【特殊報】ミニトマトにトマト黄化病 県内で初めて確認 愛媛県2024年3月19日
愛媛県病害虫防除所は、トマト黄化病の発生を県内のミニトマト栽培圃場で初めて確認。これを受けて、3月15日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
写真1:黄化症状がみられたハウスの状況(写真提供:愛媛県病害虫防除所)
愛媛県病害虫防除所によると、2023年11月に今治市のタバココナジラミの発生が多い施設ミニトマト栽培圃場で、中位葉に黄化症状を示す株が多数確認された(写真1)。このため、黄化症状の見られる株の生長点や葉を採取し、神戸植物防疫所に同定を依頼したところ、愛媛県では初確認となるトマト退緑ウイルス(Tomatochlorosisvirus,ToCV)が検出され、「トマト黄化病」と判明した。
同病は、2008年に栃木県で国内初の発生が報告されて以来、全国各地で発生が確認され、現在では24都府県で発生が確認されている。
同ウイルスに感染した葉は、葉脈間が退緑し黄斑を示す。その後症状が進展すると葉脈に沿った部分を残して葉全体が黄化し、葉巻症状やえそ症状が現れる(写真2)。病徴は下位~中位葉に現れやすく、生理障害である苦土(マグネシウム)欠乏症と類似しており、判別は極めて難しい。果実等への被害は見られないが、生育が抑制され収量が減少することがある。
写真2:葉の黄化症状(写真提供:愛媛県病害虫防除所)
感染植物は、トマト以外にアカザ科、キク科、ゴマノハグサ科、シソ科、ナス科、ナデシコ科、フウロソウ科、リンドウ科で確認。同ウイルスは、タバココナジラミおよびオンシツコナジラミによって媒介される。伝搬様式は半永続伝搬ウイルスを獲得したコナジラミ類は、数時間から数日間媒介能を有し、経卵伝染はしない。また、栽培環境下では、汁液伝染、土壌伝染、種子伝染はしないとされている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
同病はトマト黄化葉巻病と同様にコナジラミ類(トマト黄化葉巻病はタバココナジラミのみ)によって媒介されるため、トマト黄化葉巻病と同様の対策を行う。
〇施設栽培では、開口部をできる限り細かい網目の防虫ネット(ミリ以下、0.4ミリ以下が望ましい)で覆い、侵入を防ぐ。また、UVカットフィルム、光反射フィルム、黄色粘着板等の物理的防除法を利用する。
〇圃場内外の雑草は発生源となるため、除草に努める。
〇薬剤散布に当たっては、同一系統の薬剤の連用は避け、ローテーション散布を行う。なお、タバココナジラミでは、一部地域や施設で感受性が低下している事例があるため、薬剤選択に留意する(表)。
〇施設栽培では栽培終了後、株を抜き取り枯死させた後、蒸し込みを行い、コナジラミ類を死滅させる。
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