飼料用米の要件見直し 実態ふまえた対応を JAグループ政策提案2022年10月25日
JA全中は10月の理事会で「令和5年度水田農業対策に関するJAグループの政策提案」を決めた。2022(令和4)年産では生産者と関係者の努力で転換目標を上回る5.2万haの作付転換を達成したが、出荷段階の在庫は依然として高水準で米価の推移も不透明となっている。生産者が安心して米生産に取り組み、所得増大が図られるよう中長期的な視点に立った水田農業政策の確立など求めている。
政策提案では、持続可能な地域農業の確立に向け、人・農地プラン策定のための地域内の話し合いを活性化する支援を強化することや、水田収益力強化ビジョンなどと人・農地プランの整合性をとり、実効性を担保するよう求めている。
また、生産性の向上を図るため、農地バンクの機能発揮による農地集約の加速化、農作業受委託等の推進に対する支援の拡充、耕畜連携による土づくり、化学肥料・農薬の使用量削減などのみどり戦略をふまえた取り組みを行う産地に対して、みどり戦略の推進交付金や、環境保全型農業直接支払交付金の支援拡充も求めている。
輸入依存穀物の増産対策も重視する。小麦、大豆、飼料用トウモロコシ等の増産に向けた支援の抜本的な拡充と、畑地化に向けたほ場整備、安定供給のための流通・保管体制の整備、品種開発への支援の継続と拡充を求めている。
米・米粉の需要開拓も重要だとして、パックご飯やグルテンフリー市場向けの米粉製品などの海外での需要開拓に「国が主体性をもって強力に取り組むこと」を求めている。また、主食用米の低コスト化を推進する農地の集約、スマート農業の開発・社会実装、作業・機械の共同化への支援、米粉の利用拡大に向けた機械導入や商品開発への支援なども求めている。
2023年産も主食用米は22年産と同じ125.1万haが適正な作付け面積と国は指針を示しているが、そのためには戦略作物助成の単価を維持することが必要だとしている。
また、水田活用直接支払交付金の交付対象水田の見直しについては「現場実態をふまえて整理すること」を求め、とくに中山間地では離農や耕作放棄地の増加につながらないよう「営農継続や農地保全」に十分配慮することとしている。
飼料用米と米粉用米では、専用品種の取り組みの推進も検討されているが、農家経営や需給調整への悪影響が生じないよう対応を検討する必要があるとしている。
飼料用米については、食料自給率の向上に寄与することや、非遺伝子組み換え飼料のニーズにも応えることになる。同時に主食用米の需給調整機能も果たしている。2022年産では専用品種の作付けは37%で飼料用米は主食用品種で作付けされていることが多い。
JAグループは仮に専用品種を推進することになると、種子の調達や、これまでの需給調整機能などで混乱する可能性もある可能性もあるとして「生産現場の実態をふまえた対応を行うこと」を求めている。
そのほか、産地交付金について「地域の実情に応じた産地づくりに取り組む県へのインセンティブを強化すること」が必要だとしている。
また、23年産の主食用米の生産量見通しの適切な設定と、県・市町村段階でも在庫や販売動向をふまえた「適切な生産の目安の設定に資する情報提供等」を行うことも求めているほか、主食用以外の米粉などの米穀や麦・大豆、飼料作物などについても「需要動向をふまえた生産の目安を設定」し、現場への情報提供を強化することも求めている。
販売面では、21年産米の持ち越し在庫を長期計画的に販売するため米穀周年供給事業による保管支援の対象期間を延長するよう求めている。
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