集客効果は抜群 「さつまいも博」に5万人 産地PRの場にも2023年3月11日
農水省が2月に公表した調査結果によると、昨年のサツマイモの生産量は前年比6%増の71万700トンとなり、6年ぶりに前年を上回ったことが分かった。主産地の鹿児島県や宮崎県で近年大きな被害を受けてきたサツマイモ基腐病への対策、抵抗品種への切り換えや防除対策などが進んだことと天候がよかったことなどによる。作付面積は3万2300haで、ほぼ横ばい。収穫量の一位は鹿児島県で21万トン。茨城、千葉、宮崎が続いている。健康食品としてのサツマイモの需要が伸び、焼き芋やスイーツの人気で市場が拡大し、輸出も伸びている。
グランプリに輝いた神戸芋屋志のもとの店頭
そうした中で、2月22~26日まで埼玉県さいたま市のさいたまスーパーアリーナで「さつまいも博2023」が開かれ、5万人の人でにぎわった。
この「さつまいも博」は、同実行委員会がサツマイモの多彩な味わい方やトレンドを発信しようと2020年から始めたもので、コロナ禍で中止の年があったため、今年で3回目。同博名誉実行委員長の山川理さんは「さつまいも博は、サツマイモの優れた点を社会にアピールし、生産者と加工業者、消費者との絆を深めるのが目的だ。ロシアのウクライナ侵攻の影響は農業にも及び、資材の高騰など経営の圧迫につながっている。サツマイモは最低限の肥料や農薬、農業資材で生産され、食料危機を回避できる大切な食べ物だ」とメッセージを寄せた。
会場には、地元・埼玉のほか、沖縄や宮崎、神戸、京都、新潟などの焼き芋、スイーツ専門店など26店が、自慢のサツマイモ製品を出品。その他、茨城県鉾田市、なめがたしおさい農協、ヤクルト、霧島酒造、パルシステム(生協)などが出店。安納芋や紅はるかなどの生芋を買えるコーナーもあった。
同博の目玉は、ナンバーワンの焼き芋を来場者の投票などで決める「全国やきいもグランプリ」。来場者は食べ比べをして、うまいと思った店に投票する。芋の種類も、人気が高い紅はるかやシルクスイート、安納芋など、「ホクホク系」と「しっとり系」があり、熟成期間や焼き方に工夫をこらしている。
今年のグランプリに輝いたのは神戸の「志のもと」。第1回にもグランプリになった。
同博で気になったこと、もったいないなと思ったのは、全国の干し芋生産の90%を占める最大の産地である茨城県ひたちなか地域からの出店は、やきいもグランプリに参加した東海村の(株)照沼だけで、行政や加工業者、農協が参加していなかったことだ。同博は干し芋ではなく、焼き芋がメインということがあったのかもしれないが、茨城にも焼き芋業者はたくさんある。同じ茨城県でも、鉾田市や行方市、なめがたしおさい農協、なめがたファーマーズヴィレッジは参加しており、宣伝に懸命だった。消費者へのアピールの姿勢が違うようだ。
(本紙客員編集委員・先﨑千尋)
重要な記事
最新の記事
-
【現地レポート・JAの水田農業戦略】新たな輪作で活路(2)子実コーンの「先駆者」 JA古川2024年3月29日
-
農業者所得増加へデジタルビジネス加速 農林中金 中期ビジョンを策定2024年3月29日
-
「子ども世代に農業勧めたい」生産者の2割 所得向上が課題 農林中金調査2024年3月29日
-
東京・大阪で組合長らが 「夢大地かもと」スイカをPR JA鹿本2024年3月29日
-
全国から1,000名を超える農業の担い手が集う 「第26回全国農業担い手サミットinさが」開催 佐賀県2024年3月29日
-
家族みんなで夏の農業体験はじめよう 食農体験イベント「土袋でデコきゅうり」開催 JA兵庫六甲2024年3月29日
-
(377)食中毒1万人は多いか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年3月29日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第96回2024年3月29日
-
【人事異動】全国農業会議所(4月1日付)2024年3月29日
-
品種で異なるメロンの味わいを体験 自由が丘「一果房」で29日から 青木商店2024年3月29日
-
第160回勉強会「レジリエントな植物工場運営・発展に向けて~災害からの復旧・復興事例から学ぶ」開催 植物工場研究会2024年3月29日
-
創立55周年記念 ガーデニング用 殺虫・殺菌スプレーなど発売 住友化学園芸2024年3月29日
-
「核兵器禁止条約」参加求める26万の署名 藤沢市議会が意見を採択 パルシステム神奈川2024年3月29日
-
尾鷲伝統の味「尾鷲甘夏」出荷開始 JA伊勢2024年3月29日
-
令和6年能登半島地震 被災地農家を応援 JA全農石川へ寄付 KOMPEITO2024年3月29日
-
林木育種センター九州育種場 九州育種基本区の「スギエリートツリー特性表」公表 森林総研2024年3月29日
-
農業フランチャイズのクールコネクト シードラウンドで3200万円を調達2024年3月29日
-
鳥インフル 米メイン州からの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年3月29日
-
畜産施設の糞尿処理で悪臭対策 良質な堆肥化を促進 微生物製剤を開発 B・Jコーポレーション2024年3月29日
-
水田のスマート水管理で東大大学院農学生命科学研究科と共同研究開始 ほくつう2024年3月29日