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農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

財政審は自給率重視せず!?2018年5月13日

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 先月26日の日本農業新聞は、一面トップで"転作助成で財政審 全国一律見直し提言 飼料米"誘導"を問題視」を報じた。若干引用させていただく。
 「財政審の審議会が25日、米政策の見直しで提言をまとめた。飼料用米に対して国が全国一律に措置する助成金について、飼料用米による転作を過度に誘導していると問題を提起。野菜や麦など需要がある作物の増産が各産地で進むよう、飼料用米を含む転作作物の助成単価について、各都府県が決められる仕組みを検討するよう求めた。
 ...提言では、農水省が水田活用直接支払交付金で措置する、飼料用米への10アール最大10万5000円の数量払いなど、全国一律の助成金について、産地の適地適作を阻害しているとした。...その上で、都道府県が産地の特性を踏まえた転作計画を作り、計画達成へ、国の交付金を元手に、自ら転作作物の助成単価を決められるようにするようにすることが必要だと提言。...同審議会は2016年には飼料用米の助成単価の削減を提言しており、今回も飼料用米への財政支出に引き続き厳しい目を向けている状況だ。(下略)

 

◆与党に後から鉄砲

 財政当局が"飼料用米への財政支出に...厳しい目を向けている"のは、自民党が飼料用米に対する特別優遇措置を政策化したその時からであることを注意しておくべきであろう。2013年、政権に復帰した自民党農政の最大の課題は、前政権の看板政策だった10a1万5000円の米の直接支払交付金を廃止し、それに替る看板政策として飼料米に特別措置を講じ食用米からの転換をはかり、米の生産調整政策に支障を生じさせないようにするということだった。14年度予算からそれは始まるが、"新たな経営所得安定対策"として本格化したのは2015年度予算からだが、その転換政策の柱に難癖をつけたのが財務省だった。15年度予算が審議中の14年10月20日、財政制度等審議会分科会の席で、飼料用米などへの転作助成が「需要より補助金単価が作物選択に大きな影響を与えている」とか、「いたずらに財政負担に依存した助成措置だけでは自給率向上は困難」と発言したのである。その発言に"「今回の農政改革は飼料米が柱。改革の初年度に後から鉄砲を撃たれたようなものだ」とある自民党農林幹部は財務省の指摘に憤る"と14・10・21付日本農業新聞は報じていた。
 昨年10月の衆議院選挙の際、自民党は「米の需給と価格の安定を図るため、飼料用米をはじめ水田フル活用の予算を恒久的に確保します。」と公約した。その公約に掲げた飼料用米手当予算にクレームをつけられたのである。自民党の先生方、特に農林族に属する先生方は、今回も「後から鉄砲を撃たれたようなものだ」とお感じになっておられるのではないか。

 

◆飼料米支援は公約

 2025年度までに110万tにすることが食料・農業・農村基本計画で生産努力目標として設定されており、水田活用の直接支払交付金もそれを政策目標にしている。飼料穀物の輸入量は1千万tを越えている。その大部分はとうもろこしだが、麦類でも100万tを越えている。それを少しでも減らそうということで飼料米110万tの努力目標がたてられたのであろうが、そこへもってゆこうとするのがどうして"過度に誘導している"ことになるのか、「水田フル活用の予算を恒久的に確保します」と公約した自民党の先生方は財務省等に説明を求めるべきだろう。
 また、"恒久的に確保"することの公約文書には「飼料用米の生産努力目標を確実に達成し、飼料米生産の持続的な拡大が食料自給率の向上と畜産のブランド力強化につながる理想的なサイクルを実現します。」という一文がついていた。"飼料米生産の持続的な拡大"に"自給率の向上"を期待していたことが示されているが、"過度に誘導している"とする判断は、"食料自給率の向上"もそんなに重視することはないことを意味するのだろうか。
 "食料自給率の向上"は、食料・農業・農村基本法(第十五条三項)が"食料自給率の目標はその向上を図ることを旨とし、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として、農業者その他の関係者に取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする"と規定している重要な農政課題である。現行基本計画では供給熱量ベースで45%に引上げることが目標とされているが、40%から下がることはあっても上昇の兆しも見えないことが最大の問題となっている。
 農林族の方々の"飼料米の持続的な拡大が食料自給率の向上"になることの期待をこめて飼料米生産に手厚い手当てをしようという判断が誤っているとは私には思えないし、その施策を支持するものだが、"過度に誘導"することが何故よくないのか、財政審に問うべきである。"都道府県が産地の特性を踏まえて転作計画を作る"ことには異論は無い。然し、その計画も"食料自給率の向上"になる計画でなければならないこと、いうまでもないであろう。財政審は"食料自給率の向上"をどう考えているのか、はっきりさせるべきだ。

 

本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

【梶井 功・時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す】

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