営農型太陽光発電 農地転用10年に-農水省2018年5月16日
農林水産省は5月15日、営農型太陽光発電設備の設置にともなう農地の一時転用許可期間をこれまでの3年から10年に延長すると発表した。
農地に太陽光パネルを支える支柱を立て、その下で農業生産を行う営農型太陽光発電は、作物の販売収入に加え売電による継続的な収入が得られることから、担い手の収入拡大と規模拡大が期待できるとして農水省は農業政策の一環として位置づけて推進してきた。荒廃農地が増加するなか、このような営農型発電設備の活用による荒廃農地再生も期待されている。
これまでは一時転用期間を3年とし営農に問題がなければ再許可される仕組みとしてきた。これを今後は一定の条件のもとで10年に延長する。
平成25年度から27年3月末までに営農型発電設備として一時転用を許可したのは775件ある。農水省が行った営農状況についての調査では、下部農地での営農に支障があったのは担い手が営農する事例で6%、担い手以外では31%あった。
悪質なケースは下部農地で実際には営農が行われていなかったり、その見込みがないケースや、作物が栽培されていても地域の平均単収より2割以上減少しているか、品質が著しく劣化した場合。農水省はこうしたケースなど農業生産が適切に行われなかった事例については改善指導し改善が図れたという。一方、荒廃農地を活用した事例は全体の約30%、234件あった。
こうした実態から農水省は今後、▽担い手が所有している農地または利用権設定している農地でその担い手が下部農地で営農する場合、▽農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合、▽農用地区域以外の第2種農地または第3種農地を活用する場合については一時転用許可期間を3年以内から10年以内に変更する。
その他、農作物の生育に適した日照量が確保されていること、農業機械などが効率的に利用できるよう太陽光パネルを支える支柱の高さが2m以上確保されていること、周辺農地に支障を及ぼすおそれがないことなども要件となる。
農水省は地方農政局の農山漁村再生可能エネルギー相談窓口で農業者からの問合せに対応することにしているほか、優良事例をウェブサイトで紹介したり、資金調達が円滑になるよう地域の金融機関に対して営農型太陽光発電設備の農地転用の取扱いについて情報提供していく。
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