農家の不安払しょくする予算確保を-自民党・水田農業振興議員連盟2020年11月26日
自民党の水田農業振興議員連盟は「コロナ対策と今後の水田農業対策に関する緊急決議」を採択し11月25日には野上浩太郎農相を訪ね、コロナ禍の影響による緊急対策として補正予算による十分な財源のもと新たな対策を講じることなどを要請した。
野上農相に緊急決議を渡す小野寺委員長
自民党の農業基本政策検討委員会の小野寺五典委員長が決議を読み上げ、緊急対策として米の需要拡大、海外援助、輸出拡大、飼料用仕向け対策などの実施を求めたほか、JAだけではなく米に関わる関係者が一致団結して米の需給均衡に取り組むことや、水田フル活用の助成金予算の恒久的な確保などを求めた。
野上農相は「米の需給は大変厳しい状況にある。しっかりと受け止めて取り組みを進めていきたい」と話した。
小野寺氏は「6.7万haという過去最大の作付け転換をしなければならない状況に農家には不安が広がっていると思う。だからこそ予算をしっかり取る。この政策であれば主食用から非主食用へ転換しても所得として安心できるという水準にどれだけ近づけられるか、大きな課題だ」と話した。
また、議連の決議には、今後の水田農業政策について、現行制度の検証と必要な見直しを行うことも求めている。この点について小野寺氏は「毎年10万t需要が減るという状況が今後も続くということになると、毎年毎年の対策ではなく、しっかりとした政策を考えるべきではないか」と述べた。
【コロナ対策と今後の水田農業対策に関する緊急決議】
令和2年11月17日
自由民主党水田農業振興議員連盟
当議員連盟では、本年6月30日、政府に対し、コロナ禍の影響を含め、需要を上回る場合の調整を可能とする細心の対策を講ずるよう、「水田農業の果たす機能と役割をふまえた対策の継続実施に関する決議」を行った。
しかし、現在、コロナ禍の影響により、中食・外食を中心に需要が減少し、販売・出荷段階で多くの在庫を抱えるなかで、令和3年産に向けて、平年作でも36万トンという、これまでにない数量の主食用米を非主食用米に転換せざるを得ない事態が生ずるのみならず、このままでは、米の生産調整の実行確保に加え、我が国の水田農業、農村は、大きな混乱に突入しかねない。
かつての平成25、26年産の大幅な需給緩和と米価下落が、生産現場に大変な混乱を与えたことを鑑みるにつけ、これまでの多様な経験と試行錯誤等もふまえ、生産者団体、需要者団体とも連携した緊急対策を講じる必要がある。
以上をふまえ、政府において左記の対応を講ずることを強く要請する。
(1)コロナ禍の影響等により、このままでは大幅な需給緩和と米価の低迷を招きかねないことから、コロナ禍の影響による緊急対策として、補正
予算による十分な財源のもと、新たな対策を講じること。
(2)コロナ禍の緊急対策の検討にあたっては、現在の需給緩和や在庫状況をふまえ、米の需要拡大や、海外援助、輸出拡大対策、飼料用仕向け対
策など、総合的な対策を講じること。
(3)令和3年産に向けては、過去にない数量を非主食用米に作付転換して
いく必要があるなかで、JAだではなく、米に携わる関係者が一致団結して、非主食用米の作付けなど、米の需給均衡をはかるべく、国・県・市町村一体になった取り組みを強化すること。
また、業務用米や輸出用米等で地域指定を行い、徹底したコスト削減などによる農家所得の確保に向けた取り組みをすすめること。
(4)水田フル活用の支援については、助成金の交付体系など基本的な仕組みを維持しつつ、必要な予算を恒久的に確保すること。その上で、主食
用米と非主食用米の手取り格差を是正するなど、需要に応じた生産に生産者が取り組みやすいように制度の充実をはかること。
また、各道府県、産地で麦・大豆や飼料用米など、米以外の作物への転換がはかれるよう、必要な圃場整備や排水対策、耕畜連携の強化等をすすめること。
(5)我が国の主食である米の需要拡大と我が国の農村経済における米の持つ重要性に鑑み、米の関係団体は連携して、米の消費拡大を強化するこ
と。
また、輸出拡大に向けて、輸出国の輸入規制の緩和、パックご飯や米粉などの加工食品の開発等がすすむよう、必要な支援を行うこと。
(6)今後の水田農業政策については、現行制度の検証と必要な見直しを行うとともに、我が国の水田農業が果たしている多様な役割に鑑み、中山間地等条件不利地域における稲作経営と、その多様な担い手の確保、全国各地における美しい景観の維持や、農地・水の確保の視点からも、水田農業の果たす機能と役割をふまえ、国民的運動を展開すること。
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