農地集積 前年比1%増の56.2%-農水省2019年6月19日
農林水産省が発表した2018年度の農地バンクによる担い手への農地集積の割合は前年とくらべてわずか1%の増加にとどまった。制度創設以来の5年間で56.2%となっており、2023年に担い手に8割集積するという目標達成には課題が多く、農水省は地域の関係者が一体となった取り組みなどに力を入れることにしている。
農地バンク(農地中間管理事業)は農地の分散状態を解消し、農地の集積・集約化を進めるための仕組みとして2014年に創設した。全耕地に占める担い手の利用面積のシェアは、2009年が48.0%、2013年が48.7%と流動化が進んでいなかったが、2014年には50.3%に増加に転じ2018年度には56.2%へ増加を続けている。しかし、前年度からわずか1%の増加にとどまっている。
新規に集積された面積は3万1000ha。このうち農地バンクによる転貸は1万6000haでそれ以外による転貸が1万5000haとなっている。
都道府県別にみると北海道は91%だが、都府県で50%を超えたのは12県となっている。青森(55.1%)、岩手(53.0%)、秋田(68.7%)、山形(66.0%)、栃木(52.3%)、新潟(62.8%)、富山(63.3%)、石川(59.9%)、福井(65.7%)と東北、北陸では集積が進むが東海から西日本では滋賀(59.7%)、福岡(53.4%)、佐賀(71.3%)のわずか3県にとどまる。
担い手への集積面積は248万5707ha。過去5年間で27万7449ha増加した。集積目標面積に対して37%の実績となっている。このうち農地バンクの実績だけを見ると、5年間で農地バンクが借り入れた面積は22万7000ha。全耕地面積に占める借り入れ割合は5.2%。借り入れた農地を担い手へ転貸したのは22万2000ha、このうち新規集積面積は8万6000haとなっている。5年間の集積目標に対する農地バンクの寄与度はわずか12%にとどまっている。農地バンクによる農地集積への寄与度を都道府県別にみると福井(34%)、秋田(30%)、鳥取(29%)が上位。
今国会で農地バンク法施行5年後見直しが成立した。これまでは農地バンク、JA、市町村、農業委員会などの連携は不十分だったことから、農業委員会やJA、土地改良区などから地域の話し合いのコーディネーターとなり、集落単位で農業者の年代分布や後継者の有無、農地貸し出しの意向などのアンケート調査を行い、それに基づいて誰が地域の農地を担うかなど将来の設計図である人・農地プランを改めて描き、農地の流動化を進めることに力を入れる。
今回の改正ではJAなどの農地利用集積円滑化事業と農地バンクが一体化けする。JAによる農地利用調整機能なども活用して、JAが農地の配分計画を策定する役割も担う。
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