JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―
【JAふくしま未来】震災を乗り越え、農業を続ける想いを実現(前編)2017年10月27日
東日本大震災から6年半が経過した。原発事故で深刻な被害を被った福島県の相馬・伊達地区ではこの春に避難指示が解除された地域が広がり、農業再建に向けての歩みが始まった。JAも4つが合併してJAふくしま未来に。復興に向け自己改革に取り組んでいる。
◆畜産振興で農地引き継ぐ
福島県飯舘村と川俣町山木屋地区に出されていた避難指示は今年3月末で解除された。
飯舘村関根松塚地区の高橋日出夫さん(67)は解除後、すぐに村に戻って花き栽培を始めた。原発事故前は土をていねいに作り有機野菜づくりも。その土が汚染され「悔しく、ものすごくめげた...」。が、農地を除染し再び花を作ればいい、と妻の民さんに励まされ、福島市内の避難先で畑を借りてトルコギキョウを栽培。「いつかは村でまた農業」を目標に暮らしてきた6年間だった。
トルコギキョウのほか、アルストロメリア、カスミソウも育てる。震災前より出来はいいといい、出荷の最盛期にはかつてと同じように夫婦で深夜まで出荷作業をする。
「今は空も雲も、地域のすべてがいとおしく思えています」。村に帰還しての実感だ。
(写真)高橋日出夫さんと「地域すべてがいとおしい」と妻の民さん
和牛繁殖を再開させた山田猛史さん(68)も「避難しても、起きてメシ喰ってテレビ見て、また寝るような生活はしたくない」と避難先で牛を飼い続けた。20頭を連れて村を出て、福島市内で牛舎を設置し49頭まで増やした。息子は京都に避難したが、そこで食肉卸関係に勤務、肉の処理・加工技術も習得し昨年、戻ってきたので経営移譲した。
山田さんは今後、村の農場で繁殖、福島市内の農場で肥育、そして息子の技術を活かした食肉店まで家族での一貫経営をめざしている。
「日々前向きに考えていました」と避難生活を振り返る。
もっとも地区に戻ってきた人はまだわずかだ。関根松塚地区は44戸で、うち30戸が農家だが、営農を再開したのは7戸。
(写真)「畜産の村」めざす山田猛史さん
村内の水田は住民が村外から通って草刈り作業をしてきれいに保全をしているが、除染で取り除いた表土を入れた巨大なフレコンバッグの仮置き場にもあちこちで出くわす。若い世代では、今はまだ帰還を望まない人も多い。
(写真)農地はソーラーパネルと牧草・採草地に
もともと高齢化が進み、水田をどう維持していくかが問題となっていたところへ原発事故。震災後、山田さんはこの地区の行政区長在任中に、地区内の水田の3分の1を太陽光発電会社に貸し出し、ソーラーパネルを設置、残る農地を放牧地や採草地として村の農業を維持していくことを提案した。
「牛の力を借りて地域の農地を維持していこうと。飯舘村は20地区。1地区で50頭飼えば1000頭の牛がいる畜産の村、飯舘になる」と構想を話す。そこに向けて・・・
※後編へのリンクはコチラ
重要な記事
最新の記事
-
"強い農協"仲間と共に 元JA熊本経済連会長・上村幸男氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年6月19日
-
"強い農協"仲間と共に 元JA熊本経済連会長・上村幸男氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年6月19日
-
小さくなって人気が出たヒマワリ【花づくりの現場から 宇田明】第62回2025年6月19日
-
媒体取扱手数料を新設 農林中金2025年6月19日
-
国連が制定「サステナブルガストロノミーの日」記念祭を開催 AgVenture Lab2025年6月19日
-
【JA人事】JAあまるめ(山形県)佐藤一彦組合長を再任(6月8日)2025年6月19日
-
女の伝えたイモ・ホドイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第345回2025年6月19日
-
2年連続で減収 信頼回復に力 日本穀物検定協会2025年6月19日
-
配合飼料供給価格 トン当たり約2200円値下げ 令和7年7~9月期 JA全農2025年6月19日
-
ダイナミックフェア出展するやまびこジャパン 36Vの動力噴霧機やハンディーソー、ラジコン草刈機を紹介 JA全農いばらき2025年6月19日
-
JAぎふ稲羽支店がオープン JA全農岐阜2025年6月19日
-
いちご新規就農者研修生募集 JA全農岐阜2025年6月19日
-
営農支援フェア2025に2000人超来場 最新農機を展示・実演、セルフメンテナンス講習も実施 JAグループ宮城2025年6月19日
-
都市と農をつなぐ学びの場 大学生が企画「五感で学ぶ親子食育ツアー」開催 全国農協観光協会2025年6月19日
-
肥料価格高騰緊急支援で上限10万円の給付金 県内各所で説明会 千葉県2025年6月19日
-
GREEN×EXPO 2027の "応援の輪"広がる 横浜のイベントや赤レンガ倉庫で「Blooming RING」配布 2027年国際園芸博覧会協会2025年6月19日
-
非常食に新しい選択肢「お米でできた麺で食べる 米めん」シリーズ登場 ケンミン食品2025年6月19日
-
全国の『地牛乳』や国産牛肉を直売「第8回らくのうマルシェ」開催 全酪連2025年6月19日
-
坂口農園 「ありがとう」の文字入りメロン ふるさと納税返礼品に登場 石川県小松市2025年6月19日
-
プロ野球チーム「佐賀アジアドリームズ」ホームタウンの耕作放棄地で米づくり開始2025年6月19日