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【提言】3つの危機の彼方に 日本農業の未来描く 谷口信和・東大名誉教授(下)2020年8月17日

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目前に3つの危機

こうしたコロナをめぐる状況の下で今後の日本農業のあり方を考える場合に忘れてはならないのが、一方では、コロナ危機をも含む3つの危機が新自由主義に基づく過度のグローバリゼーションの必然の結果として発現していることを的確に把握することであり、他方では現在進行形の事態を冷静に見つめる中で、これまでの矛盾の発現としてこれを捉えるとともに、不可逆的に進行せざるをえないベクトル=方向性を検出し、これを整理することである。
第1は気候危機である。環境省は6月12日に「環境白書」で気候変動に代えて気候危機という認識を採用し、気候危機宣言を発出した。7月の熊本水害では気候危機と密接不可分の「線状降水帯」と避難所におけるコロナ対応の不可避性が複合的に絡み合いながら深刻な被害をもたらしている。第2は新型コロナパンデミック危機だ。ここでは三密=経済的には集中・効率性・屋内の回避が窮極の解決策とされる。屋外を基本的活動拠点とする第1次産業たる農業の復権、効率性追求の極点=世界大のサプライチェーン構築に邁進した外需主導型工業発展の脆弱性克服、実体経済から乖離したマネーゲームに狂奔する金融・証券等の第3次産業に牽引されて進んだ異常な都市集中の歪みの是正がそれである。
第3は臨界点に達した格差拡大による分断と対立の先鋭化の危機である。それは国家・人種・民族・階層・地域の間を貫いて、グローバリゼーションと相即不離で進行している。アメリカでは貧富の格差がコロナ対応における死亡率の差違に直結し、人種差別問題の表面化から国民相互が銃を向け合う事態にまで至っている。
これらの複雑に絡み合う3つの危機に農業がどう立ち向かうのかが問われている。

変容する外食

今回のコロナ禍の中で多くの国民に不安を与えたのが著しく低いマスク自給率であった。2010年の国内マスク総供給量は6.7億枚で自給率は37.1%(食料自給率に酷似)だったが、2019年には64.6億枚へと約10倍化する中で自給率は23.0%にまで低下し、そのほとんどを中国に依存する事態になっていた。
最も基礎的な医療品ですら国際的なサプライチェーンに依存することの危険性は食料自給率向上に対する国民的合意形成にとって大いなる追い風だったが、国内の食料逼迫が起きなかったことに注意すべきである。
そもそも、屋外の生産を基本とする農業は新型コロナに対して相対的には強い。北半球の冬から春にかけて始まった感染拡大は2019年に収穫済みの穀物・飼料の需給構造に激変をもたらさず、本年4~6月にかけてウクライナやロシア等で設定された輸出規制や輸出枠は順次解除され、穀物等の世界的な期末在庫率はかなり高い水準にある。また、国内では巣ごもり需要の増大を上回って、学校の休業やイベントの中止、外食の制限等による農産物需要減が進行し、供給過剰基調で推移している。今後の世界的な食料需給については不安材料が多々あるものの、かなり不透明だといわざるをえない。
こうした中で明確なのは従来型の中食・外食が牽引する農産物需要構造の大転換が求められることである。そこでは、「外食成功の方程式」の暗転として、繁華街から住宅街へ、満席から空席へ、新規顧客から常連客の囲い込みへ、人材採用から省人化へ、値下げから値上げへ、人によるおもてなしから非接触へという不可逆的な変化の方向が指摘されている(日経ビジネス電子版2020.7.27)。こうした方向を視野に入れた農業生産者・JA側の供給対応が求められることになる。

低価格から高価格へ

コロナ新規感染者数激増の中にあってGo toキャンペーンを強行せざるをえないほど旅行・観光業界の経営危機は深刻であり、その重要部分をインバウンド激減が担っている。2010年に861万人だった訪日外国人旅行客は19年には3943万人にまで激増したが、19年の旅行客数の30.1%、消費額の36.2%、買い物代の54.6%を中国人が占める状況は、(1)「オーバーツーリズム」により有力観光地の地元住民生活を攪乱し、国内観光客を遠ざける要因となっている、(2)コロナ拡大によって中国集中のリスクを一挙に顕在化させるとともに、(3)大型パッケージツアーやクルーズ船といった数量追求的な旅客確保戦略が武漢からのコロナウイルス侵入を防げなかった重大な弱点をさらけだした。
量的追求から質的追求への転換が求められる観光業界においては、(1)安全保障の視点から訪日旅行客をアジアから欧米の富裕層に広げる(一極集中から多極分散へ)、(2)買い物消費から体験・コト消費へ(買い物は輸出貿易で代替)、(3)一斉休暇や休日に傾斜した観光から通年的な観光へ(集中から分散へ)、(4)小規模旅行重視で低価格から高価格へのシフト(密から疎へ)といったパラダイム転換が必要である。
これらの課題は農泊のあり方を通じて農村振興に、農産物需要の変化を介して農業生産の方向に大きな影響を与えざるをえない(以上の点については細川昌彦「いまだ「訪日客6000万人」を掲げる愚、欠けている安全保障の視点」日経ビジネス電子版、2020.7.28を参考にした)。

労働力の脱外国依存

農業に雇用される外国人労働者数は2011年の1.6万人から19年には3.6万人に増加したが、その90%が技能実習生で、事実上の「低賃金労働力」である。技能実習生全体の数字をみると、2011~16年までは中国、17年以降はベトナムが首位の座にあり、19年には50.5%を占めていて、これに中国・フィリピン・インドネシアが続く構成となっている。供給国における賃金水準の上昇に応じて次々に、より低賃金の国の労働力が求められてきた結果がそこに示されている。
コロナ禍により技能実習生等の出入国が事実上ストップする中で、実習生に大きく依存してきた嬬恋村や川上村の高原野菜産地を始めとする各地の雇用型農業経営で労働力確保困難が発生した。こうした緊急事態に対して、一方では同じくコロナ禍で就業機会を喪失した観光業界からの人材が、他方では帰国を余儀なくされたJICA等の青年海外協力隊員が技能実習生の代替要員として就業を始めている。
コロナ終息の見通しが立たない中で、今後とも技能実習生等に依存する形での労働力確保が可能なのかどうかはこれらの大規模経営・法人経営にとって解決すべき喫緊の課題となっている。その際、今後の国内の企業倒産・失業人口の増大が予想される状況下で、いかなる技能を有した労働力を、結婚ができるような賃金水準において、持続的な形で国内から確保できるかという課題に正面から向き合うことが最も重要であろう。これなしに、農業の発展も農村の維持も展望を切り拓くことは容易ではない。そこにコロナ禍が提起した本質的な課題が横たわっている。

【提言】3つの危機の彼方に 日本農業の未来描く 谷口信和・東大名誉教授(上)

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