農業者数・農地面積・生産資材で目標設定を 主食用生産の持続へ政策見直しを JAグループ政策要請①2024年11月15日
JAグループは11月の全中理事会で次期基本計画と2025年度農業予算に関するJAグループの重点要請を決めた。
農業予算 十分な増額を
政府は食料安全保障の確保を目的に来年度以降、初動5年間を「農業構造転換集中対策期間」としていることから、JAグループは次期基本計画で「農業者が将来展望をもって営農継続できる施策の方向性」を示すよう求めるとともに、「その裏付けとなる万全な予算を措置」することを要請し、2025年度農業予算の十分な増額と、補正予算も含めた中長期にわた予算の確保を求めていく。
政府は次期基本計画では、食料安保確保に関する目標を設定することにしているが、JAグループは食料自給率目標と生産努力目標だけでなく、新たに農業者数や農地面積、国内で生産できる肥料などの生産資材についても目標を設定するよう提起している。
また、政府は数値目標の達成状況を年1回は調査、公表する方針だが、JAグループは目標達成状況を踏まえて、「施策の不断の検証」と「起動的な施策の見直し」を求めていく。
水田政策 米生産の持続へ段階的見直しを提起
水田政策では、将来にわたって水田生産基盤が維持できる施策を提起している。
現在は国内の需要量を国内生産で賄えているが、全米販が示した「米穀流通2040ビジョン」では、2040年には国内生産量で需要量を賄えないと推計されている。こうした危惧される将来シナリオを踏まえて、当面は非主食用米による需給調整機能を維持しながら、それを主食用生産のバッファーとして確保、農業者の急減や不測時に備える政策として位置づけるようJAグループは提起している。
同時に現在は1割強にとどまっている水田の大区画化など低コスト化を進めて担い手を支えることで持続的に主食用米の生産を可能とする。JAグループは水田活用交付金も含めて、水田政策をこのような水田生産基盤の維持を目的とした制度へ段階的に見直すことを要請していく。
一方、麦・大豆等への支援は、畑作物の直接支払交付金の効果検証と見直しの検討と、合わせて麦・大豆など輸入依存穀物の持続的な増産や生産性向上をめざしたブロックローテーション、輪作、二毛作等を手厚く支援するとともに需要創出を目的とした制度の構築を求めていく。
地域戦略推進交付金の創設を要請
そのほか、予算の拡充と組み換えによって、地域の実態を踏まえた幅広い支援を目的とした「地域計画に基づく地域戦略推進交付金(仮称)」の創設も提起している。これまでの産地交付金よりさらに柔軟に地域実態に応じて活用できる制度として提起し、「地域が困っている課題を支援する」(全中)仕組みとして地域計画で描いた将来地図の実現も後押しするものして要請していく。
食料備蓄については、不安的な海外穀物情勢をふまえ、現行の100万t水準を堅持することを求めていく。
次期酪肉近(酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針)に関しては、酪農の生乳需給調整機能を強化するための畜安法の運用上の規律強化や全国の生産者・乳業者が果たすべき役割の明確化、系統外も含め一体となったセーフティネットの構築を図ることを要請している。
肉用牛については消費者ニーズをふまえた多様な牛肉生産と持続可能な経営の両立をめざすことを明記することなどを求めていく。(以下、JAグループ政策要請②)
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