原発に頼らない再生エネルギー政策で声明 コープデリ6生協2018年6月20日
コープデリ生協連と会員6生協は、6月19日、原子力発電に頼らない、再生可能エネルギーを広げる政策を求める声明文を理事長連名で発表した。
この声明は、東電福島第一原発事故から7年が経過し、いまだに避難生活を余儀なくされている住民がいることや使用済み核燃料の処理などについても問題解決の見通しも立っていないにもかかわらず、原発の再稼働への準備が進められている現実に対して、「原子力発電に頼らない再生可能エネルギーを広げる政策を進め、福島の復興と再生に全力で取り組み、国民的議論をより一層広げ、国民が安心して暮らせる持続可能な社会を切望」する生協組合員の気持ちを表したものだといえる。
署名したのは、コープみらい理事長新井ちとせ、いばらきコープ理事長鶴長義二、とちぎコープ理事長古口葉子、コープぐんま理事長中村隆夫、コープながの理事長太田栄一、コープにいがた理事長長谷川聡、コープデリ生協連理事長土屋敏夫の7氏。
声明の全文は次の通り
「私たちは、原子力発電に頼らない、再生可能エネルギーを広げる政策を求めます」
東京電力福島第一原子力発電所の事故から7年が経過しました。今なお帰還困難区域の解除の目処は立たず、避難指示が解除された地域においては住民の帰還が思うように進んでおりません。事故現場では多くの作業員が廃炉作業および汚染水の対策を続けており、未だ収束の見通しは立っていません。また、使用済核燃料の処理、高レベル放射性廃棄物問題などの見通しも全く立っていません。それにもかかわらず私たちが暮らす地域では、東海第二原子力発電所(茨城県)および柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼動へ向けた準備や審査等が進められています。地域住民への十分な説明や合意もなく再稼動を優先する姿勢には、強い懸念を覚えざるを得ません。
そもそも原子力発電は、全ての判断の大前提として安全の確保と国民の理解が最優先されるべきです。現状は、どの世論調査を見ても原発再稼働について反対が賛成を大きく上回っています。原子力発電は再稼動を進める方針ではなく、頼らない方針を明確にすべきであると考えます。
5月16日に示された「第5次エネルギー基本計画(案)」では、原子力発電について40年廃炉ルールが存在し新設・増設が非常に厳しい状況にもかかわらず、ベースロード電源として位置づけられています。また、再生可能エネルギーの導入目標は22~24%で現行と変わらず、主力電源化への意欲的な姿勢が見られません。全体として総花的な記述が多く、私たちが望むエネルギー政策とは程遠いものと言わざるを得ません。
◆第5次エネルギー基本計画の改定に向けて
日本の中長期的なエネルギー政策の指針となる「第5次エネルギー基本計画」の改定は、今後パブリックコメントを経て閣議決定される予定です。私たちコープデリグループは今回の改定について、以下の5点を政府に求めました。
1.原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換を明確にすること
2.再生可能エネルギーを推進する施策を具体化し、主力電源化に向けた意欲的な計画にすること
3.再生可能エネルギーを優先的に活用する政策に転換し、再生可能エネルギー拡大の障害となっている系統接続問題を早急に解決すること
4.エネルギー需要が減少を続けている現実をふまえ、経済成長とエネルギー政策を切り離し、省エネの見込みを正しく反映した計画にすること
5.エネルギー政策に関する国民とのコミュニケーションを進めること
2015年、「つづかない世界から、つづく世界へ」変えるため「SDGs(持続可能な開発目標)」が国連サミットにおいて全会一致で採択されました。17の目標の1つである「7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」では、2030年までに世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させることをターゲットとしています。また、パリ協定において野心的水準で温室効果ガス削減目標が設定されました。
このような世界的潮流を踏まえると、2030年における再生可能エネルギーの導入目標は最低でも30%、さらには先進国水準である50%以上を目指すべきであると考えます。そして、再生可能エネルギーを主力電源にするための施策を、具体的に計画化することが重要です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故は多くの議論を生み、エネルギーに関する国民の意識は確実に変化しています。あらためてエネルギー政策について、国民的な合意形成を図る必要があります。そのためには多くの国民が積極的に議論へ参画できる仕組みをつくり、国民とのコミュニケーションをさらに充実・深化させなければなりません。
私たちは、原子力発電に頼らない、再生可能エネルギーを広げる政策を求めます。そして、福島の復興と再生に全力で取り組み、エネルギー政策に関する国民的議論をより一層広げ、国民が安心して暮らせる持続可能な社会を切望します。
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