価格交渉 速やかな協議開始を 事業者の行動規範でたたき台 農水省2025年6月26日
農水省は6月25日、「適正な価格形成に関する協議会」を開き、食料システム法で求められる食品事業者などの行動規範のたたき台を示した。同日の意見を踏まえ同省は食農審で審議して決める。
第8回適正な価格形成に関する協議会
食料システム法は6月11日に参議院本会議で可決し成立、18日に公布された。同法では合理的な費用を考慮した価格形成を実現するため、事業者に2つの努力義務が課される。
1つ目は持続的な供給に要するコスト等の考慮を求めて取引条件について協議するよう取引先から申し出があった場合、誠実に協議すること。
2つ目は商慣習の見直しなど持続的な供給に資する取り組みについての提案があった場合、検討、協力すること、である。
この努力義務に対応した行動規範として農水大臣が「判断基準」を定めることになっている。
農水省は協議会に判断基準に盛り込むべき事項について以下のたたき台を示した。
(1)事業者としての取り組み方針の明確化(従業員への周知など必要な措置を講じる)
(2)協議の申し出にあたっての根拠の説明(コスト指標など用いて価格交渉が必要な根拠を示す)
(3)協議の速やかな開始(相手から定期的な協議の要請があった場合は適切な頻度で実施)
(4)協議における公表資料の尊重(公表資料や認定指標作成団体が作成するコスト指標は合理的な根拠があるとして尊重する)
(5)協議における必要な説明等の実施(相手が求めた事項について必要な説明と情報提供を行う)
(6)協議において説明なく取引条件の一方的な決定を行わないこと(合理的な根拠を説明せず、コストを著しく下回る納入価格を一方的に決めること、補助金等を理由に納入価格の引き下げを一方的に決定することなどを行わない)
(7)持続的な供給に資する取り組みの提案を検討する。(納入期限についての1/3ルールの見直し提案、発注を早期に行うことの提案、日付逆転品の納品禁止についての見直し提案、賞味期限等が混合した商品の納品禁止の見直し提案など)
(8)協議の申し出等を理由とする不利益な取扱い行わないこと(協議の申し出があったことを理由に取引の停止、数量の削減など行わない)
(9)交渉記録の作成
(10)消費者理解のための情報提供(合理的な費用を考慮した飲食料品の選択に資するよう消費者理解のための情報の提供に配慮する)
協議では農水省が示したたたき台について概ね異論はなかったという。ただ、交渉記録の作成については生産者団体からは双方で確認した記録を作成すべきと主張したが、卸売団体からは「市場では大量に取引しており、逐一記録を作成することは困難」との指摘も出た。ほかに協議を記録した音声データを文字起こしする機能を活用して記録作成の負担を軽減することなどの提案もあったという。
意見を踏まえて農水省は判断基準の検討を進め、食料・農業・農村政策審議会に諮って決める。省令として農相が定めた判断基準への取り組みが不十分だと認められた場合は、指導・助言、さらに改善が見られない事業者に対しては勧告・社名の公表といった措置を取ることができる。
適正な価格形成に関する協議会は2023年8月に設置され2年間協議してきた。協議会の議論はこの日で「一区切りがついた」(農水省)として、今後は来年4月の法施行に向けて審議会などで検討する。
一方、コスト指標の作成に向けた議論をしている米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆のワーキング・グループは今後も議論をするが、コスト指標を作成する団体の組成に向けた民間団体に議論の場は移行する見込み。ワーキング・グループの議論が遅れている飲用牛乳WGは7月上旬に開催される。
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