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【年頭あいさつ 2023】野村哲郎 農林水産大臣2023年1月1日

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新年あけましておめでとうございます。
今年もJAcom農業協同組合新聞をよろしくお願い申し上げます。
JAcomでは、元日から3日まで、農林水産大臣をはじめJAグループ全国連、農業関連団体のトップなどによる年頭のあいさつを掲載します。

野村哲郎 農林水大臣野村哲郎
農林水産大臣

明けましておめでとうございます。

令和五年の新春を迎え、皆様の御健勝をお祈りいたしますとともに、我が国農林水産業及び農山漁村の一層の発展に向けて所感の一端を申し述べ、年頭の御挨拶とさせていただきます。

昨年十月以降、高病原性鳥インフルエンザが、過去に一度も発生がなかった地域も含めて、これまでにないペースで発生しています。今シーズンは、全国どこで発生してもおかしくないとも言える状況であり、最大限の警戒をお願いいたします。大変厳しい状況の下、現場で御尽力されている方々には本当に頭の下がる思いであり、農林水産省としても、緊張感を持って発生予防とまん延防止に全力で取り組んでまいります。

私は、昨年八月に農林水産大臣に就任して以来、国内の生産基盤を維持・強化し、将来にわたって食料を安定的に供給していくために、我が国の農林水産業が、今まさに、ターニングポイントを迎えていると考え、日々の職務に当たってまいりました。

世界的な人口増加や経済発展に伴う食料需要の高まりに加え、コロナ禍における物流の混乱やロシアのウクライナ侵略など、昨年は、食料安全保障上のリスクの高まりを痛感した一年でありました。こうしたリスクに直面している中、輸入食料や輸入生産資材への過度な依存を低減するという方向に転換しなければ、食料の安定供給を図ることはできません。このため、安定的な輸入と適切な備蓄を組み合わせつつ、国内で生産できるものはできる限り国内で生産するとの方針の下、令和四年度第二次補正予算において、食料安全保障構造転換対策が措置されるとともに、令和五年度当初予算が閣議決定され、小麦や大豆、飼料作物などの海外依存の高い品目の生産拡大や米粉の利用拡大、畑地化の推進、堆肥・下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大に取り組むこととしています。

こうした対策を政府一丸となって継続的に講じていくため、昨年十二月に、食料安全保障強化政策大綱が策定されました。本政策大綱においては、食料安全保障の強化のための重点対策を中心に位置付けつつ、食料安全保障の強化のためには生産基盤が強固であることが前提となるため、スマート農林水産業の実装の加速化、農林水産物・食品の輸出促進の取組の加速化、みどりの食料システム戦略の推進も盛り込んでいます。

本年は、本政策大綱を着実に実施し、食料安全保障の強化に向けた構造転換が現場で着実に目に見える形で進む一年にしたいと考えております。

食料・農業・農村基本法については、制定後約二十年が経過する中で、食料安全保障の強化をはじめ将来に向けた課題に対応するためには、基本法の検証・見直し検討が不可欠になっています。現在、食料・農業・農村政策審議会に設置した基本法検証部会において、精力的に審議を行っていただいているところですが、本年六月を目途に基本法の見直しに向けた食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめ、改正案を令和五年度中に国会に提出することを視野に進めていきたいと考えています。言うまでもなく、食料安全保障をはじめとする食料・農業・農村政策は、国民一人一人に関わる問題であります。基本法の見直しについては、各界各層から幅広く御意見を伺い、国民的コンセンサスの形成に努めながら、しっかりと検討を進めてまいります。

以下、本年における農林水産行政の主な課題と取組の方針について申し述べます。

【食料安全保障】
輸入原材料や肥料、飼料、燃油等の生産資材の国際価格が高騰し、予断を許さない状況が続く中、こうした価格高騰の影響を受ける農林漁業者に対し、その経営への影響を緩和するための対策を着実に実施してまいります。
あわせて、農林水産物・生産資材ともに、食料安全保障の強化を図るため、海外依存の高い品目の生産の拡大や米粉の利用拡大、輸入食品原材料の国産への切替え、生産資材の国内代替転換や肥料原料の備蓄等により、過度に輸入に依存する構造の転換を着実に進めてまいります。
生産資材の価格高騰は、生産者等の経営コストの増加に直結し、最終商品の販売価格に適切に転嫁できなければ、食料安定供給の基盤自体を弱体化させかねません。このため、食品の適正な価格形成に向けて、消費者の理解醸成や不公正な取引の防止に向けた周知等を進めます。

【農林水産物・食品の輸出促進】
国内市場の縮小が見込まれる中、農林漁業・食品産業の持続的な発展を図るためにも、拡大する世界の食市場を獲得する農林水産物・食品の輸出促進が不可欠です。そこで、昨年十月に開始した品目団体認定制度の更なる推進、大ロット化に向けた輸出産地・事業者の育成、輸出支援プラットフォームによる現地発のサポートの強化等により、輸出拡大を進めます。あわせて、海外への品種流出を防止するため、海外で育成者権者に代わって品種登録し、ライセンスする育成者権管理機関の取組に着手し、早期の法人設立を目指します。こうした取組を通じて二〇二五年の輸出額二兆円目標の前倒しを目指しつつ、二〇三〇年の輸出額五兆円目標の達成を図ってまいります。

【みどりの食料システム戦略の推進】
食料の安定供給のためには、農林水産業が自然資本を利用して営まれる産業である以上、温室効果ガスの削減、生物多様性の保全、窒素・リン等の資源循環など、環境への負荷を低減し、生産の持続性を高める必要があります。このため、みどりの食料システム法に基づく基本計画の全国展開を進め、化学肥料・化学農薬の使用低減や有機農業の拡大、消費者の選択を容易にする「環境負荷低減の取組の見える化」等、「みどりの食料システム戦略」の実現に向けた施策を着実に実施してまいります。これにより、昨年設定した二〇三〇年目標の実現を目指し、調達、生産、加工・流通、消費の各段階における環境負荷低減の取組を進め、将来にわたり持続可能な食料システムの確立を図ってまいります。

【スマート農林水産業の推進】
労働力不足の解消や生産性向上等を実現するため、スマート農林水産業の実装や農林水産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速化する必要があります。新たに策定された「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の下、スマート農林水産業の推進に向けて、スマートサポートチームによる人材育成とデータ活用の推進や、農業支援サービス事業体の育成、林業機械の自動化、漁獲情報等の収集・利用体制の構築等を進めます。

【人・農地政策】
少子化やリタイア等により、農業者が大幅に減少するおそれがある中で、農地等の生産基盤を守るため、その受け皿となる担い手の育成・確保と、地域を支える多様な人材・組織の確保は、喫緊の課題です。また、食料の生産基盤である農地を確保し、地域で適切に利用されるよう、地域の話合いにより将来の農地利用の姿を示した地域計画を定め、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めるとともに、地域の農地の計画的な保全、適切な利用も一体的に推進してまいります。

【主要な生産対策】
米政策については、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を着実に推進していくため、国産需要のある麦・大豆や飼料作物、米粉用米・新市場開拓用米などへの転換や畑地化を進め、産地として定着させる取組への支援を行ってまいります。

畜産・酪農については、飼料高騰による影響を緩和するための対策を講ずるとともに、飼料の安定供給の観点から、輸入飼料への過度な依存から脱却し、国産飼料の供給・利用拡大を後押ししてまいります。
また、厳しい状況にある酪農経営に関しては、需要の底上げや抑制的な生産の取組等に対する支援など需給両面から需給ギャップの早期解消を推進することで、生産コストを適正に価格に反映できる環境を整え、酪農経営の改善を図ってまいります。
農業の競争力強化や農村地域の防災・減災、国土強靱化を実現するためには、農地や農業用水などの農業・農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化や畑地化・汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・地震対策を推進してまいります。
豚熱・アフリカ豚熱・高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病に対しては、関係者と危機感を共有し、飼養衛生管理の徹底を基本としつつ、水際での侵入防止体制の強化や、経口ワクチン散布などの野生イノシシ対策等に、都道府県等と連携して取り組んでまいります。

【食品産業・食品流通】
食品流通におけるドライバー不足等の問題に対応し、持続的なサプライチェーンを確保するため、パレットサイズ等の標準化やデジタル化による業務の効率化と輸送コストの低減を進め、流通の合理化・高度化を図ってまいります。また、食品アクセス困難者への対応を図るため、食品ロスの削減、フードバンク・こども食堂等への支援等も進めてまいります。

【農村政策】
活力ある農村を次世代に継承していくため、日本型直接支払により地域を下支えしつつ、地域資源、ICTなどの活用により活性化を図る「デジ活」中山間地域の取組を推進するとともに、農泊、鳥獣被害の防止やジビエの利活用、農福連携などの取組を進めてまいります。また、農村型地域運営組織の形成促進や「農山漁村発イノベーション」の推進を図ってまいります。

【森林・林業政策】
森林・林業政策については、いわゆるウッドショック等により輸入材のリスクが顕在化したことから、海外情勢の影響を受けにくい木材の需給構造を構築していくことが喫緊の課題であるとともに、近年、毎年のように大規模な豪雨災害等が発生しており、森林の有する災害防止機能等の重要性が一層増してきております。
森林資源の適正な管理・利用を通じ、林業・木材産業を持続的に成長発展させ、社会経済生活の向上と二〇五〇年カーボンニュートラルに寄与する「グリーン成長」の実現に向け、加工施設や路網の整備、担い手の育成、都市の木造化等による国産材の安定的・持続的な供給体制の強化、森林整備や治山対策等による森林の多面的機能の発揮や国土強靱化に取り組んでまいります。
また、違法伐採対策を強化するため、川上・水際での合法性確認等の取組強化などの見直しを進めてまいります。

【水産政策】
水産政策については、昨年三月に閣議決定された水産基本計画に基づき、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理を着実に実施するほか、増大するリスクも踏まえ、漁業経営安定対策を講じつつ、新たな操業形態への転換、マーケットイン型養殖の推進や輸出拡大等、水産業の成長産業化を実現してまいります。
あわせて、国内外の違法漁獲の取締り等の強化を図るとともに、地域一体でのデジタル技術の活用や、地域資源と既存の漁港施設を効率的・効果的に最大限活用した海業の振興等による地域を支える漁村の活性化を推進してまいります。

【東日本大震災からの復興】
東日本大震災から、まもなく十二年が経過します。復旧事業により、津波被災農地や水産加工施設などのインフラ復旧は相当程度進展しましたが、原子力災害被災地域では、営農再開や水産業・林業の再生、風評払拭等、まだまだ取り組むべき課題があります。引き続き、被災された農林漁業者の方々が再び立ち直るための万全の支援を行ってまいります。
また、ALPS処理水への対応については、福島県及び近隣県で漁業を安心して持続できるよう、風評を生じさせない取組や生産・加工・流通・消費の各段階における徹底した対策を行うこととし、政府全体で取り組んでまいります。

以上、年頭に当たり、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。国民の皆様の豊かな食生活とそれを支える美しく活力ある農山漁村を次世代に引き継ぐため、真の食料安全保障の確立を目指して職責を全うしてまいります。

本年も、農林水産行政に対する皆様の御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

令和五年一月
農林水産大臣 野村 哲郎

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