クビアカツヤカミキリ被害で注意喚起 愛知県2021年3月8日
愛知県農業総合試験場は3月4日、サクラやウメ、モモなどの害虫であるクビアカツヤカミキリによる街路樹などの被害が拡がっていることを受け、クビアカツヤカミキリ情報第1号を発表した。
クビアカツヤカミキリの成虫
クビアカツヤカミキリ(Aromia bungii)は、世界的にサクラやウメ、モモなどの害虫として知られており、外来生物法の特定外来生物に指定されている。県内では、2012年に海部地域のサクラでが初めて被害を確認。その後、街路樹などのサクラを中心に、海部地域から名古屋市南部にかけて被害地域が拡大している。
成虫は6月頃から8月頃に出現し、体長は2~4cm、体色は光沢のある黒色で前胸背板(クビの部分)が赤いことが特徴。触角は黒くその長さはオスで体長の1.7倍、メスでは体長より少し長い程度となる。成虫の年間移動距離は約2Kmとされているが、自動車に付着して長距離を移動した例も報告されている。
成虫は交尾後にサクラ、ウメ、モモ、スモモなどの樹木に産卵し、個体あたりの産卵数は数100~1000個と非常に多い。産卵は樹木の樹皮表面や割れ目などで行い、ふ化した幼虫は樹木内部に侵入する。幼虫は樹木内部で1~3年過ごしたのち、羽化して樹木外へ出ていく。
幼虫が樹木の形成層を中心に内部を食い荒らすため、被害樹が衰弱し、枯死する場合もある。幼虫が入り込んだ樹木からは、幼虫のフンと木くず、樹液などが混ざったフラスが排出される。この種によるフラスは、うどん状の細長い形状をしており、幼虫が活動する春から秋にかけて大量に排出される。
大量のフラスの排出
県外ではこれまで埼玉、群馬、東京、大阪、徳島、栃木、茨城、三重、奈良、和歌山で発生が確認されている。被害は街路などのサクラが中心だが、一部地域では果樹園のモモやスモモ、ウメなどの被害が報告されている。
防除対策では、成虫を発見した場合は直ちに捕殺する。捕獲の際に刺激臭を放つ場合があるため、手袋を着用するよう促している。また、この種は特定外来生物のため、生きたまま持ち運ぶことは禁止されている。フラスの排出を見つけた場合は、食入孔に詰まっているフラスを針金などで掻き出し、長い針金を坑道に差し込んで刺殺するか、薬剤を食入孔内に噴射し幼虫を駆除する。
被害樹に対し根元から1.5m~2m程度の高さまで、4mm目合いのネットを巻きつけ、成虫の拡散を防止する。樹木とネットが密着していると、出てきた成虫がネットを食い破ることがあるため、樹木との間に余裕を持たせ2重に巻く。定期的にネット内を観察し成虫を捕殺する。
被害が大きい場合は被害樹を伐採、伐根して被害拡大を防ぐ。伐採した材の内部に幼虫が生息しているため、速やかに焼却または粉砕する。伐採した材を移動させるこの種の拡散につながるため、伐採した材をネットなどで覆い運搬する。
果樹園で成虫や被害を見つけた場合は、病害虫防除室に連絡する。
愛知県農業総合試験場 環境基盤研究部 病害虫防除室 電話:0561-62-0085
街路樹や公園、庭木など果樹園以外発見した場合は、愛知県自然環境課(052-954-6230)または市町村担当課に連絡するよう呼びかけている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(158)-改正食料・農業・農村基本法(44)-2025年9月6日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(75)【防除学習帖】第314回2025年9月6日
-
農薬の正しい使い方(48)【今さら聞けない営農情報】第314回2025年9月6日
-
【注意報】普通期水稲に紋枯病 県内全域で多発のおそれ 長崎県2025年9月5日
-
「適正な価格」の重要性 消費者に訴える 山野全中会長2025年9月5日
-
米価暴落防ぐ対策を 小泉農相に小松JA秋田中央会会長2025年9月5日
-
(451)空白の10年を作らないために-団塊世代完全引退後の「技術継承」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月5日
-
【統計】令和7年産一番茶の荒茶生産量 鹿児島県が初の全国一位 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】大豆生産費(組織法人)10a当たり0.7%増 60kg当たり1.6%増 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】大豆生産費(個別)10a当たり0.8%増 60kg当たり10.7%減 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】冬キャベツ、冬にんじんの収穫量 前年比2割減 農水省調査2025年9月5日
-
長野県産ナガノパープルのスイーツ「いっちょう」「萬家」全店で提供 JA全農2025年9月5日
-
『畜産酪農サステナビリティアクション2025』発行 JA全農2025年9月5日
-
「国産シャインマスカット」全国のファミリーマートで販売 JA全農2025年9月5日
-
「わたSHIGA輝く国スポ2025」参加の広島県選手団へ清涼飲料水贈呈 JA共済連広島2025年9月5日
-
「いちはら梨」が当たるSNS投稿キャンペーン実施中 千葉県市原市2025年9月5日
-
猛暑対策に高性能遮熱材「Eeeサーモ」無料サンプルも受付 遮熱.com2025年9月5日
-
農機具王とアグリスイッチ 構造再編をチャンスに「週末農業プロジェクト」始動2025年9月5日
-
鳥インフル ハンガリーからの生きた家きん、家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2025年9月5日
-
旬の巨峰を贅沢に「セブンプレミアム ワッフルコーン 巨峰ミルク」新発売2025年9月5日