県内で初めてネギハモグリバエB系統を確認 宮城県2021年2月3日
宮城県病害虫防除所は2月1日、従来のネギハモグリバエとは異なるネギハモグリバエ(別系統)の発生を確認したことを受け、特殊報第3号を発表した。東北地域での発生は岩手県、秋田県、福島県、山形県に続く5件目となる。
ネギハモグリバエの成虫
10月に仙台市と登米市の露地ネギ栽培ほ場で、従来のネギハモグリバエ(以下、A系統)とは異なる著しい食害痕が確認された。被害葉から得た成虫の遺伝子解析による同定を農研機構野菜花き研究部門に依頼したところ、同県では初確認となる別系統(以下、B系統)と判明した。
B系統は2016年に京都府で初めて確認されて以降、これまで23都府県で発生を確認。東北地域では岩手県が2020年8月に特殊報を発表し、9月に秋田県、11月に福島県と続き、今年1月には山形県が発令した。
この2つの系統は形態的な差異が認めされないため、外観による識別が難しい。成虫の体長は2~3mm前後で胸部と腹部は黒く、その他の部分は淡黄色、幼虫はウジ虫状で成長すると体長4mmに達する。蛹は体長3mm前後で褐色の俵型をしている。
成虫は葉の組織内に産卵し、孵化幼虫は葉肉内を潜行しながら食害する。B系統幼虫の初期の食害痕はA系統と同様に不規則な白線状だが、1葉に幼虫が集中して加害する。そのため、食害が進むと近接した食害痕が癒合し白化した症状となる。幼虫は成長すると葉外に脱出し、地表や土中で蛹化する。B系統はネギのみで確認されているが、A系統はネギの他にタマネギ、ニラ、ニンニク等のネギ属植物を加害する。
防除対策では、発生初期からネギハモグリバエやハモグリバエ類に適用のある登録薬剤で防除する。薬剤抵抗性の発達は確認されておらず両系統ともに同一薬剤が有効だが、同一作用機構分類に属する剤の連用を避け、計画的にローテーション散布を行う。次作の発生源となる被害葉や収穫残さはほ場に放置せず、ビニール等で密封もしくは被覆する等の適切な処理を行うよう呼びかけている。
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