農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識2015
【現場で役立つ農薬の基礎知識2015】低コスト、省力化に役立つ園芸向け農薬2015年12月25日
平成28農薬年度全農の園芸剤おすすめ品目
JA全農肥料農薬部
【1】特におすすめ
・カイガラムシ類に「スプラサイト」
【2】殺虫剤のおすすめ
・新規成分・シアントラニリプロール
・IPMにはコンファーザー、エコピタが
【3】殺菌剤のおすすめ
・天敵や訪花虫に影響がないエコショット
【4】お買い得大型規格農薬
・「デカぞう君」がコスト低減の目印
・2Lから200Lまで多様な規格が
新農薬年度に入った。全農では、効果が優れ、低コスト・安全・省力などの利点があり、農家の営農に役立つ農薬の普及推進に取り組んでいる。ここでは、平成28農薬年度の全農が推奨する園芸品目をいくつか紹介する。
【1】特におすすめ
◆カイガラムシ類に「スプラサイト」 28農薬年度、全農が特に推奨するのは、殺虫剤では「スプラサイド乳剤40・水和剤」「ジェイエース水溶剤・粒剤」、殺菌剤では「ペンコゼブ水和剤・フロアブル」である。
「スプラサイド乳剤40・水和剤」は各種カイガラムシ類やロウムシ類に対する特効薬として広く愛用されている総合殺虫剤である。茶、みかん、落葉果樹、花卉類などの広範囲の作物に使用でき、優れた速効性と安定した効果を示す。全農が日本における権利を譲り受けた剤であり、クミアイ化学が販売を継続している。
「ジェイエース水溶剤・粒剤」、「ペンコゼブ水和剤・フロアブル」は、全農がジェネリック農薬として開発した剤であり、コスト低減に貢献してきた。ジェイエース剤はアブラムシ類やアザミウマ類、チョウ目害虫などの幅広い害虫に効果を示すアセフェートのジェネリック品である。散布剤は水溶剤となっているので、水和剤と比較し、果菜類への汚れが少ない。
ペンコゼブ剤は保護殺菌剤の中でも適用病害が広く、効果も高いマンゼブを有効成分とし、カンキツ黒点病やばれいしょ等のべと疫病防除で大きな威力を発揮している。さらに、うり類炭そ病、ねぎのさび病などにも有効である。
いずれも汎用性の広さや使いやすさで好評を得ている。
【2】殺虫剤のおすすめ
◆新規成分・シアントラニリプロール 全農が推奨する殺虫剤には、まずは上述の「スプラサイド乳剤40・水和剤」「ジェイエース水溶剤・粒剤」があり、いずれもJAの店舗・注文書で購入できる。
ほかにはチョウ目をはじめアブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類など多くの害虫に効果の高い新規成分シアントラニリプロール(サイアジピル)を含む「ベリマークSC」「エクシレルSE」「ベネビアOD」、チョウ目・アザミウマ類に高い効果を示す「プレオフロアブル」がある。
殺ダニ剤では残効の長い「バロックフロアブル」「ダニサラバフロアブル」がおすすめである。
◆IPMにはコンファーザー、エコピタが
総合的病害虫・雑草管理(IPM)に使用できる剤としては、フェロモン剤である「コンフューザー(各剤)」がおすすめだ。
本剤は交信撹乱による害虫発生抑制を目的としており、直接の殺虫作用はないが、殺虫剤への感受性が低下した害虫にも有効で、天敵に対する影響も非常に少ない。また、殺虫剤の散布回数の削減も期待できる。
「エコピタ液剤」は食品として用いられる還元澱粉糖化物を有効成分とする気門封鎖型の農薬であり、アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類といった害虫に効果を示すが、人畜や環境への影響もほとんどなく、天敵との併用も可能である。
【3】殺菌剤のおすすめ
◆天敵や訪花虫に影響がないエコショット 先にあげた「ペンコゼブ水和剤・フロアブル」に加え、IPM分野で使用できるものとして、微生物を含む「エコショット・クリーンカップ・クリーンサポート」を紹介する。
エコショットは細菌の一種であるバチルス・ズブチリスが有効成分であり、野菜類の灰色かび病に高い効果を示す。
この細菌は作物に悪影響がなく、事前に散布することにより、病原となる微生物の侵入を防ぐ作用をもつ。微生物が有効成分であるため、天敵や訪花昆虫への影響がほとんどない。
クリーンカップは銅、クリーンサポートは抗生物質の一種であるポリオキシンとの混合剤である。
【4】お買い得 大型規格農薬
◆「デカぞう君」がコスト低減の目印 全農では、農家のコスト低減を目指し、農薬大型規格の普及を進めている。
農薬の大型規格は通常の規格より割安な価格となっており、大型規格であることが一目で分かるように「デカぞう君」をデザインし、商品への記載を進めている(図)。JA店舗でお買い求めの際は、「デカぞう君」が目印になる。
◆2Lから200Lまで多様な規格が
園芸農薬で大型規格が設定されている品目は、茎葉処理除草剤のラウンドアップマックスロード,バスタ液剤などがあり、これらは2Lから200Lまで使い勝手を考えて多くの規格をそろえている。麦、大豆など特にコスト低減が求められる畑作場面ではクリアターン、トレファノサイド、ゴーゴーサン、ボクサーなどの大型規格がある。
なお、大型規格は地域によって取り扱いが異なるので、まずは最寄りのJAにお問い合わせいただきたい。
(写真)カイガラムシ、カンキツ、黒点病、べと病、アブラムシ、アザミウマ、灰色かび病、デカ得
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日