輸出とスマート農業 大幅増 概算要求2兆7307億円-令和2年度農水予算2019年8月30日
農林水産省は8月30日、令和2年度予算として2兆7307億円を財務省に概算要求した。今年度当初予算比で118.2%となる。平成22年度予算として2兆7518億円を要求して以来の額。輸出やスマート農業関連予算を大幅に増やした。
スマート農業の予算は10倍に(写真は無人田植え機)
◆輸出関連 4倍増
公共事業費が8436億円で今年度比121.1%とした。このうち農業農村整備事業は3978億円(同122.0%)、農山漁村地域整備交付金は1113億円(同120.0%)などとなっている。また、災害復旧事業は196億円(同100%)を要求した。
重点事項は農業予算で6つ。
柱の1つが「農林水産物・食品の政府一体となった輸出力強化と高付加価値化」。輸出力強化のための予算として248億円を措置する。今年度当初予算は64億円だったことから、4倍近く増やす。農水省によると輸出に使える関連予算全体としては707億円で、これも3.5倍以上となる。
具体的には、輸出先国の輸出規制に政府一体で対応するための司令塔組織の創設に新規予算として15億円、証明書発行など輸出手続きの迅速化のため新規予算とした7億円、生産段階での食品安全確保への対応強化に19億円、グローバル産地づくりに強化に16億円、戦略的なマーケティング活動の強化に61億円などを要求した。
そのほか植物品種等海外流出防止総合対策事業に6億円、農業知的財産保護・活用支援事業に新規で4億円などを要求した。
◆スマート農業は予算10倍
柱の2つめが「スマート農業の実現と強い農業のための基盤づくり」。スマート農業の社会実装の加速化のため、スマート農業総合推進対策事業として51億円を要求した。今年度は5億円のため10倍以上に増やす。
農林水産分野にイノベーションを創出するため、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に基金を創設する。その予算として100億円を新規に要求した。大学が持つ研究シーズをもとにした起業化、ビジネス化を支援する大学発ベンチャー支援事業として新規に1億円を措置する。
強い農業・担い手づくり総合支援交付金は296億円を要求。来年度は農業者が核となる事業者と連携し、一体となって安定供給を実現する新たな生産モデルの構築も支援する。
3つ目の柱は担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進。農地の大区画化の推進に公共事業で1854億円を措置する。農地中間管理機構が借り入れている農地について農業者の費用負担を求めずに基盤整備事業を実施する。
次世代を担う人材の育成・確保のため就農準備や、経営開始資金の交付、農業法人の労働環境整備、新規就農者のサポートなど、農業人材力強化総合支援事業に238億円、農業経営の法人化・経営継承の推進に13億円、外国人材受入総合支援事業に9億円を要求した。
4つ目の柱は水田フル活用予算。直接支払交付金として今年度と同額の3215億円を要求した。
また、水田農業の高収益化の推進として、農地の大区画化(1854億円)や、強い農業・担い手づくり総合支援交付金(296億円)などの国の予算と、地方公共団体の関係部局も連携して、水田の畑地化・汎用化のための基盤整備、栽培技術や機械・施設の導入、販路確保などを計画的、一体的に推進する。
収入保険制度は来年度の加入目標を5.5万人として、加入者の負担軽減のための財政措置として149億円(今年度206億円)を要求した。
5つ目が消費・安全対策。豚コレラなど家畜伝染病とツマジロサクヨトウなど重要病害虫の対策のため、消費・安全対策交付金を2.5倍増の50億円を要求した。
6つ目の柱が農山漁村の活性化。多面的機能支払交付金に493億円、中山間地域等直接支払交付金に269億円など要求したほか、人材交流・ビジネス支援対策、農泊、農福連携などを支援する農山漁村振興交付金に100億円(同98億円)を要求した。
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