渉で緊急集会 農家やJA等500人が訴え2017年6月29日
日本とEU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)交渉が大詰めを迎える中で、JA全中は6月27日、東京・永田町の憲政記念館で緊急の「日EU・EPA交渉に関する対話集会」を開き、与党自民・公明党の幹部議員と意見交換した。特に、競争力の高い乳製品のほか、豚肉・牛肉、麦、甘味資源作物などの重要品目について、再生産できるよう、関税措置を含めた対策を政府与党へ求めた。全国から生産者やJAの代表など約500人が会場を埋めた。
集会ではJA全中の奥野長衛会長が冒頭、「自由な貿易の重要性は分かるが、いつものパターンである工業製品輸出のために農業を犠牲にすることはそろそろ止めていただきたい」と注文した。その上で、畜産と酪農、特にEUのチーズは競争力があり、輸入増による影を心配する。
また森永利幸・JA全中副会長は、TPP以上の譲歩を迫られるのではないかと懸念。「いま日本の畜産は畜産クラスター事業など、懸命に規模拡大に取り組んでいる。その中でEUの乳製品・豚肉はアメリカやオーストラリアより競争力がある。TPP以上の譲歩を求めるのではないか。EUからの輸入が増えると、これまでの努力が水の泡になる」と訴えた。
こうした要望に応えて自民党日EU等経済協定対策本部の西川公也本部長は、交渉が山場にあり、政府は大枠合意に踏み込む可能性があることを指摘し、「守るべきものは徹底して守る。しかし攻めもある。牛肉、豚肉、乳製品など輸出もしたい。五分五分で認め合うような制度が望ましい」と述べた。
また公明党の日EU・EPA対策本部の上田勇本部長は、「EPA推進が党の基本姿勢だが、農業は国民の食料であり、国民の命、地方創生にとっても重要。一方で農業の競争力を高める必要もある」と、公明党の基本スタンスを強調した。
さらに田波俊明・JA全中副会長は110万tの飼料用米の生産計画に触れ、「EUからの輸入増によって国内の養豚が後退するとエサ米が漂流する」と、水田農業政策への影響を心配し、万全の対策を求めた。
参加者からは、JA北海道中央会の小野寺俊幸副会長が、乳製品や牛肉など、重要品目の輸入で大きな影響が予想される北海道の実情を述べ、特に、「いま頑張っている若い農業後継者の意欲を削ぐことのないよう、このことを念頭に置いて交渉してほしい」と訴えた。
さらにJA全青協(全国農協青年組織協議会)の飯野芳彦会長も「若手農業者の気持ちを萎えさせないよう、生産現場のことを考えて交渉してほしい。輸入拡大ではなく自給率を向上させることが重要で、日EUのEPAは本当に農業者が豊かになる交渉なのか、聞きたい」と詰め寄った。
(写真左から)会場を埋めた参加者、出席した与党議員
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