老朽化する共同利用施設 整備予算抜本拡充を JAグループ政策要請②2024年11月18日
JAグループは11月の全中理事会で次期基本計画と2025年度農業予算に関するJAグループの重点要請を決め、そのなかでコスト高騰に着目した経営安定対策の仕組みの新設や、老朽化が進む共同利用施設の整備などを求めている。
農業者数・農地面積・生産資材で目標設定を 主食用生産の持続へ政策見直しを JAグループ政策要請①
コスト高騰反映した経営安定対策新設を
JAグループは今回の政策要請のなかで改正基本法に盛り込まれた理念の実現を求めていく。
その一つが合理的な費用を考慮した価格形成だ。政府は来年の通常国会での法制化をめざしており、牛乳、豆腐・納豆に加えて、11月には米と野菜についても対象に議論を開始したが、政策要請では農畜産物の「持続的供給に必要な生産コストが考慮される仕組み」とするとともに、品目ごとに関係者が協議するだけでなく、「国が一定の関与をする仕組み」の早期構築を求めていくほか、コスト指標の設定では、「公的データも参考に地域の実態もふまえて幅広く検討すること」と要請していく。
また、改正基本法では生産資材の著しい価格変動に対する影響緩和対策(第42条)が位置づけられたが、JAグループはこれを踏まえて「コストの高騰に着目した」経営安定対策の仕組みを新設することを求めていく。収入保険制度は基準収入の9割を下回った場合、下回った額の9割を補てんするが、収入減だけに着目した制度であり生産コストの高騰は反映されない。JAグループは「既存のセーフティネットを組み合わせても補いきれない生産資材の高騰に対応しうる対策」の充実を求めていく。
改正基本法ではJAなど農業団体が「基本理念の実現に重要な役割を果たす」(第12条)と位置づけられ、国や地方公共団体は「団体がする自主的な努力を支援する」と明記された(第13条)。このためJAグループは必要な機能が発揮できるよう現場負担を軽減する補助事業の事務手続きの簡素化や、利用しやすいデジタル技術の開発、活用などを求めていく。
30年以上7割 老朽化する共同利用施設
今回の要請の大きな柱の一つが、農業倉庫やカントリーエレベーターなど共同利用施設の整備と更新だ。
JA全中が実施したJAグループ共同利用施設に関する調査によると、現在稼働している共同利用施設の約70%が30年以上前に建設されたもの。ウルグアイ・ラウンド合意にともなって措置された予算で建設された施設も多く、地域農業のインフラとして必要不可欠な施設の大部分が老朽化している。
全中の調査では2029年度までに現在稼働している施設の約75%が耐用年限を迎える。29年度までに更新や再編を予定している施設は1636施設あり、このうち690施設は具体的な年度を含めて更新・再編計画を検討している。
一方、農業予算のうち生産基盤の強化に関わる強い農業づくり交付金、産地生産基盤パワーアップ事業予算は2015/16年度(補正・当初)の713億円が2022/23度には427億円と45%も減少している。今後、更新や再編を検討していても多くの事業が採択されない事態も懸念され、JAグループは「予算の抜本的、計画的な拡充が必要」と強調している。
同時に産地からは、新しい施設が高度化していることに加えて、資材価格や人件費の高騰など建設費が上がっているため、補助率や上限事業費の引き上げ、撤去費用など支援対象の拡充など現場負担の軽減を求める声が上がっている。また、施設整備を複数年で支援する仕組みもあるが、施設の規模に応じて工期を適切に設定できるよう対策の弾力的な運用も求めていく。
そのほか農業近代化資金貸付制度の見直しも求める。同制度は認定農業者だけでなく、多様な農業者やJAなどサービス事業体も利用可能だ。しかし、国が予算を全額確保し日本政策金融公庫が認定農業者に貸し付けるスーパーL資金の貸付限度額が3億円(個人)なのに対し、近代化資金は1800万円と低い。
今回、JAグループは「日本政策金融公庫の本来の役割は民間の補完」という点を踏まえて、貸付限度額の引き上げや、資金使途や借入期間など、JAなど民間の農業融資を活性化するために「制度を抜本的に見直すこと」を求めていく。
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