ため池の連鎖的決壊の判定手法を開発 農研機構2019年9月11日
農研機構は、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)参画の研究成果として、ため池の連鎖的な決壊緒について適切に判定する手法を開発した。
この成果は、地方公共団体などが、重ね(親子)ため池の決壊と氾濫流の流出過程を踏まえた、ため池のハザードマップや浸水想定区域図を作成する際に役立つ。
ため池は全国に約17万か所あり、決壊した場合に大きな被害が想定される「防災重点ため池」6万3722か所が再選定されている(令和元年5月末)。地方公共団体は、防災重点ため池に対し、ハザードマップや浸水想定区域図を整備することが求められている。
ニタコンサルタント(株)は農研機構との共同研究成果を踏まえて、ため池決壊時の浸水想定区域を予測する「ため池氾濫解析ソフトSIPOND(エスアイポンド)」を開発しており、地方公共団体などの利用が進んでいる。
(写真)重ねため池のイメージ写真
ため池は単独で造成されるだけでなく、谷筋に連続して「重ね(親子)池」として造成される場合もある。
重ね池が決壊する場合は、単体のため池が決壊する場合に加え、上流側のため池(上池)の決壊が引き金となり氾濫流が流れ込んだ下流川のため池(下池)が連鎖的に結果する場合がある。
ところが上池と下池の貯水容量を足し合わせて浸水想定区域を算定する従来手法では、浸水区域が過大になることがある。
そこで農研機構は、大地震や集中豪雨による重ね池の連鎖的な決壊について適切に判定する手法を開発した。
この成果は、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「レジリエントな防災・減災機能の休会」の課題において、コンソーシアムに参加している期間のうち、農研機構とニタコンサルタント(株)が新たに共同で手法を開発した。
この手法では、重ね池における上池の決壊による下池の決壊の有無を判断し、さらにこの連鎖決壊に基づく浸水想定区域を予想する。この手法は、地方公共団体が、重ね池のハザードマップや浸水想定区域図を作成する際に利用できる。
詳細は、農研機構のWebサイトから入手できる。
【図】重ね池における連鎖的な決壊の有無の判定。上池の決壊による氾濫流流入と下池の洪水吐放流から、下池の貯水位を計算判定し、下池で堤体天端まで水位が上昇するか予測し、その有無により下池の決壊の有無を判定する。氾濫流は2次元不定流解析で計算する。A)連鎖決壊する場合、B)連鎖決壊しない場合
(関連記事)
・スマホ版ため池防災支援システムを開発 農研機構(19.09.11)
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