農協事業のあり方「それぞれが判断する制度」-齋藤新農相2017年8月4日
齋藤健新農相は8月3日就任記者会見に臨み、農協の総合事業の今後について「金融事業を代理店化しなさいといっているわけではなく、それぞれが判断するという制度になっている」と強調した。自己改革は必要だが経営形態については個々の農協が組合員とともに自主的にそのあり方を決めていくことが基本であることを改めて指摘した。

(写真)初登庁する齋藤新農相(3日、午後9時すぎ)
齋藤農相は人口減少で国内需要が減少するという「大きな曲がり角にある日本農業」を持続可能な成長産業にしていくため、安倍政権では米の生産調整の見直しや農協改革、農地制度改革、輸出促進などに精力的に取り組んできたと強調した。 この間、自民党農林部会長と農水副大臣をつとめ「今度は大臣として農政改革に引き続き取り組むことになった」と話し、改革された法律や制度が実際に使われて現場が動くよう「あらゆる団体と協力をしながら進めていく努力をしたい」と話した。
一方で地域を維持している家族農業も「地域の崩壊を防ぐ観点からしっかり下支えをしていかなくてはならないという観点から直接支払い制度の創設などに努力もしてきた」と地域政策の重要性にも触れた。
農協の総合事業については「実際にそれぞれの農協が地域に不可欠なインフラとして機能しているという現実はよく分かっている」と評価しつつ「金融情勢がどうなるか分からないこともある。経済事業の赤字を金融事業の黒字で埋め合わせていくというが、准組合員が増えていったときにどこまで許容されるのかという問題もある」と問題点を指摘した。
そのうえで「私は自己改革でできる限りやるべきだと思う。農協改革の趣旨も金融事業を代理店化しなさいといっているわけではなく、それぞれの判断でできる仕組みをつくろうということ。仕組みづくりにわれわれははっぱをかけているが、個々についてこうしろと申し上げているわけではない。状況変化のなかでそれぞれが判断する制度になっている」と強調した。自己改革が基本であること、総合事業の維持は農協自らが判断すべきとの認識を示した。
そのほか30年産からの水田農業については需要に合わせた主食用米と戦略作物づくりが基本であることを指摘したほか、飼料用米については水田維持のために必要で「そのために必要な予算は確保していくのが農水省の方針。(基本計画で目標としている)110万tの飼料用米をつくるには1600億円が必要。農水省のトッププライオリティとして財源の確保に努めていく」と話した。
日欧EPA対策については、関税撤廃までに長期間確保したことや、関税割当制度を導入したことなど「交渉で獲得した措置をよく理解してもらうこと」を強調したうえで、再生産可能な経営安定対策ととともにチーズなどの輸出など「前向きな対策に大胆に取り組むことにしたい」などと話した。
(写真)農水省内で行われた記者会見(3日、午後10時頃)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































