水稲のいもち病 南九州一部地域で多発のおそれ 令和4年度病害虫発生予報4号 農水省2022年7月7日
農水省は7月6日、令和4年度病害虫発生予報第4号を発表した。水稲では、いもち病の発生が、南九州の一部地域で多くなると予想。野菜では、ねぎのアザミウマ類の発生が、北海道と南関東の一部の地域で多くなる。また、果樹では、果樹カメムシ類の発生が、南関東、東海、近畿、中国及び四国の一部の地域で多くなると予想されている。この他、水稲の斑点米カメムシ類等、地域によっては多くなると予想される病害虫があるため注意を呼びかけている。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
水稲で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫とその地域は次の通り。

・いもち病の発生が、南九州の一部の地域で多くなると予想。熊本県、宮崎県および鹿児島県から注意報が発表されている。今後、断続的な降雨がある場合には急激に発生するおそれがある。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、本病の発生状況に応じて適期に防除を実施する。なお、一部の薬剤に対して耐性菌が発生している。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に効果的な薬剤による防除を実施すること。
・斑点米カメムシ類の発生が、中国の一部の地域で多くなると予想。山口県から注意報が発表されている。この虫類は、水田周辺の雑草に生息し、出穂期になると水田に侵入し穂を加害する。水田周辺雑草の除草は本虫類の発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草は、同虫類の水田への侵入を助長し被害を増加させるおそれがある。出穂期の10日前までに完了すること。
・イネミズゾウムシの発生が、北陸の一部の地域で多くなると予想。ほ場を注意深く観察し、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、発生状況に応じて防除を。
・トビイロウンカについて、一部の地域で本年も平年より早い時期から、同虫の誘殺が確認されている。今後の気象条件の推移によっては、一昨年同様に発生が拡大することが懸念される。トビイロウンカの防除は、発生状況に応じた適期・適切な防除が重要となるため、都道府県の発表する発生予察情報をこまめに確認し、地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施する。
◎野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫とその地域は次の通り。

<ねぎ>
・アザミウマ類の発生が、北海道と南関東の一部の地域で多くなると予想。北海道から注意報が発表されている。また、同虫類は、高温乾燥で増加する傾向があるため、気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施しする。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定を。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
<作物共通>
・オオタバコガの発生が、中国と南九州の一部の地域で多くなると予想。山口県から注意報が発表されている。植物体内に食入してからでは防除が困難となる。ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施する。
・ハスモンヨトウの発生が、北陸と四国の一部の地域で多くなると予想。ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施する。
<いちご>
・ハダニ類の発生が、南関東と北九州の一部の地域で多くなると予想。また、同虫類は、高温乾燥で増加する傾向があるため、気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施すること。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
<きゅうり>
・アザミウマ類は、四国の一部の地域で多くなると予想。また、高温乾燥で増加する傾向があるため、気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。同虫類は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を実施すること。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
<なす>
・アザミウマ類の発生が、南関東と四国の一部の地域で多くなると予想。また、高温乾燥で増加する傾向があるため、気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。同虫類は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を。なお、本虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定すること。また、農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
<すいか>
・アブラムシ類の発生が、南関東と近畿の一部の地域で多くなると予想。また、高温乾燥で増加する傾向があるため、気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。同虫類は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を実施する。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定を。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
<きく>
・アザミウマ類は、北東北と近畿の一部の地域で多くなると予想。また、高温乾燥で増加する傾向があるため、気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。同虫類は作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を実施すること。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
◎果樹・茶
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫とその地域は次の通り。

<果樹全般>
・果樹カメムシ類の発生が、南関東、東海、近畿、中国と四国の一部の地域で多くなると予想。滋賀県、京都府、鳥取県、岡山県、山口県および高知県から注意報が発表されている。同虫類は、もも、なしおよびかんきつ等の果実を吸汁加害。今後、当年世代(越冬世代以降の世代)を中心に、夏期の薄暮時に餌を求めて園地に移動するようになる。今年の越冬世代の発生が多かった地域では次世代の発生量が多くなるため、特に注意が必要。同虫類の飛来状況は地域や園地によって異なる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を。
<なし>
・ハダニ類の発生が、北九州の一部の地域で多くなると予想。また、同虫類は、高温乾燥で増加する傾向がある。気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。園内を注意深く観察し、発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を実施する。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定すること。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
・黒星病の発生が、北陸と南九州の一部の地域で多くなると予想。新潟県からは注意報が発表されている。昨年の発生量が多かった地域では、伝染源が多くなっていると予想され、特に注意が必要。対策に当たっては、伝染源となるり病部の除去、薬剤散布等の防除を実施する。また、一部の薬剤に対して耐性菌が発生している。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に効果的な薬剤による防除を実施する。
<かんきつ>
・ハダニ類の発生が、東海、近畿と中国の一部の地域で多くなると予想。また、同虫類は、高温乾燥で増加する傾向がある。気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。園内を注意深く観察し、発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を実施すること。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
<りんご>
・ハダニ類の発生が、北東北の一部の地域で多くなると予想。また、同虫類は、高温乾燥で増加する傾向がある。気温が高く、降水量が少なくなると予想される地域で発生を認めた場合は注意が必要。園内を注意深く観察し、発生密度が高くなってからでは防除が困難となる。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、ほ場をきめ細かく観察し、発生初期に防除を実施する。なお、同虫類は薬剤抵抗性が発達しやすい。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。また、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討を。
<茶>
・ハマキムシ類の発生が、南関東、東海と北九州の一部の地域で多くなると予想。同虫類は、地域で発生する種類や発生時期の違いにより、薬剤の効果が異なることが知られている。また、幼虫が葉をつづり合わせてからでは薬剤がかかりにくくなるため、ふ化期~若齢幼虫期を対象とした薬剤散布が効果的。都道府県から発表される発生予察情報等を参考に、適切な薬剤を選定し、地域の予察灯やフェロモントラップによる前世代成虫の誘殺最盛日の7日後程度を目安に防除を実施する。
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