農地集積 特区手法の全国展開を主張-規制改革委員2020年12月4日
規制改革推進会議の農林水産ワーキンググループは11月30日、農業委員会の活動状況を議題に会合を開いた。委員の一部からは農地の権利移転に関する許可事務を農業委員会に代わって市町村が行うことを認める国家戦略特区の事務分担の手法を全国展開して新規参入や耕作放棄地の再生などにつなげるべきだとの意見が出たが、農水省は改正した農業委員会法による新たな農業委員会が新規参入の促進や遊休農地の解消を業務として担っているとして特区手法の全国展開には反対した。
担い手への農地の集積面積と集積率(表)2016(平成28)年の改正農業委員会法で農業委員会の業務は農地の権利移動の許可や、農地転用案件への意見具申など農地法などの法令業務に加えて、担い手への農地の利用集積、遊休農地の解消、新規参入の促進など、農地利用の最適化業務が必須となった。
これにともなって農業委員会が農地利用最適化業務を行う推進委員を委嘱する制度になり、農業委員と推進委員が連携、役割分担して業務を実施することになった。推進委員は農業者を訪問して後継者の有無、所有農地の貸し出し希望を確かめ、地域の話し合いの場に情報提供したり、現地調査で遊休農地かどうかを判定し、所有者に対して耕作の再開指導や、担い手や農地バンクへの貸付意向の確認と斡旋も行う。また、今回の改正で農業委員は選挙制から市町村長の任命制に変更され、担い手の意向が反映するよう原則として農業委員の過半を認定農業者が占めるようにした。
各農業委員会は毎年度末までの集積目標を設定しており2019(令和元)年度までの集積実績は236.4万haで集積目標の98%となった。1年間で1.8万ha増加した。
ただし、政府が決定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」では2023(令和5)年度までに全国ベースで農地の8割を担い手へ集積するという目標を立てている。
農水省は各農業委員会が意欲的な意欲的な目標を設定した取り組みと、市町村やJA、土地改良区、農地バンクなど地域の関係者が一丸となって取り組んでいく必要があるとする。
この日の会合には国家戦略特区諮問会議の複数の委員も参加した。国家戦略特区担当の事務局が特例を活用した3つの特区(兵庫県養父市、新潟県新潟市、愛知県常滑市)の農地の権利移転に関する事務処理時間の短縮と負担軽減の効果が出ていることなどを報告した。特区諮問会議の委員からは「弊害がなければ速やかに全国展開すべき」との意見が出た。
一方、農林水産WGの委員からは「特区の全国展開ではなく、農地利用最適化推進委員で進めるべき」との指摘もあった。また、規制改革推進室は全国の担い手への農地利用集積率は年に1~2%程度しか増えておらず現在の57.1%を2023(令和5)年に80%にするには「毎年5.7%づつ増やす必要がある」と指摘した。農水省は「地道にやっていくしかない。地域一丸となって取り組まなければならない」と話した。会合には河野太郎規制改革担当大臣も出席。「担い手への8割集積はこのままで達成できるか。農水省が農業委員会をリードしてほしい。また、国家戦略特区の全国展開をやっていただきたい」などと述べた。
農林水産省は担い手への農地集積や新規参入の促進などのために農業委員会法を改正したとして「法改正はなんだったのか、となる」として特区手法の全国展開には応じられないとの考えを示した。
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