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農政:迫る食料危機 悲鳴をあげる生産者

【迫る食料危機】食料安保こそ国民の共通理解に 今後に備え基本法見直しを 須藤正敏・元JA全中副会長2022年8月31日

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コロナ禍による消費低迷に加え、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で、生産資材は高騰が続き、生産現場は存続の危機に直面している。ウクライナ紛争が長期化の様相も見せ、世界的に食料危機が叫ばれる中、われわれはこの事態にどう向き合い、農政には何が求められるのか。元JA全中副会長の須藤正敏氏に寄稿してもらった。

オリーブを管理する須藤氏須藤正敏・元JA全中副会長

「農業が多少犠牲になっても」の安易な考え通用せず

私達日本国民は、全く予想もしなかった事が、突発してしまいました。登り坂、下り坂、まさかの坂が、突然襲いかかってきました。ロシアのウクライナへの軍事侵攻です。

2月24日から始まり、もう半年が過ぎましたが、出口は見えて来ません。

プーチン大統領のプロパガンダの大義は「迫害されたロシア系住民の保護」としていますが、ウクライナの穀倉地帯をクリミア半島略奪の様に簡単に攻め落とそうとする思惑が透けて見えます。その結果は、世界の国々から非難され欧米や日本から厳しい経済制裁を受け困っていますが、強かなプーチン政権は、天然ガスや豊富な地下資源の輸出制限で独国をはじめ欧州の国々には対抗しています。

特に世界中を震撼させたのは、ウクライナ産の小麦やトウモロコシの積出し船への妨害です。その為、世界の穀物価格は、急上昇です。発展途上国は、主食用の小麦などが、不足しています。我が国でも円安の為、輸入価格が上昇し日用品の食料が、軒並み上昇しています。いよいよ、我が国も食料の安全保障を国民に確実に示さなくてはならない重要な局面になっています。

かつての様に工業製品やI T技術の売り込みで外貨を稼いでいれば、農業が多少犠牲になっても仕方ないと云う安易な考えは通用しない時に来ています。

自国優先の輸出制限が、各国で行われています。インドネシアでは、パーム油の高騰の為の輸出制限が、またウクライナのヒマワリ油の供給減少が見込まれロシアのウクライナ侵攻が危惧され輸出制限が行われました。インドでは小麦の輸出停止、マレーシアでは鶏肉の輸出禁止で隣国とシンガポールでは食材の不足で打撃を受けました。食材以外でも各国が輸出を制限しています。

この様に平時では考えられない事が、グローバル化した世界では、すぐに価格などに影響するだけでなく、供給不足の事態に直面するのです。

軍事より国民の生命守る食料安保こそ国民の共通理解に

我が国の農業の礎になっている肥料原料、飼料の多くは外国に依存していて、年々増加傾向にあります。この状況を打破しない限り日本の食料自給率は、上がりません。世界の先進国の中で食料自給率37%は極めて低い数字です。これは、国民の命が、大変な危機にさらされている状況です。地球の自然環境は年々悪化し、地球温暖化は進み、水の不足や気温上昇で世界各国で森林の大火災が年々増加しています。そして、食料の供給元の農地が荒廃して砂漠化し、食料の供給が厳しさを一層増しています。戦争など無くても、世界の食料不足は、発展途上国の人口の自然増などで一層厳しくなります。我が国も軍事力の安全保障が、ロシアや中国、北朝鮮の台頭で叫ばれていますが、国民の生命を守る食料安全保障こそ、声を大にして日本国民の共通理解として訴え続けなくてはならない喫緊の課題です。

このような状況下、私の住む東京の農産物のカロリーベースでの自給率は統計では0%ですが、生産物は葉物農産物が多く、肉などの重量農畜産物がないのが、残念です。神奈川県が2%、大阪府で1%という状況です。都市部の市街化区域の農地の役割は多面的で、災害時の避難場所であったり、都市の景観の醸成であったりと有りますが、都市農業の役割として学校農園での農業体験や学校給食への新鮮野菜の供給で多くの都市住民から期待と感謝をされています。

先日、6月24日夜にN H Kで放送された『ドキュメント72時間』では、練馬区の農家が取り上げられました。畑の中にある野菜の自動販売機を利用する近隣住民の皆さんの利用する様子が放送され、多くの利用者の人々が、「身近に畑が有って、誰がこの野菜をどの様に作っているのかが分かっていつも安心して購入しています」などと、街中の農家や野菜にこよなく親しみを込めて接していただいている都市住民の声が聞けた番組がありました。

未利用農地活用の施策 しっかり立案実行を

さて農水省は、2030年には食料自給率45%を目標に掲げています。現状は1%上がったと喜んでいる様では、国民の命は守れません。今年も8月15日の終戦の日が、やって来ました。77年前に310万人もの尊い命が、戦争の犠牲になりました。と同時期にこの戦争の前後には我が国も肝心の働き手が、戦争に出征し、残っているのは銃後の妻やおじいさん、おばあさん、子供達でした。日本の食料の生産力は、ガタ落ちとなりました。今では死語となった「配給」という言葉、生産された農産物は、一度国が買い取り、それを国民に割り当てて、飢えを凌ぐ有様と聞いています。我が家にも、私の祖母から聞いた話ですが、多くの人々が買い出しに来たそうです。また、お金の価値が下がってインフレとなり、お金が価値を無くし物々交換の様になった時があったと聞いています。そんな事が2度とあってはなりません。

我が国政府は、年々減少していく農業従事者の数は、1999年には233万6000人余、それが2022年には122万5000人余へと半減するとしています。農地面積も1999年には486万6000haから2021年には435万9000haへと減少。この様な現状の中で食料自給率を2030年には45%にすると言っている農水省の目標は、ただのお題目か?と言わざるを得ません。未利用農地の活用をする施策をしっかりと立案実行して欲しいです。食生活が大きく変化し欧米化して米の消費量が毎年激減する中、米は主食と位置づけ、小麦など食料生産に力を投入したり飼料用穀物に転換するなどして農家の人が、都市部のサラリーマンと同等の年収を、所得を得られる施策を力強く打ち出して欲しいです。

基本法は今後の国際状況で機能し得ず 新農相などに見直し期待

8月10日、第2次岸田内閣が発足しました。国会議員の中で最も農政に精通している野村哲郎農水大臣が誕生しました。自民党農林部会長を長く務め、JA改革、T P P交渉等に尽力した活躍は、今後の日本農業の舵取りには最適任者です。大臣は、農水省の幹部職員を前に「ウクライナ危機に伴う生産資材高騰などの影響で食料安全保障の確立が急務の課題となる中、農業・食料を取り巻く環境は、変化している。今年をターニングポイントにしなければいけない。日本の農業を変えていく。」と訓示したそうです。食料・農業・農村基本法の見直しを是非していただきたい。この基本法は、平時に食料や飼料、農薬原料などの農業資材が、安定的に輸入され供給されている事を前提に定められた基本理念なので、今日いや今後の我が国周辺の国際状況の中では十分に機能し得ないと思われます。是非、自民党食料安全保障検討委員会の委員長の元農水大臣経験者である森山裕委員長には、基本法の見直しを期待しています。

結びに、私が全中副会長時代に大変お世話になりました元農林水産大臣の江藤拓先生、都市農業の確立、都市農地の振興にご尽力頂きました山田としお先生、農林水産政務官の藤木しんや先生の益々のご活躍と日本の食料安全保障の為にご活躍下さる事を切にお願い申し上げます。

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